2007年05月06日
●帯研(第81回)
ロシア語の参考書はほとんどが初級者向けだが、例文が女子中学生の仲良しクラブのような感じだ。ロシア語を学習する人はほとんど成人だろうから、何か読者を甘く見ているような気がする。レベルは別にしてもう少しロシアの現実生活を反映させるようなものでないと、実際には使えないだろう。またよいと思う中級上級向けのロシア語の文法書や参考書でも露文読解が主であるように思う。文例を見てもドストエーフスキーだったりチェーホフだったりする。無論ロシア語でロシア文学を読みたい、あるいはロシア語の文献を読むためにロシア語をやっている人にはいいだろうが、そういう人は現代では少数派ではないだろうか?現時点で一番求められているのは、例えばロシアに進出著しい日本企業の担当者ができるだけ通訳を使わず、自力でビジネスに活用および応用するための会話力だと思う。これは通訳を目指す人にとってもまず自分の意思をロシア人に伝える事が出来て初めて通訳の勉強に取り掛かれるわけだから、実戦的な会話力を高めるというほうが需要は多いと思う。日本のメーカーや商社で作るモスクワの商工会も私が帰国した2004年は80社ぐらいだったが、今や150社と聞く。会話力をつけるには小話のオチ以外の会話の部分を暗記するとよい。自然に口語のロシア語が身につくし、ついでに小話も覚えておけば宴会でウオッカ攻撃から逃れられるかもしれない。帯研の出題を解いてみたり、他の参加者の回答例を見れば、岡目八目で、案外知らない自分のロシア語の弱点が見えてくるかもしれない。
Брежнев и Рейган поспорили, у кого дети лучше знают математику. Побывали в школах, поспрашивали детей в США и СССР. Рейган говорит:
- Да, ты выиграл! В вашей стране почти на каждой стене написаны икс, игрек и знак высшей математики!
設問1) オチが分かるように和訳せよ。
確かにドストエーフスキーを語る人は年配の人が多いです。予備校の生徒に聞いても知っていると答えた生徒はほとんどいません。光文社からでた「カラマーゾフの兄弟」の新訳は全3巻合わせて7万8千部でたそうですが、いったいどんな人たちが買ったのでしょうか?
<和訳です>
ブレジネフとレーガンは数学がよくできるのはどちらの国の子供なのか口論した。学校訪問を繰り返し、アメリカとソ連の子供たちに事あるごとに質問をした。レーガンが次のように言った。
「わかった、アンタの勝ちだ。ソ連では、ほとんどの壁にxyと一緒になにやら高等なйという関数(姦通)記号が書いてあるからね」
хуйという落書きがあちこち書いてあることをみてロシア語を知らないレーガンが、х、у、йを数学の記号だと勘違いしたというオチでしょうか。オチの和訳は苦しいです。
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オチの理解はその通りです。これは外国人にはオチの理解がかなり難しい小話です。わりにあっさり正解されたので、なかなかアネクドートのセンスがあることになります。私の訳よりよいでしょう。こういうのが分からなくても、小話を多くやることでそのセンスは磨かれると思います。さて私の訳は、
ブレジネフとレイガンがどの国の子供が数学をよく知っているか言い争いました。米国とソ連の学校に行って子供たちに(いろいろ)尋ねました。レイガン曰く、
「負けたよ。貴国ではほぼどの壁にも珍プンカンプンな高等数学の記号が書いてあったからね」
解説)最後の行を直訳すると「負けたよ。貴国ではほぼどの壁にもX、Y、それと高等数学の記号が書いてあったからね」。ХУЙと書いてあったのだろう。
хуйは協邦通商時代にある通訳の方から教えてもらいました。他にもいくつか当時の辞書には載っていないものを教えてもらいました。この手の単語は忘れないものですね。修理船のスペックなども当時訳していましたが、残念ながらобменять клапаны位しか記憶にありません。