2007年03月08日
●帯研(第64回)
10年前にカザフスタンのアルマトゥイに2年駐在していた。そのときにユダヤ人の美人秘書がいたが、彼女の夫はインドを往復するかつぎ屋(мешочник, челночник)をしていたことがあって、何度か彼女もデリーに行ったことがあるという。私も3ヶ月ほどボンベイに出張したことがあるので、英語はどうと聞いたら、デリーではみんなロシア語を話すというので仰天した思い出がある。ロシア人の闇屋相手には当然程度はともかくロシア語を話すわけで、そのインド人を見てインド人はみなロシア語ができると思ったようだ。インド人は英語かヒンディーか、あるいはその他のインド固有の言語は話すかも知らないが、ロシア語を話す人はほとんどいないと説明しても納得しなかったようだ。ロシア人は英米人もそうなのだが、言葉に誇張が多い。日本人が比較的言葉に厳密なのかもしれない。あのロシア人は完璧に日本語を話すとロシア人が言ったら、私の経験では、挨拶程度の日本語を話すと考えてまず間違いない。程度の副詞については辞書に書いてあることが必ずしも正しいとは限らないのである。
- Финны – самые воинственные в мире мужчины.
- Почему так думаешь?
- Они даже спят с финками.
設問1)オチが分かるように訳せ。
先日、友人と話したところ、イスラエルはロシア人が多くいるようですね。ロシア語でビジネスできてラッキーのようでした。
<和訳です>
「フィンランドの男性が世界で一番戦闘好きだね」
「どうしてそんな風に思うんだい?」
「寝るときだって、『一突きできるもの』と一緒
だからさ」
финнкаに「フィンランドの女性」と「ナイフ」の二つの意味がかけてあるわけですね。
女性の社会進出の割合を示すジェンダー・エンパワーメント指数(GEM:Gender Empowerment Measure)というのがあるそうですが、フィンランドは世界で5本の指に入っているようです。女性が強そうなお国柄ですが、そんなところも揶揄した小話と考えていいのでしょうか。
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1度だけ1週間ほど車の修理に20年前に行ったことがあります。物価は高いがいいところです。フィンランド人について多くのロシア人は頑固者、粘り強さを上げています。フィンランドの女性については知りません。オチの理解はその通りです。私の訳は、
「フィンランド人は世界でもっとも勇猛な男たちだ」
「どうしてそう思うの?」
「あいつらフィンランド酢すら呑んでやがる」
解説)финка はфинский ножをヤクザが真似て作った「ドス(ナイフ)」。片刃で鍔はない。これはナイフではあるが、日本でいる出刃包丁(出刃ではないが)のように殺人で普通に用いられるものなので訳に工夫が必要。私のサイトの武器のところに写真がある。これとフィンランド女をかけている。最後の行の直訳は「フィンランド女とすら寝ている」。
インド人のコンピュータ分野への進出はすごいですね。以前テレビを見ていたら、アメリカの会社に雇われたインド人がインド国内で、アメリカの顧客に対する電話応対をしていました。時差を越えた答を用意しているのだとか。アメリカの顧客は、当然電話をかけたアメリカの(自国の)会社の社員が応対していると思いますよね。
また、95年頃、ВДНХで、インド人が電気製品を売っていて驚いたことがありますが、あれはかつぎ屋さんが持ってきたものだったのですか!
回答です。
「フィンランドの男は世界一勇猛果敢だね」
「なぜだい?」
「"フィンランド"のママ(馬馬)と寝ることだってやってのけるからさ」
финка には「フィンランド人の女性」という意味と、「北国種の小型の馬」(研究社)という意味があるので両方をかけたものだと思うのですが、日本人向けの小話としてはできの悪さがお笑いですね。和訳がぴったりこないです。→無理です。
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95年頃のインド人や黒人は留学生のアルバイトの可能性が高いと思います。オチの解釈ですが、これをロシア人に言えば受けるかもしれません。オドロキのオチです。私の訳は高橋さんのを参照ください。
笑いが止まりません。見事なはずし方!!自分ながらなんでこんなところで、と、もう一度辞書を見てきました。ありました。一番最初に、たしかに、финский нож と書いてありました。たぶんそういう分野に興味がないからだったのでしょう。どうぞ皆さんで楽しんで下さい。今度ロシア人に話してみます。