2007年03月06日
●アムール、アムールその2
夜。アムールを遠くに見ながらレストランで名物のペリメーニпельмени(水餃子)を食べる。いわゆるシベリアギョーザだが、ここのは壷に入っていて上を薄いパンで蓋がしてある。このパンが湯気でふかふかしていて香ばしくてとてもおいしい。しかしギョーザには肉だけで野菜が入っていない。家庭料理のピロシキпирожкиにはキャベツや米が入っているものもあるのだから、野菜のうまみや栄養のことをもっと考えるべきだと思ったが、野菜が足りない国とて仕方がないか。
次の日取引先がスクラップ用にボロ船を見に行かないかというのでついていった。氷がつるつるしているのでアイススケートよろしくすべっていたらミシミシとして氷に白い筋が走った。水深を聞くと、浅いよ、たった3メートルだという。溺れるには十分な深さだ。この船、船齢32年。はしごを恐る恐る上って甲板の上を歩く。日本まで何年も木材を運んでいたそうな。今はアムールの氷に閉じ込められて身動きすらできず最後の航海はスクラップを積んでで、着いた港で解体され自らもスクラップというのも何か無残な気がする。
ようやく一週間が過ぎて帰国の日。通関が済んでスーツケースを渡したところでギクっときた。ラヂクリートрадикулит(ギックリ腰)だ。あまりに寒い中でしたジョギングのせいか。僕は這うようにして機内に入った。腰の痛みで回らぬ体で肩越しに見るアムールは雪の白に映えてまるで黒い大蛇がのたくっているように見えた。
次にアムールを訪れたとき、僕は走るのを止めた。
マイナス22度の中でジョギングするなんて想像を絶していますが、その中で水泳しているロシア人にはもう言葉もでません。アムールはアモーレの地とはならなかったんですね。
(радикулит(ギックリ腰)は日本語と似た音が入っているのは面白いです{不幸を楽しんでしまってすみません})
やっぱりそういうことに!でもその程度でおさまってよかったですね。心臓や脳がやられなくて(失礼しました)。