2006年12月09日

●帯研(第22回)

初めてモスクワに駐在したときに先輩から言われたのは、ロシアで三冬もてば一人前ということだった。結局十冬以上過ごしたわけだが、普通の日本人よりは寒さへの忍耐力はついたかもしれない。それ以外はどうだろう?この帯研で私の経験が将来ロシアとのかかわりを目指す方のお役に立てば幸いである。
Я выпил молоко.
設問1)この文が正しいいかどうか述べよ。正しくないならば、正しい文に書き換えよ。

Posted by SATOH at 2006年12月09日 12:01
コメント

ありがとうございます。
帯研は十分刺激的です。
ここで鍛えられればかなり打たれ強くなりそうです。
さとうさんの一読者として、あるいは帯研の生徒として、感想なども徐々にお伝えできればと思いますが、もう少し頭の中を整理してからにさせていただきたいと思います。

(回答です)

Я выпил молоко.

Я выпил молока.

この場合は部分生格だと思います。выпилの対象が物全体でなく、一部・不定量に及ぶためです。выпитьは常にものの一部または不定量の物に及ぼす行為を意味する他動詞に含まれるのではないかと思うのですが。
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その通りです。ただこの解答だけであれば、50点といったところです。выпитьやпопитьの補語を対格とすると、その行為の対象に完全にかかわる(この場合は全世界の牛乳を飲む)というニュアンスとなり、生格なら部分的というニュアンスが出る。これを部分生格と呼ぶ。正解はいくつかあるが、一番簡単なのは、Я выпил молока.であり、原求作先生の著作にあるように不完了体にするという方法もある。Я выпивал молоко.やЯ пил молоко.である。пить воду, пить водкуというのは新聞や小説、サイトでもよく見る表現であるのでご存知の方も多いと思う。そのほかに、対格を生かすとすれば、Я выпил стакан молока. Я выпил молоко, которое мать оставила.というように補語を限定するようにすれば「完全にかかわって」も問題はないわけである。

Posted by メイ at 2006年12月09日 21:19

部分生格⇔限定対格というわけですね。
グーグルの" "検索でヒット件数をみたら、Я выпил молоко.が50件台、Я выпил молока.が30件台でした。

確か大学のときに生格で習ったような記憶があった(どうして生格なのかは覚えていませんが)のに対格の方が多いのはなぜなのかピンと来ませんでした。ネットの文章では必ずしも直後に限定的な表現があるわけでなく(あったからといってわかったわけではありませんがが)、前後の離れたところに限定表現があったりするのですね。
чайで検索したらこんな英語とのちゃんぽんの限定表現もありました。
я выпил чай Brook Bond.
こんなのもありか、とあらためて検索してみることが面白いと感じました。

不完了体であればプロセスを意識しているので対格でよいということなんですね。勉強になりました。
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ネットでロシア語を検索することは有意義ですが、ロシア人のロシア語がすべて絶対正しいと考えるのがどうかと思います。日本人の日本語サイトを見れば分かります。今日読んだチェーホフ論(Чуковский)でも、初期のチェーホフの文体的な間違い(チェーホフは南のТаганрог出身ですから)を20近く具体的に列挙しています。ご参考のため。

Posted by takahashi at 2006年12月10日 16:39

作家でもおかしな文章を書く人はいるだろうなとは思っていましたが、チェーホフにそんなにあるとは驚きです。検索の際の注意点としてはサイトの信用性もあるかな(ジャーナリストが書いた文章とか)とは思っていましたが、注意しないといけませんね。文法的知識が正確でないと短い基本語を使った文章すらちゃんと読めないことになるのは英語でもよく生徒に注意しているポイントでした。ロシア語の基礎もおろそかにせぬよう学習していきたいと思います。

Posted by takahashi at 2006年12月10日 18:06

ありがとうございました。
ついでに否定生格やら、生格要求の動詞なども見直せたのでよかったです。

Posted by メイ at 2006年12月10日 22:24
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