2006年12月07日
●帯研(第21回)
出題しているとはいうもののロシア語の専門家とか教師ではないので、思わぬ間違いがあるかと思う。そのときは遠慮なく指摘して欲しい。ロシア語の研究者でも専門家でもないが、私も36年ロシア語を学習しているわけで、ロシア語を勉強する人の気持ちは分かりすぎるくらい分かっているつもりである。ここでいうロシア語の学習者というのは私のように市販の参考書でロシア語を勉強している人を指す。こうしたらこの難関はクリアできるのではないかとか、ちょっとしたアドバイスでかなり実戦的な面で実力アップするのでは思うことが多々あったということがこの研究会のきっかけでもあるし、将来はロシア語を教えたいと思っているので参加者からいろいろアドバイスを逆にもらえないかという気持ちもある。気軽にトライされたよいと思う。今回は息抜きに短いものを。
Штирлиц выпил со смаком. Смак сегодня угощал. Его очередь.
設問1)三つの文の意味が通るように和訳せよ。
どうも日光のテマエどころかはるかに遠い感じです。
<和訳>
シュチールリッツはうまそうに酒を飲み干した。満足感を今日の肴にした。ぶっ放して片がついたのだ。
今回は連想ゲームのように状況設定をあれこれ考えて楽しみました。何かを達成したことで酒をおいしく飲んだのだろうとアタリはついたのですが、第3文のочередьの意味がピンと来ません。辞書で調べると「順番」や「行列」というおなじみの意味のほかに「機関銃の一連射」という意味が載っていました。Очередь за пивомとさとうさんのナンセンス小話(シュチールリッツ)にあったので、「順番」とかけているのかもしれないと思って訳してみましたが、根拠はまるでありません。第1文と第2文にあるсмакあたりがヒントになるのではと思ったのですが、まさか英語のsmokeとはかけてはいないですよね。あたりかまわず銃をぶっ放して硝煙の中でうまそうに酒を飲む、殺しのライセンスを持つスパイ「シュチールリッツ」という設定もおもしろいな、と積極的に誤読しました。(わからないとなると開き直ります)。また、英語の単語smackにはヘロインという意味もあるのですが、ロシア語のмакにはケシという意味があり、そちらの意味が絡んでいるのかもしれないとも考えたのですが、そうなると、最後のочередьの意味がわかりづらくなりました。「彼の順番」という直訳はいったい何の順番なのだろう。酒と麻薬でヘロヘロになってとあの世へ行く順番でもきたのか。さらには、満足感と順番というのは、ひょっとして性的な話しなのか、と連想もしたり、ポイントがしぼれませんでした。
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考えすぎでしょう。очередьは順番です。これはナンセンス・駄洒落小話(私の分類)と呼ばれるもので、高橋さんならいい答えが出るかと期待していたのですが、残念です。со смаком「おいしそうに」とСмакスマーク(人名)をかけた駄洒落です。私の訳は、
シュチールリッツがうまいと飲みました。馬井が今日はおごりました。彼の番だったからです。
Смакスマーク(人名)には気がつきませんでした。誤読のオンパレードになってしまいました。ここまで誤読すると恥ずかしいですね。
まさか、こんな結末だとは思いもしませんでした。
ネット検索してもこのままの文章が出てくるのでどこがおもしろいのかがわからず、もっとなにかあるはずだと探しまわっていました。
ここは毎回めまぐるしく変わるので、ついつい裏の裏まで深読みをしたくなります。
毎回、「よぉ~し、勝負!」と意気込んでPCの前に座るのですが…ときどき裏をかかれます。
これからも「当たるも八卦当たらぬも八卦」でいきましょう!
こういう駄洒落だとわかった時点で、一つ。
シュチールリッツはほっぺたが落ちそうだねと喜んで飲み干した。
おたふくかぜの板井が今日はごちそうした。彼の番だからしかたがなかった。
「大石」も使えますね。
(あ~ だんだんバカになっていく…)
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ご苦労様です。個人的な見解ですが、小話の和訳では、やはりもとの小話の長さ(大体短いものが多いですから)を考えて訳すことが必要です。説明をすればオチは分かりますが長くなって、小話としてのキレがなくなります。それと単語を変えるのは最小限にするということです。そうでないと別の分野、つまりある小話にヒントを得た創作小話(翻案小話)となるのではないかと思います。
やっぱりそうでしょうね。原文にないものを追加すればその時点で創作となりますから。同じテーマを異言語で笑いあうというのは至難のわざですね。やっぱり双方で笑えるものを選択するしか道がないのでしょうね。