2006年12月01日

●帯研(第18回)

今回は設問は多いもののレベルはやや低い。
Генерал устроил прапорщикам проверку на сообразительность.
- Что такое: пара чёрных, блестящих, у двери стоят?
Молчание.
- Эх, вы. Это пара ботинок. Вот вам вопрос посложнее: четыре чёрных, блестящих, у двери стоят.
Молчание.
-Эх, вы. Это две пары ботинок. А вот вам самый сложный вопрос: живёт в болоте, зелёная квакает.
Прапорщик тянет руку.
- Ну, говорите.
- Три пары ботинок!
設問1)和訳せよ。
設問2)下から2行目のговорите.をскажите.に代えることができるか。理由を述べて説明せよ。
設問3)ботинкиが他の靴とどう違うか具体的に説明せよ。
設問4)ロシア小話でпрапорщикというのは一般的にどういう位置づけか?

Posted by SATOH at 2006年12月01日 14:36
コメント

 今回の問題でひっかかったのは、靴をおいてあると言う場合、なぜлежатではなくてстоятなのかでした。それともここではドアのそばに何かに立てかけて置いてあるのでしょうか。あるいはботинкиはстоятで、тапочкиならлежатとか。
 それと、ботинкиは、素材もぴかぴか光るもの、たとえばエナメルとか皮(磨けば光る)と決まっているのでしょうか。なぜここでблестящиеが使われているのかも不思議です。こんな簡単なことがわからないのでは私もアネクドートのネタになりそうですね。どうぞよろしくお願いします。

問1)将軍が准尉の判断力(理解力)のテストを行いました。
「黒くてぴかぴかのものが一組、ドアのそばにおいてある。それは何か」
沈黙…
「まったくもう、おまえたちは!短靴1足じゃないか。ではおまえたちにもう少し難しい問題を出す。黒くてぴかぴかのものが4つ、ドアのそばにおいてある。それは何か」
沈黙…
「まだわからんのか!短靴2足だよ。次は一番難しい問題だ。沼にいて、緑色で、ゲコゲコ鳴くのは何か」
一人の准尉が手を上げました。
「よし、言ってみろ」
「短靴3足です!」

設問2)この場合はговорите、скажитеのどちらでもいいと思います。帯研第9回で以下のような説明をいただいていますので。(完了体というのは「動作をはっきりととらえる」というのが本来ある意味で、新しいことや最初というものを表すというニュアンスが出ます。それが依頼という用法にもなります。Говориを使うのは、学校で生徒に質問を出し、それに対して生徒が手を挙げ(答えようとしているから手を挙げるわけである)、その生徒を指してговориと言えます。着手の用法の延長としてとらえればよいのです)

設問3)ботинкиはくるぶしの上まであるひも付きの短靴と理解しているのですが…

設問4)軍人の階級のことはよくわかりませんが、おそらく兵卒(兵隊さん)の上ぐらいの地位なのでしょうか。想像です。なのでアネクドートの中ではあまり賢くない対象(の代表)としてとり上げられているのでは?
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アネクドートだからいい加減に理解してよいということは、ありませんが、やはりもっと力を抜かれた方がよいかと思います。靴はこの場合軍靴ですから、靴に胴の部分があるので、横に寝ていたのではなく、普通に置かれたと理解すべきです。訳はオチの理解も含めてその通りですが、気になったのは、判断力(理解力)テストと露和辞典そのままの訳を使っていることです。露和は紙面の関係からほとんどの露文に訳がつくよう一般的な訳が載っているのが普通です。プロはここから自然な日本語になるように工夫するわけです。この小話のテキストの和訳の部分を仮に小学生に聞かせたとしたら、これは「謎々」だというと思います。このテキストで「判断力(理解力)テスト」という日本語を使うかどうかということも含めて自然な日本語ということにそろそろ意を砕いていもいい頃だと思います。メイさんは能力的には中の上か上の下くらいですから、あとはプロとしてのちょっとした工夫(つまり自然な日本語)ということです。ただ意訳に走りすぎると、これも誤訳になる可能性もあるということです。他の日本語は将軍の言葉もうまく訳されていてよい訳だと思います。日本語は詩の訳もそうですが文章は上手です。ですからちょっと工夫するだけで和訳はかなりうまくなると思います。設問3は他の靴との違いについて露露などで調べる癖をつけることが後々役に立ちます。私の訳は、
訳)ある将軍が准尉たちに謎々を出しました。
「二つで黒くて光っていて、ドアのところにあるものなーんだ?」
シーン。
「何だ、君たちは。1足の靴じゃないか。じゃもっとひねった問題だ。4つあって黒くて光っていて、ドアのところにあるものなーんだ?」
シーン。
「何だ、君たちは。2足の靴じゃないか。じゃあ最も難しい問題を出そう。沼にいて、緑色で、ゲコゲコと鳴くのは?」
 ある准尉が手を挙げました。
「じゃあ、言ってみなさい」
「3足の靴です」
解説)
設問2)これは代えられない。前にも説明したように、скажитеという完了体命令形は要請を示す。Говоритеは准尉が手を上げているのだから、答える(話す)ということは前提として分かっている。そういう場合は不完了体のговоритеを使う。Говорите を使う例として、Скажите, где туалет. Я не расслышал. Говорите погромче.という様態の用法しか知らないとテキストのようなговоритеを聞くと面食らうことになる。
設問3)日本で言う紳士靴は一般にはтуфли(婦人靴もそう呼ぶ)でひもなしの靴、スリッパでもかかとがあればтуфлиという。ботинкиというのは足首の上までくるような日本で言う防寒靴や作業靴、スキー靴、スケート靴のようなものでひものついているもの。Полботинкиは紳士靴でひもでしめるタイプ。英語ではOxford shoes, oxfordsと呼ばれているものに近い。бутсы、бутцыはサッカーシューズである。
設問4)准尉は尉官обер-офицеры(少尉、中尉、大尉)のすぐ下で士官офицерыの一つ。この上が佐官штаб-офицеры(少佐、中佐、大佐)、曹長、軍曹は下士官унтер-офицерыとなる。准尉は兵隊の直接の上官と考えてよい。小話では将軍とともに馬鹿扱いされる。

Posted by メイ at 2006年12月03日 00:08

今回はやさしめということですが、そうなると結構プレッシャーがかかりました。ちゃんと答えられているかどうか不安です。
設問1)
将軍が将校たちをどれくらい理解力があるかテストした。
「これは何だ?二つからなり黒くて光っていてドアのところにあるのは?」
沈黙。
「おいおい。それは1足の靴だぞ。それではもっと難しいヤツを出すぞ。四つからなり黒くて光っていてドアのところにあるのは?」
沈黙。
「おいおい。それは2足の靴だぞ。次は最も難しい問題だ。沼地に住んでいて緑色のゲロゲロ泣くのは?」
一人の将校が手を挙げた。
「さあ、答えてみたまえ」
「3足の靴です」

прапорщикという位は漠然と将校としましたが、はっきり訳しほうがよかったでしょうか。

設問2)
この場合はここまで誰も答えていないので発言を促すことに重点があるため不完了体のговоритеの方が適切ではないでしょうか。一方、完了体の方は結果に重点がいくため、скажитеにすると『答えをしっかり教えてくれ』というニュアンスが出ると思います。
設問3)
かかとのところまである編み上げの靴とは辞書にあります。ヒモがあるかないかで区別をするのでしょうか。いまひとつはっきりしませんでした。
設問4)
言われた通りのことしかできない「ばか者」という位置づけでしょうか。
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オチも小話の理解も合格点ですが、やはり日本語として不自然なところが目立ちます。「理解力」、「二つからなり」「泣く(鳴くでしょう)」など研究の要ありです。一度和訳してから自然な日本語かどうかチェックする癖をつけたほうがよいと思います。
設問2)その通りですが、完了体の命令形は「要請」です。
設問4)言われたことだけする馬鹿ではなく、言われないこともする馬鹿者です。軍関係のアネクドートをたくさん読めば私の言うことも分かります。

Posted by takahashi at 2006年12月03日 16:23

ご指摘どうもありがとうございました。
自然な日本語にするという意識が薄かったようです。置き換えただけで満足していてはまだまだですね。反省です。

Posted by takahashi at 2006年12月03日 18:54

 さとうさんはいつも過大評価して下さいますが、私は、たぶん新聞の事実の記事は読めても、文学(大人向け)を楽しんで読むのはまだまだだと思います。もちろん子供向けでも驚くほど辞書を引きます。ボキャブラリー不足は深刻ですので、そのうちご相談させていただければと思っています。

 今回の訳はたしかに、軍の中でこんな幼稚なことをするのかなぁ…とおかしく思いながらどうしたものかと考えました。軍隊的でなくてもよかったのですね。「准尉ののみこみ度をためしてみた」ぐらいでもまだ固いのでしょうね。根がカタブツなものですから(笑)。
 
体の用法もほんとに弱点です。着手がはっきりわかっている場合は不完了体のみ!ですね。よくわかりました-C.
 
ботинкиの素材は何でも可。Полботинкиは、くるぶし以下のひもつき紳士靴のみ。何度も中断しながも長い間ロシア語と付き合っていても、こうした生活上の簡単なことがわかっていません。たとえばкофточкаも上に着るもの(カーディガンなど)をさすのはわかるのですが、具体的に何と何をさすのかなどもいつもわからいままですましているような気がします。

軍関係のアネクドート、おもしろいのが出てきそうで楽しみです。
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辞書を多く引くのは上達のコツです。私は毎日岩波露和だけで200回ぐらいは引いていると思います。すべての事柄を知ることは不可能です。私は服地(ラシャ、金巾など)は不得意で(日本語の意味がものとして実感できないので)、もしこの分野で翻訳となれば家内にかなり教わる必要があるでしょう。ですから女性が軍関係に興味をもてないのなら(仕事でないなら)適当に露和の訳ぐらいで読み流しておいてよいのです。ですから例えば服地関係なら実際のものは知っているということで、その分野のロシア語を極めるというのでもよいのです。ただロシア語と日本語がぴったり訳が合わない場合もあります。色の例で言えば「青い空」は
голубое небоとсинее небоがありますが、ニュアンスは別です。それに信号の青はзеленый цветですし。セーターで思い出しましたが、свитер, водолаз, пуловерの違いなど、現代で一般的に言う場合どういうかなど、身近なものでも露和の訳が必ずしも正しいと言えないものもあります。何せ編集者はだいたい男でしょうから。この辺にも大衆文化(お笑いや、映画や、オチだけのことをいっているわけではないので)で、一般のロシア人を理解するという意味で女性の活躍する余地は大いにあると思います。ご活躍を祈っています。

Posted by メイ at 2006年12月03日 21:07
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