2006年11月20日

●帯研(第10回)

最初の回答が来れば、もちろん自分のコメントをつけるが、最初の人だけしか解答を見ないということではない。前の人の回答を読まずにどんどん自分の回答を送って、それから読めばよい。重複でない限りできるだけ参加者の回答はチェックしてコメントする。さて帯研をやってみようという人はプロつまり上級を目指している人だろうから、ロシア人に会話を習っている人やロシア人と話をする場に参加しているという人も多いと思う。例えばロシア人に具体的な例で言葉のニュアンスや、体の用法の違いなどを聞いても、Так не говорят.と言われるだけか、説明を受けてもそのロシア語の説明を生徒が聞き取れない(聞き取れるレベルなら会話を習う必要もないわけだが)ということになる。別にロシア人に会話を習うなと言っているのではない。小説の会話のシーンや書いてあるアネクドートの音読で、発音とイントネーションを徹底的に直してもらえば授業料の元が取れることになる。それに相手はなにせ本物のロシア人だから、話をするだけでもっとロシア語を勉強しようという意欲が湧く。ただ肝心の会話はうまくならないだろうと思う。たいていの日本人はロシア語を20歳前後から始めるわけで、幼児じゃないのだから、そういう人に理屈抜きにこうは言わないからただ丸暗記しなさいではうまくなるはずがない。会話などで聞くのも馬鹿らしいなと思うような疑問、つまりなぜこうなのか、なぜこういってはいけないのかについて理詰めの説明をしてくれないからと、全ての質問に答えがあるわけはないと分かってはいても、それなりの解説もなく、自分の疑問や質問を胸にしまい続けるというのもかなりのストレスになる。よほどロシア人のいる環境がそろっていない限り勉強は長続きしない。それを克服して生き残るような人々(独力でがんばり続けるという意志の強い人々、こう人たちが上級者になる)でも、無限といえるほどのパターンを覚えなければならなくなる。文法というものは必要なパターン(動詞や名詞の変化など)を、整理して最小限におさえるためのものである。そういう風に理解してもっと文法の勉強が必要だということは理解できると思う。プロの通訳やビジネスマンはロシア語で自分の好きなことだけ聞いたり話したりするということはない。あらゆる分野(文学、芸術、科学技術、ファッション、政治経済など)が大好きという人はいないだろうし、不得意な表現や構文というのは存在するし、どうやっても覚えられないという相性の悪い単語や言い回しもある。会話の先生になる人はロシア人でも日本人でもそういう質問に答えられる人につかないと、会話の上達は望めない。中級のレベルでは、つきっきりの会話指導は必要ない。ちょっとした上達のヒントや行き詰まったところの回答を上級者からもらえれば、飛躍的に先に進むのである。ここでいう上級者というのはロシア語で食べている(パートでもフルでも)プロのことで、教師、通訳、翻訳家など何でもよい。全ての分野に通じた万能の上級者というのはいないのだから、自分の得意な分野で後進の質問に答えてくれるようなブログを作ればよいのにと思う。差しさわりがあるなら匿名だって構わないはずだ。初歩では大学の研究室でそのようなサイトは見るが中級者向けにはほとんどないように思う。まあ別に人間でなくともいいわけで、参考書でもよい。そのため中級以上の参考書が必要だが、昨今ロシアでは再版されないし、ナウカのいくつかのよい参考書は絶版だろう。今手に入るロシア語関係の参考書といえば初心者向けが多いので、先に進もうという人には大変な時代だと思う。人のことを言っても始まらないのでとにかく微力を尽くしたいと思う。今回の出題は、

- Доктор, у меня ухи болят.
- Вы жена генерала?
- Да, а как узнали, по мехам?
- Нет, по ухам.
設問1)オチが分かるように和訳せよ。オチだけ別に説明してもよい。

Posted by SATOH at 2006年11月20日 14:13
コメント

新たな入会者が入ってこられてとても嬉しいです。これからは「赤信号、みんなで渡れば恐くない」方式でやっていけそうです。

設問1)
「先生、(両)耳が痛むんです。」
「あなたは軍人の奥さんですか?」
「ええ、でもどうしておわかりに?毛皮でですか?」
「いえ、(両)耳でです。」

日本人にはまったく通じないアネクドートになってしまいました。力量不足です。こんなアネクドートを通訳させられたら、いち、にのさんで笑ってもらうしかありません。

オチの説明) 
генералはなんと訳せばいいのでしょうか。軍人の階級はよくわかりませんので単純に軍人としました。
まず片耳(単数)はухо、両耳(複数)はушиとなるところを、この毛皮を着た女性患者はまちがえてухиと言い、それに気づいた医者が、患者の夫の職業が軍人ではないかと推測する。(軍人は五露助成金とともに無知の代表格でアネクドートにもとりあげられると、さとうさんがどれかの著書で書かれていて、ああ軍人もそうなのか、と納得したおぼえがあります)
するとすかさずこの奥様、毛皮でわかったの?と成金的なことをおっしゃいます。医者はわざとまちがった両耳(複数形)をそのまま格変化させて「耳で」ですよ、と答えます。「パ・ウシャーム」でなく「パ・ウハーム」で。

あと数行付け足しました。
- Не Ухи, а Уши.
- Вот вот! Особенно болит правое Ушо.
(アネクドートのサイトより)
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その通りです。オチは分かっているのですから、和訳をもう少し考えた方がよいでしょう。といっても私のもぱっとしませんが。генералは将軍で、少将、中将、大将、元帥を指します。私の訳は、「先生、私、ミンミが痛いんです」
「将軍夫人ですかな?」
「そうです。でもどうして分かったんですの?毛皮ででしょうか?」
「いえ、ミンミで」


Posted by メイ at 2006年11月21日 11:31

ухиを最初は「魚のスープуха」と辞書を引き、目が点になってしまいました。ロシア語から遠ざかるととんでもないことですね。退会を強制しないでください。
メイさんの回答を先に見てしまったので反則なのですが、自分なりに考えた訳です。
ロシア人では活用を知らないことが無知の表れであるとすると日本人は漢字の使い方・読み方がわからないと無知と嘲笑されると考えて以下の訳にしてみました。

先生、御耳(ごみみ)が痛いんです。
将軍の奥さんですな。
そうですよ。でもどうしてお分かりになったのかしら。この毛皮かしら。
いいえ、御耳(ごみみ)って言ったからですよ。
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私の訳よりよいと思います。おかげで私も訳を変えて、「誤耳」というのはどうでしょう?オチが分かれば後は日本語のユーモアのセンスчувство юмора次第ですから、小話で和訳の腕を磨いて紹介したい本の翻訳とか(アネクドートは私の食い扶持が減りますからやめてほしいですが)がんばってください。

Posted by takahashi at 2006年11月22日 11:45
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