2006年11月19日

●帯研(第9回)

ロシアのアネクドートにはかけ言葉がオチになっているものが多いが、和訳のアネクドート集では訳せないと無視されることが多い。簡単なもので筆慣らしをしてみてはどうか?
- Скажи, Вовочка, какой предмет тебе больше всего нравится в школе?
- Звонок, папа.
設問1)できるだけオチがわかるように和訳せよ。オチだけ別に説明してもよい。
設問2)Скажиの代わりにГовориと言えるか?

Posted by SATOH at 2006年11月19日 09:19
コメント

はじめまして、takahashiといいます。
大学時代(20年以上も前ですが)にロシア語を専攻していたのですが、すっかり錆びついてしまって、どうにかしたいと思っていた矢先にこの帯研を見つけました。とんでもないことを言うかもしれませんがよろしくお願いいたします。(ちなみに「さとう」さんとは同じ会社に勤務していたかもしれません。神田須田町の大木建設ビルにあった商社で私も2年半ほど働いていました。そのとき「さとう」さんはモスクワ駐在員として派遣されていたと記憶しています。私の勘違いであったらすみません)

設問1)
私訳
「ヴォーヴァチカ、学校で一番好きなものは何だい?」
「ベルだよ、パパ」

предметには「科目、テーマ」のほかに「物」の意味もあるので、パパは「科目」の意味で使用し、ヴォーヴァチカは「もの」の意味で受け取り「終業のベル」と答えたところがオチということになる(と思いますが・・・だんだん自信がなくなってきます)。

設問2)不自然になるのでダメだと思います。
 Говориというと何回も言うことになりそうです。不完了体は「動作が起きている」プロセスに意識があるわけですよね。内容はともかくその動作をやれという感じになるので不自然な表現となりそうです。例えば、Говорите по японски.(「日本語を話してください」)は日本語を話す動作を継続して行ってくれということになると理解しています。このアネクドートの表現に関してГовориを用いると「何が好きなのか絶えず言いなさい」といった習慣的行為を命じる感じになると思います。一方、完了体は動作の完成およびその結果を意識したり、1回1回の個別の行為を示すときに使うということですので、何かを教えたり、伝えたりしてくれという場合はCкажиでないと不自然となると理解しています、というか、そういう記憶がどこかにあります。(「現代ロシア語文法」城田俊著も参考にしています)
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協邦通商の元同僚とはМир тесен!一度お会いしたいものです。これで3人目の入会者ということで嬉しい限りです。もっとも退会するのも簡単ですが。小話の訳は100点ですが、完了体の命令形の理解は正しい(依頼を示す)のですが、不完了体については、結果オーライとはいえ、不完了体という日本語(完了しないから反復や継続だけだ)というような理解をされているのは不完全な理解のように思えます。私の訳は、「ヴォーヴォチカ、学校でどんなのが一番好きか言ってみなさい」
「ベルだよ、パパ」
解説)предметに「科目」と「もの」をかけたもの。一番好きなのは「終業のベル」
Говориに代えることはできません。完了体というのは「動作をはっきりととらえる」というのが本来ある意味で、新しいことや最初というものを表すというニュアンスが出ます。それが依頼という用法にもなります。Говориを使うのは、学校で生徒に質問を出し、それに対して生徒が手を挙げ(答えようとしているから手を挙げるわけである)、その生徒を指してговориと言えます。着手の用法の延長としてとらえればよいのです。店の中の行列に並んで、自分の番になったとき店員が、Говоритеというのも行列に並んでいるのだから買うつもり(つまりあとはチーズとか缶詰とか具体的なものをいうだけ)ということは分かっているからです。ただ書いたものだけで判断すればとこうだいうことで、実際の会話の語義の理解には文脈やイントネーションが重要な役割を果たすということを付記しておきます。


Posted by takahashi at 2006年11月19日 18:23

着手の用法の延長というのは目から鱗です。
ありがとうございました。

私もぜひお会いしていろいろお話等を聞かせていただければと思います。

Posted by takahashi at 2006年11月21日 12:31
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