2006年11月07日
●帯研(第4回)
回答者のレベルが高いが、それはそれで基礎が理解されているかチェックするため今回は運動の動詞からの出題。
Солдат жалуется старшине, что сосед не даёт ему спать, поёт по ночам: «Приди, приди ко мне Мария».
- А Вы разве Мария?
- Нет.
- В таком случае успокойтесь и не ходите к нему...
設問1)和訳せよ。
設問2)не ходитеの代わりにне идитеと言えるか?
引き続きびくびくものです。よろしくお願いいたします。
設問1)兵卒が曹長に、隣人が夜な夜な「おいで~僕のところにおいで~マリーヤ~」と歌って自分を寝かせてくれないと訴えます。
「それで、貴官は本当にマリヤなのか?」
「違います」
「それなら、落ちつきなさい。そして奴のところへ行ったり来たりしないことだね」
設問2)не идитеも使えると思いますが、隣人のところへ行くな(出かけるな)という意味になるのでしょうか?не ходитеは反復運動の禁止で、не идитеは一定方向への運動の禁止と考えました。
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間違いというわけではないのですが、定体と不定体の否定形における関係の理解があやふやなようです。定体の命令形を否定する場合は不定体の否定にすると覚えましょう。この場合は反復運動の禁止というより、動きそのものの否定です。Не идите.というのはあまり使いませんが、一旦歩き出した人に対して、Не иди дальше, упадёшь.(もう先には行くな、ころんじゃうよ)というのは正しいロシア語です。Не ходите.というのは動いていない人に対して、「行ってはいけない」(例えば危険だから)という意味です。私の訳は、
訳)兵隊が曹長に隣の兵隊が夜中ごと「ぼくのとこにおいで、おいで、マリヤよ」と歌うので寝られないと苦情を言いました。
「まさかあなたがマリヤじゃないですよね」
「いいえ」
「じゃあ、安心しなさい。彼に近寄らないように」
今回は最初からニュアンスがあやふやでした。会話の状況が想像できませんでした。きちんとニュアンスをとらえればこんなにはっきりとした日本語になるんですね。
「定体の命令形を否定する場合は不定体の否定」をしっかり頭に入れておきます。ネイティブの会話を常時気をつけて聞ける環境にいませんので、どんな状況でどんな体が使われるかがいつもわからず、辞書に頼るしかありませんでした。特に、フィーリングに関するところは(も!!!)難しいですね。ですので、このような場所を提供していただいていることは本当に有難いことです。まずは感謝です。
(ехать)поезжай→не езжай
(нести)неси→не носи
(гнать)гони→не гоняй
(плыть)плыви→не плавай
(лезть)лезь→не лазь
(ползти)ползи→не ползай
(тащить)тащи→ не таскай
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メイさんの全般的なロシア語のレベルは中級以上だと思います。ロシア人と会話できる環境にいても、ロシア語がもっとうまくなりたいという気持ちがなければ、白黒間違わなければ通じるわけで、それで流れてうまくなった気持ちになる人が多いわけですから、謙虚な気持ちが上達の秘訣です。定動詞(定体というのは私の大学時代の用語なので現代用語に直します)と不定動詞については、授業でも実戦向けの解説が行われていないようです。先生方もビジネスなどでの実戦(真剣勝負)を経験していない(日常会話はロシア人が日本人のロシア語を理解してやろうという気持ちがありますからあまり役に立ちません)わけでやむを得ませんが。さて、ездитьの命令形はезди(те)です。езжай(те)というロシア語はありません。実戦(践)的という観点から、全ての定動詞・不定動詞をマスターする必要はありません。лезть(лазить)は木に登るというより、ポケットになどに手を入れるという用法が多いでしょうし、бродитьという不定動詞(定動詞はбрести)は意味からгулятьとほぼ同じで、往復という意味はありません。覚えるなら、ходить, ездить, носить, водить, возить, летатьぐらいでよいと思います。