2012年09月18日
●和文解釈入門 第487回
日暮硯(ひぐらしすずり)」、笠谷和比古校注、岩波文庫、1988
恩田木工(おんだ・もく、1717~1762)の事績を紹介した説話。木工、忌み名は民親、信州松代藩真田家10万石の家老で、名君の6代真田幸弘に仕え、藩の財政立て直しに貢献した。自らを律し、無理をせず、敵を作らず、命がけで藩の財政改革(宝暦の改革)を行ったことがよく分かる。日本的な根回しである対話と合意による決定を目指した。そのため他の改革とは異なり、平穏なうちに改革が推移したのは褒められるに足る。「嘘は言わず、食事は飯と汁のみ、木綿着物を着る」を自分に課し、その覚悟のために、妻には離縁、子は勘当、親戚は義絶を申し渡したが、家族、親戚、奉公人もこれを守るということで、思いとどまったという。まず身内からというのは説得力のあるやり方である。年貢の無理な取り立てを止める代わりに、賄賂を禁止し、年貢を1カ月ごととし、収入を確保したのは、まるで魔法のようである。一命をなげうつ覚悟でないとできることではない。そういう人を抜擢した幸弘もまた名君である。説話であるために、宝暦の改革が本書に書かれている通りに推移したわけではないと校注にある。
設問)「その専門家の病気の期間が60日以上となる場合には、その専門家を交代させる措置を取ります」をロシア語にせよ。
В случае, если
период болезни
этого специалиста
продлится более
60 дней, то, мы примем
меры заменить его
другим.
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構文的には正しいし、正解としてもいいのですが、かなり限られた場合で、その専門家が病気になる期間が必ず60日を越えるのだというニュアンスが感じられ、つまりは体の用法に問題があります。если以下の従属節にも、主節にも完了体未来形を使うと、順次的用法となって、動作が次々行われるかのような印象を持ちます。また完了体未来形には動作が未来において起こるという確信があり、不完了体未来形には動作が起こるかどうか分からないという違いがあります。そういう意味で主節のпримемは例示的用法(~した場合は~する)と言えます。
私の答えは、В случае, если период болезни специалиста будет длиться более 60 дней, мы примем меры по замене данного специалиста.
Если ваша болезнь продолжится более 60 дней, мы примем меры заменить ответственного специалиста.
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構文的には正しいのですが、ブーチャンさん同様、если以下の従属節にも、примемがある主節にも完了体未来形が使われています。完了体未来形にはいろいろな意味がありますが、基本的な意味は、動作が必ず起こるという確信です。不完了体未来形は動作が未来において起こるかどうか分からないということで、これが動作の有無の確認という用法につながります。ご回答は間違いではないでしょうが、病気の期間が必ず60日を越えるのだという確信が感じられ、それは設問とも違いますし、現実的に、未来のことを(特に、自分の意志とは関係ない病気のようなことを)確信を持って言うことはないと思います。
不完了体の未来の時制がよく分かっていないということになります。特に動作の有無の確認、和文露訳入門で言えば、4-1-1、あるいは第300回の本文か、第375回の本文を一読ください。