2011年12月04日

●和文解釈入門 第198回

 体の用法の参考書は例文を見る限り、露文解釈の観点で書いていると思われるので、時制の説明もロシア文が中心であるのも当然である。ただロシア語と日本語は系統が全く違う言語であり、しかも一見して時制が少しずれているのではないかと感じられる表現もいくつかある。例えば結果の存続(「~いらしています」などに完了体の過去形を使う)とか、経験(「~したことがある」に不完了体過去形を使う)などがあり、そのため会話用の和文露訳をする上で、日本語を中心に考えて、ロシア語ではどうなるかという文法的説明が学習者のために必要だと考えた次第である。
 露文解釈は体の用法を特に気にしなくても文脈によっては意味が理解できるし、訳文である和文では特に意味の違いを分けなくても日本語の表現が変わらない場合も多い。露文解釈だけをロシア語の勉強の中心に据えていると、いざロシア語の会話となったときに体の用法に無頓着になりがちである。またプロが行う露文和訳となれば、体の用法を完璧に理解していないとロシア語のニュアンスを理解できないことになる。城田先生によれば文芸書の和訳でも体の用法を無視した誤訳も散見されると言うから素人に限ったことではないかもしれない。会話で体の用法を和文露訳で使う場合、発想を変えて、これまで紹介したように日本語を中心に考えて、用法を整理して覚えれば案外簡単なものであると分かる。
「記念碑」はпамятникとмемориалが考えられるが、памятникは死後の個人を想定していて、生前に銅像を建てると、それはскульптурное изобрежение(彫像), бюст(胸像)という単語を使う必要がある。мемориалは個人には使えず、集団か抽象的なもの(栄光など)で、しかも壮大なというニュアンスがある。サインは書類の署名はподписьで、アイドルなどからもらうのはавтографである。
設問)「湖は南北およそ1200キロと細長く、平均の幅は320キロで、周囲およそ7000キロである」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2011年12月04日 05:36
コメント

Это озеро
продолговатое по
форме, приблизительно 1200 км
по длине в
юго-северном
направлении, по ширине 320 км в среднем
и в периметре
составляет примерно
7000 км.
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苦労のほどがしのばれる作です。периметрはпо периметруとした方が自然です。とりたてて文法的におかしいところはありませんが、こうは言わないでしょう。私の回答は、Озеро вытянуто с вевера на юг почти на 1200 км, его средняя ширина - 320 км, длина береговой линии около семи тысяч км.
ロシア語の湖の説明を読んでも周囲~キロという表現はほとんど見かけない。ロシア人はこういうことにあまり興味がないのだろう。設問はカスピ海の説明をアレンジしたものであり、琵琶湖、箱根芦ノ湖や日光中禅寺湖の観光案内にも使えると思う。

Posted by ラーポチカ at 2011年12月04日 09:33

1) Озеро вытянуто с севера на юг примерно на 1200 км, средняя ширина – 320 км, длина береговой линии – приблизительно 7000 км.

2) Озеро протянулось с севера на юг примерно на 1200 км и достигает ширины в среднем 320 км, а длина береговой линии составляет приблизительно 7000 км.
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正解です。

Posted by Ml at 2011年12月04日 19:38

Озеро имеет продолговатую форму протяженностью с севера на юг около 1200 км, средней шириной 320 км и длиной по окружности(береговой линии) примерно 7000 км.
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お詫びと訂正。もしメイさんが拙著「ロシア人と日本観光案内」からпо окуржностиを拾ったのでしたら、これはв окуружностиの誤りです。すでに「ランポポー」では訂正済みですが、拙著をお持ちの方は「ランポポー」の拙著の訂正のページを一読願い、ご面倒ですが、訂正の方をよろしくお願いします。もし拙著からでない場合、в окружностиを湖などの「周囲は」という意味に使えるのは摩周湖などの外形が丸いと分かっている場合なので、原則的に使わない方がよいでしょう。ただПржевальскийというロブノールなどで有名な探検家の著書にはこのような用例はありますが、湖の形が確認できなかったし、окружностьは元々円周という意味なので、語源的にもどうかなという気はします。それとウクライナ人に箱根の芦ノ湖の説明をしているときに、в окружностиを使ったら、この湖は丸くはないと言われことがあり、その人は奥さん(趣味は植物学)にロシア語で正確にはどう言うべきか尋ね、より語学に権威のありそうな奥さまはпо периметруと答えてました。

Posted by メイ at 2011年12月04日 23:09

湖は南北およそ1200キロと細長く、平均の幅は320キロで、周囲およそ7000キロである
Это продолговатое озеро имеет приблизительно 1 200 км в длину с северного берега до южного, 320 км в средней ширину и 7 000 км в окружности.
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среднююとすれば文法的には問題ありません。

Posted by コーシカ at 2011年12月04日 23:58

設問)「湖は南北およそ1200キロと細長く、平均の幅は320キロで、周囲およそ7000キロである」

こんばんは。今回の設問の表現は、観光ガイドブックに載っていそうな感じがしました。
とりあえず、チャレンジしてみます!でもなんだか、無理矢理、単語だけを並べた感が・・・

Озеро имеет продолговатую форму с севера на юг около 1200
километров в длину , 320 километров в среднюю ширину и около 7000 км в окружности.
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正解ですが、「その湖は南北およそ1200きろの細長い形をしていて、平均幅は320キロ、円周はおよそ700キロです」といった訳になりそうです。作文としては、あるいその場で通訳するとしたら上の部類ですが、ガイドブックに載せるにはさらに一工夫必要です。

Posted by ロンロン at 2011年12月05日 01:18

ご指摘ありがとうございました。今回はブックレットを参照させていただいておりませんので純粋に私の間違いです。по окружности はなんとなく作ってしまいましたが,時々そうした露訳をしていますので,細かいところまできちんと調べなければいけませんね。

Posted by メイ at 2011年12月05日 22:57
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