2010年12月23日

●18.間違いやすいロシア語

キリスト教は一神教で、神道や仏教は多神教と言われているが、革命前一般民衆の信じていたロシア正教を考えると、聖母信仰、農民の信仰の篤い聖ニコラ(ミコラ、ニコライ)св. Никола (св. Микола, св. Николай) や船乗りの信仰するミコラ・モジャーイスキー св. Микола Можайский、病気の女性が信心するアグラーフェナ・クパーリニッツァсв. Аграфена Купальница、家畜を守るアグラーフィヤ・コロヴニーツァсв. Аграфия Коровница、シベリアの囚人が信仰していた聖イワン・ヴォーインсв. Иван Воинなど聖人が、日本でいう観音様、吉祥天信仰に当たると考えるのはどうだろうか。カソリックにおいても、「ビザンツ皇妃列伝」(井上浩一、白水uブックス、2009年)によれば、キリスト教のネストリウス論争において、428年テオドシウス2世によりコンスタンティノープル総主教に任命されたネストリウスは、初期のキリスト教時代の教父同様、女性の原形をイヴに求め、女は罪深い存在であるという立場を取った。これは当時民衆の間に広がりつつあったマリア崇拝(聖なる女性、処女マリア)とは相容れないものであった。聖母崇拝とともに、マリアをテオトコス(神の母)と呼ぶことが広まったが、これにもネストリウスは反対し、クリストトコス(キリストを産んだ女性)と呼ぶべきだと主張した。431年のエフェソスの公会議で皇帝テオドシウスはネストリウスを異端とした。ネストリウス派はアッシリア東方教会となって残り、また中国に渡って景教となる。日本語では複数というものあまり用いないので、露文和訳のときに困ることもある。厳密さが求められるときには「会社(複数)」などとするが、例えば、На этом графике видно, как меняются доли рынка лидеров.を「このグラフではトップ各社のマーケットシェア(市場占有率)がどのように変わるかが分かる」のように、各社というような表現もできるのではないかと考える次第である。行列はочередьで、「行列に並んでいる」は стоять (быть) в очередиだが、意味は違うがна очередиという表現も見受ける。これはбыть (стоять) на очередь = находиться в списке лиц, ожидающих получения чего-л.(何かを手に入れることを期待している人のリストの載っている)という意味だが、ある和食チェーン店のパンフレットを見ていて、全国展開(モスクワとかキエフなど)している店が列記された後、На очереди – Днепропетровск, Львов, Ярославль.とあった。これは出店見込み(予定)という意味で使っている。

Posted by SATOH at 2010年12月23日 13:20
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