2010年11月21日
●ロシア語珍問奇問第15回
2010年11月22日付タイム誌にプラトンの言葉として「必要は発明の母」(ロシア語ではГоль хитра на выдумки.)というのがあり、このほかにガリレオの言葉としてDoubt is the father of invention.というのがあった。「疑いは発明(創造)の父」とでも訳すのだろうが、現代では図書館やインターネットが手近にあり、質問や疑問さえより具体的であればある程、なんらかの答えは見つけ得る。いかに自分で疑問を見出すかというのが、学ぶ態度として重要だということが分かる。そういう意味もあって今回も引き続き、和文露訳をする上で簡単に答えが出ないものを考えてみたい。столも和訳がすぐにできない単語の一つである。机かテーブルのどっちかだがロシア人にとってはどっちでもよくても日本語では困る。確かに厳密には机はписьменный столで、食卓ならобеденный столというが日常ではいちいちこうは言わないだろう。同じようにбратやсестраも訳が困る。兄старший братか弟младший братか、姉старшая сестраか妹младшая сестраかどちらかのはずである。つい兄弟や姉妹と訳して逃げを打ったりもするが、何か違和感がある。ところで姉妹都市はгород-побратимといい、побратимは義兄弟ということで、革命前の農村などでは、お互いがもっている十字架を交換して義兄弟となった。義兄弟同士では婿取りや嫁取りはしないとされた。братья по крестам, крестовые братья, названые братьяともいう。日本では義姉妹とは言わないが、ロシアでは女性同士に対しても使い、посестрины (= посёстры、単数はそれぞれпосестрина, посёстра), сёстры по крестам, крестовые сёстры, названые сёстрыといった。動詞はпобрататься, посестритьсяを使う。男と女の義兄弟は稀とあるが、絶無ではなかったようである。