2010年11月11日

●ロシア語珍問奇問第12回

同語反復というのをロシア語は嫌う。できるだけ一つの段落では同義語で言いかえるか、人称代名詞、指示代名詞を使うように言われる。ましてや一つの文中ではなおさらである。文語では同じ名詞の反復を避けて3人称の人称代名詞の意味で指示代名詞のтаковойを使うことがある。例えば、Все замечания и предложения читателей будут, несомненно, с
благодарностью учтены при переиздании, если таковому когда-либо суждено осуществиться.(読者のご意見、ご感想は必ず再版の機会があれば、そのときに御厚意を謝して反映させます)。しかし、本当に同語反復はないのだろうかと長いこと疑問に思っていたが、セルゲイ・マクシーモフСергей Максимовの名著「シベリアと流刑」Сибирь и каторгаを読んでいたら、Количество женщин немного уступает количеству мужчин.(女性の数は若干男性の数に劣る)という文を見つけた。本書は19世紀中ごろのもので、ジョージ・ケナンも誉めている本である。ロシア語でも同語反復は絶対にダメというわけではないようである。количествоをоноに置き換えると、уступает ему мужчинと非文法的な文になるからだろう。まあ Женщины по количеству уступают мужчинам.とするのが普通だとは思うが。

Posted by SATOH at 2010年11月11日 09:08
コメント
コメントしてください