2010年08月28日
●日本の心 第2回
ロシア語の本は別にして、次回以降に挙げる日本語の本の8割か9割は図書館にあるものである。現に私は東京都葛飾区に住んでおり、区内には11の図書館があるが、インターネットで書籍の貸出予約が出来、最寄りの図書館で受け取ることができる。しかも区内の図書館になければ区外に問い合わせてくれるサービスもある。頼む本が古い本が多いからか、面白くないから借りる人がいないのか、ほぼすべて貸出順位1位で、だいたい翌々日には最寄りの図書館に届き、私の個人メールに知らせが届くという便利な時代である。これを利用しない手はないと思う。読みだして気に入らなければ図書館に返せばいいだけである。葛飾区内の本屋に私の著者は置いていないので、1冊でも置いてもらうのが当面の私の目標であるが、区内の図書館には8冊もある。そういうこともあって葛飾区の図書館は目が高いな、葛飾区に住む価値はあるなと思う今日この頃でもある。幕末・明治の自伝で、とくに文語調のものなどを読むときに当方の浅学非才のため、随分広辞苑や新字源の世話になった。歳のことを考えると何か情けない気がしないではないが、辞書を引いて分かるなら死ぬまで勉強だし、それもよしと考える次第。最近新聞の新刊紹介蘭が充実しているが、既刊の方にこそ良書が多いのはものの道理で、テーマ別にどういう本があるという紹介をした方がよいと思う。
ガイドの勉強のために当然日本の文化そのもの(もののあはれ、侘び寂び、幽玄、禅の悟り、粋、義理と人情)、外国人の書いた日本史についての本も読んでおり、参考となると考えたのを挙げてある。それが第一部「日本の心」である。第二部は「外国人の目で見た日本、および異国の日本人」であり、基本的に明治前後とし、その時代の雰囲気を窺う事が出来る聞き書き、実話、自伝なども必要に応じて配した。このほかに日ロ関係の文学も大いに参考になる。井上靖の「おろしゃ国酔夢譚」、司馬遼太郎の「坂の上の雲(日露戦争)」とか「菜の花の沖(高田屋嘉兵衛)」が有名だが、筆者が読んだもので、ガイドの業務にも役立つと考えられるものを、ロシア語で日本について書かれた文献や日本語の文献を小説も含めて参考のため挙げたのが第三部「その他」である。特に重要と思われるものは*を付した。この半年でこれに関する200冊を超える文献を読んだが、ここにガイドをするうえで第一部の方が参考文献としてはより役に立つ(即効性がある)と考えたのでこのように分けた次第である。拙著「ロシア人と日本観光案内」の中で書いた「観光案内のための参考書」は紙数の関係で、すべてを書ききれなかった。開国前後で外国の影響を比較的受けていないものをより多く読んだ。ただ日本独自の文化や日本人気質を知るため、上流階級の考え方については主に当時の自伝を、一般的な日本人のそれについては来日した外国人の記述や、篠田鉱造、下母澤寛などの聞き書きを、下層階級については、「職工事情」や「明治東京下層階級生活誌」などを読んだことを付記しておく。