2008年11月13日

●新帯研 第37回

私はカザフに2年ほど駐在していたので、カザフについてしばらく書いてみたい。カザフ人はチュルク系であり、13世紀にモンゴルに征服され、14~15世紀にウズベク族から分かれ、15世紀後半にカザフ・ハン国が生まれた。言語的にはウズベク語に近いが、ソ連時代にウズベク標準語とされたのは政治的観点からフェルガナ方言であり、これはタジク語(イラン語族)の影響があり、カザフ語にはある母音調和がないと言う。この母音調和はおよそ千年前頃の日本語にもあったらしい。ウズベク語はカザフ語に比べて聞いていて非常に軟らかい感じがする。カザフ語はウズベク語と違いほとんど方言はないし、チュルク祖語により近いとカザフ国立大学の教授から聞いた。つまりカザフスタンから西に向かうに従って(カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、トルコの順)チュルク祖語から離れているというのである。カザフ人・ウズベク人にはキプチャク族の血が、キルギス人にはオグズ系の、トルクメン人にはセルジュクトルコ人の血が入っているとされる。9世紀古代ロシア人を悩ませた遊牧民ペチェネーグ族(チュルク系)は一部バシュキール人となったといわれ、トルコ人はオスマントルコの末裔である。ウズベク人は定住を好み宗教的にも回教の教義を守る。しかしカザフ人は遊牧志向で一応回教徒(スンニ派)とはいうものの宗教をそれほど厳守しない。市場には豚の頭も売っている。遊牧民であるカザフ人には農耕民族であるウズベク人に対して今でも軽蔑感を持っているようだ。カザフ人はジギットджигитを尊ぶ。これはもともと乗馬の名手という意味であるが、騎士的なニュアンスがあり、カフカースなどでも用いられる言葉である。今回の課題は、
- Что нового, коллега? – спрашивает один врач у другого.
- О, уникальнаый случай! Соломенная вдова, больная сенной лихорадкой.
設問)和訳せよ。オチを別に解説してもよい。

Posted by SATOH at 2008年11月13日 13:10
コメント

帯研2回目の投稿になります。
大変僭越、失敬であることを、レギュラーの皆様には予めご了承いただいたきたく存じます。

和訳
「何か変わったことはないですか?」とある医師が同僚に尋ねました。
「面白い症例があるんですよ。亭主と別居中の女なんですが、わら熱を患っています」

ロシア農村の納屋。ふかふかの藁は、男女の営みの場になっている、と何かで読んだことがあります。「わら熱」と訳しましたが、要するに別居中の妻が、ご無沙汰して強い欲求不満を訴えている、という下ネタ話ではないでしょうか。

考え過ぎかもしれません。恥を覚悟で投稿させていただきます。
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少しでも多くの参加者が一種の頭の体操でもあるロシア語語呂合わせの語呂合わせ和訳に挑戦されることを望みます。そういう意味でやってみようという人が増えるのは大歓迎です。ただ今回は考えすぎなような気がします。日本語の訳は日本語としてきれいです。私の訳は、「何かニュースありますか?先生」とある医師がもう一人の医師にたずねました。
「ええ、ユニークな症例です。ゴルフウィドウが寡婦(花粉)症になりました」
解説)сенная лихорадкаというのは、枯草熱、花粉症、アレルギー性鼻炎のことですが、ロシア人にはаллергияと言った方が分かりやすいでしょう。ロシアではтополь(ギンドロというポプラの一種)や白樺のアレルギーがよく知られています。

Posted by ハヤシ at 2008年12月02日 08:36

そうだったのですか。私も何か裏があるはずだと…。深読みしたくなるハヤシさんの気持ちがよくわかります。私たちもそれでしょっちゅうコケてますから。どうぞ帯研のоднокурсник(ца)になって、みんなで恥をかきませんか?!

ロシア語的にはсоломенная とсеннаяが同種なので笑えるということですね。
日本の「カレーは辛ぇ」と同じもの?
なら、簡単に「寡婦の花粉症」なんて。
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確かにその方がすっきりした訳になると思いますが、それではсоломенная вдоваが訳として消えてしまいます。

Posted by メイ at 2008年12月03日 11:27

恥は私が一番かいていると思いますが、最近耐性ができてきたようです。これではいけないとは思ってはいるのですが・・・。

下にオチると思ったのですが、藁のワラい話だったのですね・・・

ハヤシさん、今後もよろしくお願いします。

Posted by takahashi at 2008年12月03日 18:28

 メイさんありがとうございます。
 やはり難しいものですね。いやはや、全くの見当違いでした。

 ユーモアセンスが欠落している私(♂)には、アネクドートの理解は無理のようです。
でも恥は恐れませんので、たまに参加させていただきますね。

Posted by ハヤシ at 2008年12月03日 21:24
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