2008年03月18日
●新帯研 第14回
1年前(2007年3月7日)近所の文房具店で買い物をしていたら、消防署の人が入ってきてトイレを貸してほしいという。どうも町内消防団の設備のチェックで回っているらしい。女の店主は、店にはトイレはないとけんもほろろ。消防士が出てゆこうとすると、彼女は呼び止めて、消防車から葉書が来て、それについて電話したいが電話番号を教えてくれという。書けば1行だが、それを葉書の内容から、なぜそんな葉書が来たのかクドクド5分も話している。自分もトイレは若いときから近いほうだから、このような切羽詰った状況はよくわかる。それなのにこの女は知らん振り。人事ながら腹が立った。きっと自宅を兼ねた店での仕事だから、外でトイレをすることがないのだろう。この消防士は冷静に受け答えをしていたが、頭の中は「ここでだめなら、向かいのコンビニはどうだろう?」などと考えているのでは考えるととおかしくもあり、また気の毒でもあった。何か言ってやろうと口を開きかけた瞬間、電話番号を聞いてこの女も納得したらしく、ようやく消防士を解放した。人に使われたことがない人なのか、とにかく無神経な人は年配の女性にでもいるということに驚いた次第。今回の課題は、
В деревенской школе учитель:
- Ну вот, я объяснил вам, что такое вычитание, теперь слушайте задачу. Я дал сторожу на чай четвертачок, он купил закуски на две копейки, а на пятак выпил. Сколько у него осталось? Петров!
- Восемнадцать копеек, господин учитель.
- Хорошо! А как это действие называется?
- Выпивкой, господин учитель!
設問1)和訳せよ。
設問2) 上から3行目оставалосьとできるか?
設問3)最後の行 Выпивкаとしたら誤りか?
無神経な人は結構多いかもしれないですね。
私の場合、気をつかっているつもりでも人のことを考えていないとよく連れ合いに言われます。私の血液型がB型であることが原因だと思っているようですが・・・
設問1)和訳せよ。
村の学校で先生が言いました。
「いいですか、引き算とはどういうものか皆さんに説明しましたね。それでは、問題をよく聞いてください。先生が警備員さんにお茶代として25コペイカ渡しました。この警備員さんは前菜を2コペイカで買い、5コペイカで飲みました。警備員さんにはいくら残っているでしょうか。はい、ペトローフ」
「18コペイカです、先生」
「よくできました!こうした行動はなんて呼ばれますか?」
「酔っ払いです。先生!」
最後のオチは покупка / выпивкаと若干似た音をかけているかもしれないと考え、「支払い」に対して「酔っ払い」をかけてみたつもりです。
設問2) 上から3行目оставалосьとできるか?
出来るのではないかと思います。оставалосьは合計で7コペイカ支払った時点(過去の時点)で残っていた金額を尋ねることになります(その後の経緯は不問にして)ので、OKではないでしょうか。この場合にはさらに引き算の質問を続けるという含みを持たせた表現となるような気がします。осталосьは結果の存続として「7コペイカを払い、さて今手元にある金額は?」というニュアンスになると思います。
設問3)最後の行 Выпивкаとしたら誤りか?
называтьсяは語法としてкем-чемを従えて「~と呼ばれる」となるため、疑問詞какに対応する解答は、文法上、造格でないと誤りになると思います。выпивкаでも情報は伝わるでしょうが、主格ではназываетсяの主語となるため、不適切な表現になります。
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和訳だけ見ると一見正しいように見えますが、オチが分かっていないようです。それに小話になっていないでしょう。осталосьの理解はその通りですが、そういう正しい理解で、どうしてоставалосьが使えるという答えになるのかまるで判じものです。質問は今いくら残っているかということですから不完了体過去形は使えません。называтьсяは辞書を見れば分かるように造格または主格がきます。私の訳は、
田舎の学校で教師が、
「ええと、引き算とは何か説明しましたね。じゃあ、問題をよく聞いてください。門番にチップとして25カペイカあげました。彼は2カペイカでおつまみを買って、5カペイカは飲んでしまいました。いくら残ったでしょう?ペトロフ君」
「18カペイカです。先生」
「よくできました。この演算を何と言いますか?」
「宴会です、先生」
解説)действиеに「行為」と「演算(加減乗除)」をかけている。私の訳は良い訳とは言えない。
語呂合わせを必死で考えていたら(今回のはかつてなく語呂が合わないので)takahashiさんに先を越されてしまいました。それにしてもчетвертачокとかпятакが出てくるとはかなりいにしえものですね。 いつ頃のアネクドートなのでしょうか。せっかく考えたのでオチ部分だけ出させて下さい。
「よくできました。この手法(算をつけると難しくなり無理でした)を何と言いますか?」
「飲酒(いんしゅ)です、先生」
出すほどのものでもありませんでした。失礼しました。
設問3は主格も大丈夫なのですね。研究社の辞書ではназыватьсяで引くとкем-чем/(口)кто-чтоとなっていました。主格は口語のみなのでしょうか。
嬉しいお知らせです。
ごく最近、三省堂のコンサイス露和・和露辞典がカシオのEX-WORDシリーズの電子辞書の特定のシリーズで使えるようになりました。マイナーなので、本体とロシア語のカードを合計するとまだまだかなり高くなるようです。
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この小話は革命前のものです。называтьсяが主格をとるのはカッコ付きと考えれば分かりやすいでしょう。この動詞自体口語でよく使われます。コンサイス露和は新語や俗語も少しは入っていてよい辞典ですが、語数が10万語でプロ用には不足のように思えます。個人的には探している単語が載っていないのでは(学習用なら露露辞典がよい)使う意味はないと思います。最近は無精もあって露和辞典を通訳やガイドのときに持ち歩くことはありません。辞書を引くような閑もないし、いい単語が思いつかなければ言い換えるだけです。疑問があれば家に帰ってから徹底的に調べます。普通のロシア人が会話で使う単語で初めて聞くという単語はほとんどありません。力点の違いで聞き返すことはありますが。ただ軽いしほかに選択の余地がなければ携帯用としてはベストです。通訳もガイドもやれば分かりますが、仕事中に辞書を引く時間はないのが普通です。通訳でも出張のときは夜チェックするのに岩波(研究者より活字が大きく老眼の身には有難いし、研究社と岩波では個人的に岩波の方がややできがよいと思っているからです)は重いですが持ってゆきます。
действиеに「演算」の意味もあったとは! 「気をつけろ、知っている単語の知らない意味!」ですね。日ごろ、生徒にはそう言ってますが、しっかり実践できていないようです。気を取り直して、オチを考えてみました。「この演算は?」に対して「宴解」なんてのはどうでしょうか?紙の上でしか遊べませんが・・・
もうひとつ、設問2)に関してですが、
>>
質問は今いくら残っているかということですから不完了体過去形は使えません
いくら残っていたのか」という過去形での疑問表現も成立すると思えるのですが、これがだめな理由はどこにあるのですか?
原先生の「ロシア語の体の用法」の66~67ページには現在の意味を示す「Осталось два часа(まだ2時間ある)と過去の意味を示す「Оставалось два часа(まだ2時間あった)」が載っていました。Сколько у него оставалось?もありそうな気がしますが、どこがいけないのか教えていただければ幸いです。
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остатьсяについて言えば、完了体過去なら今現在いくら残っているかという結果の残存であり、不完了体過去形なら現在とは切り離した過去において「いくら残っていたか」という意味になります。さて「残ったか(ないしは残っているか」の前の文は、Я дал сторожу на чай четвертачок, он купил закуски на две копейки, а на пятак выпил. であり、далもкупилもвыпилも過去形は過去形ですが、完了体の過去形で結果の残存および順次的用法です。順次的用法と結果の残存用法が別々にしか使えないことではなく、この場合は二つの用法が併存しているのです。つまりдалですからこのчетвертачокは会話の今現在存在しているのです。すぐ(順次的用法として)купилしたわけですから、закускиは存在するも、чевертачокは今やない(なくなった)のです。こういうふうに考えていくと、оставалосьを使うとまったく次元の違う(今現在何カペイカ残っているかではなく)話になっていまします。現在と切り離した話ならоставалосьは使えると思います。例えば、何日か前に警備員に25カペイカを渡し、彼はと続けていくと、(そのときは)~カペイカ残っていたかとоставалосьが使えると思います。完了体過去形の結果の残存というのは、過去とは書いてありますが、現在につながっている過去ということなのです。この小話は未来の動作を示す不完了体現在形でも書くことが可能です。不完了体現在には未来の想像の行為を眼前に起こっているかのように示す事ができます。Вообразите(想像してみてください)、Представьте ситуацию.(~という状況を想像してみてください)、Представьте себе(想像してみてください)のような動詞や動詞句とともに用いられる事が多いのです。
詳しく説明していただき、どうもありがとうございました。
順次的用法と結果の残存が共存するというのは凄いですね。
完結した行為を過去として訳すか、それとも現在につながる含みのある行為として訳すかは文脈に依存することになりそうですね。ただ、ここの完了体過去は「想定」として未来のこととしてもとれそうですし、奥が深いですね。
くどいようですみませんが、оставалосьを使った疑問文の場合は、それに先行する文中では不完了体過去が使われている、と単純化して考えておいてもいいですか?
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その通りです。