2007年01月24日

●帯研(第44回)

ロシア語の小説にも会話の部分があり、名のあるソ連ロシア文学の翻訳家であっても、ロシア人と会話の経験がほとんどない人がこの会話の部分をうまく訳せるのか大いに疑問である。無論辞書や文法書でも意味は分かるが、言葉のニュアンスなどは会話を長年にわたって十分鍛錬しないと翻訳するのは無理でなかろうかと思う。ロシア語の通訳では私が実際に聞いた限りでは(80年代に経団連の講演会の通訳されたのを何度か聞いた)、吉岡ゆきさんが一番うまいと思う。これは私だけではなく、私の恩師もそうおっしゃっていた。吉岡さんは翻訳もされており、こういう人が訳した本は間違いないと思う。ただロシア語で読めるので、翻訳は原則として読まない。米川訳がどうだとか、原訳がどうだとかは私には無縁の話で興味もない。翻訳で読んだのはソルジェニーツィンの作品で、それも30年前は収容所の隠語辞典が手に入らなくて、普通の露和では読めないとあきらめたからで、これらも後にロシア語の原本で読んでいる。
ロシア語でのオチの理解は簡単だが和訳が難しい小話の問題。
Урок русского языка в грузинской школе. Учитель:
- Запишите предложение. «Мущина сблизился с женщина в бане». Разберите его по частям. Ну вот ты, Гоги!
- А чего тут разбирать! Женщина – подлежащее, мущина – надлежащее, а баня – предлог!
- Садись, Гоги, четыре.
Гоги выхватывает кинжал:
- Пачиму четыре, пачиму нэ пять?!
- Патаму что баня в данном случае – нэ предлог, «а местоимения»!
設問1) 和訳せよ。

Posted by SATOH at 2007年01月24日 13:41
コメント

吉岡さんとういう方は東外大卒業で進展実業に勤務されていた方ですか?私も学生時代に一度通訳されているのを聞いたことがあります。大学を出たばかりなのにすでに頭の中は半分がロシア語になっているのでは?と驚嘆した覚えがあります。

<和訳です>
グルジアの学校でのロシア語の授業。
教師が言いました。
「次の文を書きなさい。《オトコがセントー(銭湯)でオンナと親しくなった》この文を品詞分けしなさい。はい、では、ゴーギ!」
「何で分ける必要があるのさ。オンナだから下置き語、オトコは上置き語、それにセントーだから前置き語だろ」
「座りなさい、ゴーギ。4点あげます」
ゴーギは短いナイフを抜きました。
「4点?どして、5点じゃないんだよ」
「どしてかというと、セントーはこの場合は前置き語ではなく、「代名詞」だからですよ」


話のオチが今回もわかったかどうか自信はありませんが、グルジアでのロシア語教育は、生徒ばかりでなく教える側も怪しいということを皮肉っていると感じました。生徒に書き取らせる文章からして怪しいですね。

品詞分けしなさい、という発言をヒントにподлежащееは, подとлежащееに、надлежащееはнадとлежащееに分けて前置詞とかけてみました。
Гоги выхватывает кинжалの文章が何で入っているのか悩みました。カッとしやすいグルジア人気質を揶揄しているのでしょうか。
また、ПачимуやПатамуとつづられているのはこの授業の怪しさを伝えるためかもしれないと考えてもみたのですが、グルジア訛りを出そうとしているような気もしています。
местоименияはそのまま「代名詞」でいいのか一抹の不安がありますし、生格になっているところが?という感じです。

生徒が文法用語に怪しいのは万国共通でしょうが、さらに教師の方も文法が不正確で言葉を教えているという状況はどこの国でもありそうなことですね。
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これはお国なまりを出しているので、そのように訳したほうがよいと思います。私の訳は、
グルジアの学校でのロシア語の授業。先生が、
「男が女と風呂屋で近づきになった」という文を書いてください。これを品詞毎に分けてください。はい、きみ、ゴーギ」
「分けるなんてどうってことねっす。女は下置主語で、男は上居(状況)語、風呂屋は口実前置詞でっす」
「ゴーギすわんなんし。4だ」
ゴーギは短剣をつかんで、
「どうすて4なんだ、どうすて5でねーんだ」
「そいわね、風呂屋はこの場合口実前置詞でねーんだ。性交代名詞なんだ」
解説)グルジア人のロシア語はなまっているとの前提。それぞれМужчина, почему, потому が正しい。Подлежащее に「主語」と「下に置くもの」、надлежащееに「しかるべき」と「上方に置くもの」、предлогに「前置詞」と「口実」をかけている。Местоимениеは代名詞と言う意味だが、иметь место(起こる)とиметь(女をものする)を含意していると思われる。

Posted by takahashi at 2007年01月27日 11:46

местоимениеはместоとимениеに分割しても意味を成しませんでした。ただ、местоはくさい感じがしていたのですが、иметь(女をものする)とかけてあるのですね。местоимениеはこの場合、お風呂やさんなので「濡れ場代名詞」なんていうのはどうですか?
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駄洒落のセンスは私以上だと思います。しっかり励んでこの道を究めて欲しいものです。こういうのを細かく分解すれば初学者にとってのよい勉強になるかもしれません。私のテーマは「小話とその背景(大衆文化」ですから、高橋さんがロシア語の駄洒落を極めれば、面白いロシア語参考書ができるかもしれませんし、自分のサイトやブログで公開するという手もあるでしょう。

Posted by takahashi at 2007年01月27日 18:03

ありがたいアドバイスをいただき大変うれしく思います。
授業ではいつもスベりっぱなしで「捨て身のギャグ」と一部呼ぶものがおります。

Posted by takahashi at 2007年01月29日 10:50
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