2006年11月14日

●帯研(第7回)

今回もインターネット検索能力チェックの問題。
Вовочка после посещения Третьяковской галереи.
- Что ты там видел? Картины? Какие?
- «Боярню Морозову везут на выборы», «Медведи на лесоповале», «Запорожцы подписываются на заём», «Иван Грозный оказывает первую помощь своему сыну».
設問1)和訳せよ。
設問2)これらは有名なロシアの絵画をもじったものである。本物の題名と作者を述べよ。

Posted by SATOH at 2006年11月14日 12:26
コメント

設問1)
トレチャコフ美術館を見学してきたヴォーヴァ君。
「何を見てきたの?絵を見たの?どんな絵?」
①「モロゾフ大貴族婦人を選挙に乗っけていくところ」と
②「森の伐採地にいる熊さん」と
③「ザポロジェの人たちが国にお金を借りようと申し込んでるところ」と
④「イワン雷帝が自分の息子に応急手当をしているところだよ」

設問2)
①"Боярыня Морозова"(В.И. Суриков)
『モロゾフ大貴族婦人』 (スリコフ)
②"Утра в сосновом лесу"(И.И.Шишкин)
『松林の朝』 (シーシュキン)
③"Запорожцы пишут письмо турецкому султану"(Илья Ефимович Репин)
  『トルコのスルタンに手紙を書くザポロジェコサックたち』 (レーピン)

④"Иван Грозный и сын его Иван"(Илья Ефимович Репин)
『イワン雷帝とその息子イワン』 (レーピン)

なんともかわいいお話ですね。それにしても美術好きのロシア人はこういうお話を作ってしまう。うらやましい気がします。シシュキンのチョコレートは私たち親子の大好物でした(過去形)。こんなふうにして小さい頃から絵画に親しんでいたら、ガイド試験の日本画(歴史)を見てあんなに焦らなかったことでしょう。
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実に素早い回答で、こちらが答えを書くのが間に合わないくらいです。簡単すぎましたね。ただ小話はパロディー化しているわけですから、そのパロディーについても(訳が出来るかは別にして)理解に努めることが肝心です。シーシュキンについて(チョコ)のご回答のようにしてもらうと100点満点です。私の訳は、
訳)ヴォーヴァチカがトレチャーコフ美術館を訪れた後で、
「何を見たの?絵は?どんな?」
「〔選挙に運ばれるモローゾヴァ貴族夫人〕、〔伐採地の熊たち〕、〔ザパロージュコサック借用書に署名〕、〔イワン雷帝息子に応急手当を施す〕だよ」
解説)Борярня Морозова (Суриков)「モローゾヴァ大貴族夫人」(古儀式派のモローゾヴァ大貴族夫人がニコンの宗教改革に抗して死ぬまで信仰をつらぬいたという気迫を絵で表現しているのだが、ソ連時代候補者一人しかいない官製選挙に員数あわせのため(なにせ投票率100%を維持する必要があるので)、いやいや行くという感じが出ていて面白い」, Утро в сосновом лесу (Шишкин)「松林の朝」(19世紀末から今に至るまでお菓子の包み紙などに使われているので有名、лесоповалというのはシベリアなどの収容所で最も過酷といわれた労働であり、そこにクマがいるというのも面白い」, Запорожские казаки пишут письмо турецкому султану (Репин)「ザパロージエコサック、トルコのスルタンに手紙を書く」(トルコのサルタンへの返書の場面が借用書とは), Иван Грозный и сын его Иван (Репин)「イワン雷帝と皇太子イワン」(イワン雷帝が息子のイワンを殴り殺した場面が、逆に応急手当となっている。この息子のイワンもかなり残虐な行為したと言われています。ピョートル大帝も同じ事を繰り返すのですから歴史は皮肉です)

Posted by メイ at 2006年11月15日 00:53

いえいえ、簡単すぎたなんてとんでもない!我が家にたまたまあった(まさかこんなのがあるなんて自分でもびっくりでした)ほこりをかぶったトレチャコフ美術館の本を引っ張り出してきて、それはそれは必死でしたよ。手は真っ黒になるし、こっちがパロディー状態でした。

「ソ連時代候補者一人しかいない官製選挙にいやいや行く」というのはほんとうにおもしろいですね。そういえば、御著にもとりあげられていたブレジネフ書記長の勲章の数とか、ブレジネフ書記長の前につく何行にもわたるまくらことばとか、プラウダは最後のページから読む、とか…行間を読むとか… 今では懐かしい気さえします。(すっかりいにしえびと気分)

第8回は、たぶん何か裏があると思いますので、行間を読む時間をたっぷりいただきます。今回はそれでもきっとわからないでしょう。その間にどなたかが素早く回答していただくと助かるのですが…
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訳の日本語は全体的によいのですが、レーピン、シーシュキンは力点が分かるように書いていますが、スリコフはいただけません。日本の翻訳家で力点が分からないからか、人名の力点を無視するのだという人たちとは違うと思いますし、会話を重視するなら力点には注意すべきで、ロシア語の力点の多くは長音で示せるので、できるだけ練習では力点を書くよう気をつけるべきです。スーリコフが正しい。

Posted by メイ at 2006年11月16日 00:00

そういえば力点までは注意していませんでした。さっそく今後実行に移します。

力点、力点、力点・・・・・力点といえば、

私はさとうさんの書かれた『アネクドートに学ぶ実践ロシア語会話』(力点なし初版)をずう~っと昔に買ったのですが… 最近、力点付きで出されたような!?  ┐( ̄∩ ̄)┌
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個人的には力点は自分で辞書を引きながら打てば単語を覚えるよい助けになるはずという考えは変わりませんが、出版社(読者からの要望があるようで)からの依頼で、力点を打ちました。それとタイプミスなどもあるのでそれも直しました。売れるといいのですが。姓名の力点は普通の辞書には載っていません。「ロシア・ソビエト姓名辞典、鳴海完造、ナウカ、1979年」がいいのですが、手に入らないかもしれません。昨日「ビジネスロシア語(仮題)の第1校を出版社に渡しました。来年1月出版予定です。ビジネス用の会話やメールの書き方にビジネスで使う動詞の用法など入れた初心者に少し毛の生えたような参考書です。その後は「ロシアのアネクドート決定版(仮題)」の出版が選書で出るのが決まったので、今目次作りといったところです。ブックレットの解説は使いますが小話は入れ替えて別のを大量に使い、内容的にもアネクドート全般を一通り紹介したいと思っています。これも売れるといいのですが。

Posted by メイ at 2006年11月18日 23:55
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