2005年09月02日
●知られざるロシア (2)
ロシア人にとっての常識が分からなければ、小話のオチもわからない。次の小話はどうか?
Приходит как-то Горбачев в свой кабинет в Кремле, видит - за его столом Иван Сусанин.
- О, кто к нам пришел! А что же без предупреждения? Я бы для такой встречи всех членов Политбюро собрал! - воскликнул Горбачев.
- Вот-вот, - ответил ему Сусанин, - собери,собери. Как соберешь - Так все вместе и пойдем.
*Иван Сусанин 17世紀初め、ポーランド侵入軍をわざと深い森の中に誘い込み、自らの命を犠牲にして国を救った英雄。グリンカのオペラにもある。
訳)あるときゴルバチョフがクレムリンの執務室に入ってゆくと、イワン・スサーニンがゴルバチョフの椅子に座っています。
「まあまあ誰かと思ったら。どうして前もっておっしゃってくださらなかったのですか。お会いできると分かっていたら政治局員全員集めましたものを」とゴルバチョフは大声で言った。
スサーニンは答えて曰く、「そうそう、集めて、集めて、集まったらみんなででかけよう」
解説)ロシア人の代表団を大きなデパートに連れて行ったときのこと。ちょっと迷ってしまい、さっき行ったお土産売り場がわからなくなったときに、すかさず「佐藤さんはひょっとしてスサーニンじゃないんでしょうね」と言われたのは参った。深くは必要ないが浅くロシア史についても勉強しておくのも常識涵養の為である。
こちらでははじめまして。コーシカと申します。
>「佐藤さんはひょっとしてスサーニンじゃないんでしょうね」
スサーニンのアネクドートは川崎浹『ロシアのユーモア〜政治と生活を笑った300年』講談社選書メチエ 1999年で読んだことがありましたが、なるほどこんな切り返しもありましたか。
ロシアの人は歴史へのこだわりが強いと聞いています。ロシア人が自国の歴史から例を引くことは(日本人がそうするよりも)多いとお感じになられますか。
(コーシュカさん、わざわざコメント有難うございます。コメントがほとんどなく、読者の手応えが感じられずどうしたものかと思っておりました。ソ連時代の偏向した歴史教育が今完全に見直されているとは思えませんが、革命前の著名な歴史家ソロヴォヨーフやクリュチェフスキー他の著書も多く出版されるようになりました。ただ一般のロシア人の歴史の知識はオペラや映画・テレビによるものが多いようです。ロシア(アネクドートのみならず)を知るには我々もロシア史をある程度理解するように努めるべきだと思います。 以上 さとう)
はじめまして、「表現集」を買ってこのサイトのことを知りました。
ブログを読んでいて「イワン・スサーニン」のことが出ていて流石だと思いました。
2008年、出張でウラジオストクをうろうろした際に「スサーニン」だとからかわれてその由来を聞いて解読するのに難儀したのですが
30歳前後の人達が笑うということは現代語に間違いありません。
「ラガー」(角)で浮気のことを言うのとかこれも酒席で聞いて苦戦した次第です。
これも歴史ものらしいですが(既出でしょうか)ロシア語は深いですね。
個々人で興味の範囲がかなり違うのでそういう言われを集めた本というのは難しいと思いますが何か参考になる書物はあるのでしょうか?ご教授いただけたら幸いです。
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お買い上げありがとうございます。出版社としては類書が多いため売れるかどうか甚だ疑問ということです。今度こそ少しは売れてほしいものです。hornについては英和辞典でも妻を寝取られた男に生えるとされた角という訳が付いているようにヨーロッパ語にあるようです。このようなものは通常は故事成句集Крылатые слова(私のサイト「ランポポー」のガイド通訳用参考書のページの48番目)に詳しく説明が出ています。ただ下品なものについては、ロシアで出た口語辞典(これも上記ページ参照)を見る以外ないでしょう。私でわかる範囲であればお答えしますので気軽にご連絡願います。