2020年02月03日

●第156回

 未来の時制において動詞бытьの未来形 + 被動形動詞過去短語尾は、動作主を明示したくない場合にも使える。動作主が示されていれば、動作そのものを示すが、示されていなければ、結果の存続から派生して、動作ではなく、質的状態の意味を持つ。過程を無視して結果を重視するときにこの用法を使う。完了体動詞未来形と不定人称文を組み合わせても同様な効果が出せるが、そうなると主観的なニュアンスが出てくるので、契約など客観性を重視する場合には不適切である。そのため契約文、技術説明書等では被動形動詞過去短語尾が、未来の時制で多用されることになる。

(請負業者は全てに必要な取扱説明書を作成し、発注者に引き渡す)Подрядчиком будут разработаны и переданы заказчику все необходимые ннструкции по эксплуатации. <動作主があるために未来の時制での動作を示すとともに、二つの文の主語を一つにまとめるということと、順次的な用法として被動形動詞過去短語尾が未来の時制で使われている>
(ご要望は設計書類作成のときに考慮します)Ваша просьба будет учтена при разработке технического проекта.
(〔これから〕家宅捜査を行います)Будет произведён обыск. <実際に家宅捜索をする際の通告で、これから動作が終わりまで遂行されるという事を意味している>
(スペアパーツの件はどう片をつけますか?)Как будет решён вопрос с запасными частями? <焦点は問題を解決済みにすること、ないしはその程度(完全に片をつけるのか、ほどほどでいいのかとか)にある。これを次の文のように不完了体動詞未来形にすると、文の焦点はКак(どのように)に来ることになる>
(下請けの人に住居を確保する件は、どのように片をつけますか?)Как будет решаться вопрос обеспечения персонала Подрядчика жильём?

次の文のように期間や未来のある動作の起点からの継続(期間)を示すことも出来る。

(高圧線の建設は8カ月後に終了します)Строительство линии высоковольтной передачи будет завершено через 8 месяцев. 
(タグボートの提供は午前8時から再開されます)Предоставление буксиров будет возобновлено с 8 часов утра.

4-2-5-2 補足事項の説明や挿入

 補足事項の説明や挿入というのも、話題の転換や場面の切り替えであれば、主観的な動作であると言えるため、完了体動詞未来形が用いられる。замечатьは遂行動詞であるが、スピーチや論文の中で、補足説明として挿入するような形で入る場合には、完了体のзаметитьを使う。

(ついでに言うと、スタルゴーロドでのイーリフとペトローフによる路面電車生産の描写は、その5年後に現れたのである)Попутно заметим, что описание пуска трамвая в Старгороде, сделанное И. Ильфом и Е. Петровым, появилось пять лет спустя.

これは補足事項の説明や挿入状況語という事自体が、著者や話し手が直接顔を出すような表現、いわば主観的発想であるため、完了体動詞未来形が用いられる。不完了体動詞現在形を用いる遂行動詞と、完了体動詞未来形を用いるこのような補足事項の説明の用法の違いというのは、補足事項の説明をする動詞や挿入状況語である動詞句は、その性質上、先行する文の後で使われ、遂行動詞は従属文に対する主文のほうにあり、従属文の関する何らかの動作を終えるということを示している。

(客観性を期するために述べておく)Объективности ради отмечу. <先

Posted by SATOH at 2020年02月03日 20:47
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