2020年02月04日
●第164回
(失せろ)Убирайся вон. <= Убирайся к чёрту. = Ступай ко всем чертям. = Проваливай.>
(有害な音楽を止めろ。かけろ、我が国のを!「ナナカマド」を!)Кончай тлетворную музыку. Гони нашу! «Рябинушку»! <そろそろ「いい加減にしろ」という焦燥感も出ている>
5-1-2 勧誘 → 不完了体動詞命令形
話し手にとっても聞き手にとっても、動作の時間と回数の制約がない「いつか」という意味の促しと考えてもよいような勧誘的意味合いを持つ動作の要請で、相手を拘束しないような任意の動作の時に用いられ、不完了体の本質を示すような用法でもある。よく使われる命令形は、вешайте ваш плащ(コートをおかけ下さい)、заходите(お寄りになってください)、знакомитесь(ご紹介しましょう)、проходите(奥の方へどうぞ)、раздевайтесь(コートをお脱ぎください)、угощайтесь(お召し上がりください)、усаживайтесь поудобнее(もっとお楽にしてください)などである。この用法は「~するとしたら」が前提となっているために、踏み台(みなし反復)ということで、動作自体が任意であり、動作遂行の結果をイメージしないので、不完了体命令形が用いられる。この用法では時間軸の特定の不動の一点を示すような時の状況語(例えば次の文のсегодняやзавтра)でも、時間軸の一点と言うよりは、期間としての任意の一点と考えられるので共に用いることができる。
(時間がおありなら今日家に寄ってくださいね)Заходите к нам сегодня, если у вас будет время. <если以下で分かるように、このсегодняは時間を制約しておらず、不完了体命令形は、話し手の主観がない、あなたまかせと言うか、聞き手まかせの用法である。そのためこのсегодняを時間軸の不動の一点ではなく、期間と考えて、今日のいつでもという任意の一点を示していると考えれば、正に不完了体そのものの用法である>
(今日は羊の肉は入ってこないよ、明日来て下さい)Сегодня баранины не будет, приходите завтра.
(今、羊の肉がないから、もう少し後で来てください)Придите попозже, сейчас баранины нет. <完了体動詞命令形Придитеは、命令法が未来を示すことから完了体未来形の点未来の用法に似ており、「必ず来てね」という相手を拘束するような強い命令であり、不完了体命令приходитеは、動作の促し(着手)の用法であり、来ても来なくてどちらでもいいけどという感じである>
(〔メールや手紙を書いて〕下さいね)Пишите! <完了体動詞命令形のНапишите!でもよいが、それだと必ず書いてというニュアンスが感じられる>
(電話をくださいね)Звоните. <強制的なニュアンスや具体的なニュアンスはない>
勧誘の意味で完了体動詞命令形が来ているのは、心中はともかく、電話してもらうという動作遂行を、口の上だけでも強く願っているからであり、期待というニュアンスがあるから完了体動詞命令形が来ている。続く不完了体動詞命令形の文と比べてみれば分かる。
(そのうちにでも電話をくださいね)Позвоните мне как-нибудь.
(もし他に何か問題が起これば、電話下さい)Если возникнут ещё какие-нибудь вопросы, звоните.
ニュアンスがない動作というのは、ある意味期待度ゼロ、拘束度ゼロということであり、消極的、つまりある動作がなされるかどうかはどうでもよいという場合には、上の文のように不完了体動詞命令形が用いられる。