2018年01月28日
●和文露訳要覧第322回
不完了体の本質は行雲流水(広辞苑によれば、空を行く雲と流れる水、すなわち、一点の執着なく、物に応じ、事に従って行動すること)という言葉で表現されると私は考えるが、完了体はと言えば、随処為主(環境や境遇に左右されずに、自分の意志と判断で行動 しようとする姿勢を持って生きること)となろう。
出題)「我々のところでは誰が上とか、誰が下とかということがあってはならない」をロシア語にせよ。
2018年01月27日
●和文露訳要覧第321回
グラディエーターгладиаторと言えば2000年に公開され評判を呼んだ映画の題名であり、古代ローマの剣闘士のことだが、ロシア語の俗語では1955年のスキャンダルから別の意味が生じた。当時のソ連の文化大臣アレクサンドロフГеоргий Александровが、酷評で有名な党の批評家エゴーリンАлександр Еголинとともにモスクワ劇場の若い女優達と桃色遊戯にふけったというスキャンダルがフルシチョフの知るところとなった。他の幹部会員がいる前でフルシチョフ自身が年寄りの癖に恥ずかしくないのかとエゴーリンを叱ったが、このときにエゴーリンの言った言葉が人口に膾炙した。Я ничего с ними не делал, а только гладил.(私は彼女らとは何もイタシはしなかったのです。ただナデナデしただけです)。ここからгладиаторы(オサワリマン←гладить)と言う俗語が生まれたという。一方ソ連文化省はФилософский ансамбль ласки и пляски им. Александров(アレクサンドロフ名称愛撫・舞踊哲学劇団)という異名がつけられた。
出題)「サッカーはテレビよりも生で見た方がよい」をロシア語にせよ。
2018年01月21日
●和文露訳要覧第320回
『和文露訳要覧』に下記のように補記した。
9-1-2 抽象的現在
現在の時制の意味でбудетを使う用法であり、動詞бытьの動作動詞としての完了体の用法(完遂〔なる〕の否定)ということで、例示的用法(4-2-3項参照)から派生した用法の一つとも考えられ、仮定、確信、必然というニュアンスがある。意味は仮定法を用いても変わらないので、仮定法未来から発展した用法(婉曲の用法)であることが分かる。仮定法は過去や現在の事実に反する仮定を示すが、未来においては条件法と意味はほとんど変わらない。未来は未確定の事柄に属するからだろう。仮定法の方が話し手の動作の実現に対する万が一という疑いのニュアンスがある。それと現在の時制のбытьは状態動詞であり、到着というニュアンスは可能だが、始発というニュアンスがないので、未来の時制を持って動作動詞としての機能を明確化したとも考えられる。このбудетを未来の動作の規則的反復と考えることも可能であり、そうであれば最後の例文のように、現代ではбудетを省略するのが一般的である。
(我々の暮らしは、今日何らかの形でインターネットとつながっていると言っても過言ではない)Не будет преувеличением сказать, что наша жизнь сегодня так или иначе связана с Интернетом.
<= Не было бы преувеличением сказать, что наша жизнь сегодня так или иначе связана с Интернетом.>
(それが『戦争と平和』の有名な戦いのシーンのレベルに近く書かれていると言う勇気はない)Не будет смелостью сказать, что это написано близко к уровню знаменитых военных сцен "Войны и Мира".
この用法が現在の時制を示す事は下記の文で証明できる。本来であればсказатьの前に будетをおいて、未来の動作の規則的反復となるはずだが、現代では上記のようにбудетを省略するのが一般的である。仮定法過去から発生した婉曲の用法было быも使える。
(モスクワにおいて横死した人用の埋葬所がどのようなものであったかを述べるのもまったくの無駄というわけではあるまい)Вовсе не излишне сказать, что такое были убогие дома в Москве. <излишне = лишне = лишнее = лишним>
出題)「本が5冊余った」をロシア語にせよ。
2018年01月20日
2018年01月14日
2018年01月13日
2018年01月08日
2018年01月07日
2018年01月06日
2018年01月03日
2018年01月02日
●和文露訳要覧第312回
和文露訳のブログを開始してから気がつくと通算2000回を越えている。これも投稿者のみなさまのご支援の賜物と心からお礼申し上げる次第。今後ともよろしく。
出題)「この形はまったく成り行き次第だ」をロシア語にせよ。