2019年09月27日
2019年09月24日
2019年09月20日
●和文露訳要覧第507回
最近『英語の歴史から考える英文法の「なぜ」』朝男幸次郎、大修館書店、2019を読んだ。
古英語さえ名詞の格は4つと少ないから、英語学習者にとってはややとっつきにくいかもしれないが、我々ロシア語学習者にとっては何ということもない。helpが与格を取っていたのはその意味がgive assistance or support toであるからなど、同じ語族のロシア語を学ぶ我々にも参考になる。このほかにも、「未来において「…である」ということは、とりもなおさず「…になる」ということと同義」とか、現在形で未来を表す用法、現在完了などこれまで文法書に書かれていなかったことが分かりやすく説明されている。このほかにも『英語の感覚』(上下2巻)、大津栄一郎、岩波新書、1993年なども文法(特にitの用法や現在完了の説明など)に興味がある方には役に立つと思う。
出題)「以前なにか大病をされたことがありますか?」をロシア語にせよ。
2019年09月17日
●和文露訳要覧第506回
на + 対格は方向を示すと書いたが、これを敷衍すれば時間的用法として、作用の及ぶ範囲、予定などを示すことができることになる。
план на пять лет(<今後>5年間の計画)
出題)「電話はずっと前から使えない」をロシア語にせよ。
2019年09月12日
●和文露訳要覧第505回
『和文露訳要覧』に追記する。
10-9-3 主な前置詞の本質的意味
場所に関して言えばвには対格と前置格を取る用法があり、対格を取れば方向(~中へ)を、前置格なら位置(~中で)を示す。対格の方を突き詰めて考えると、一点に向けての動作の方向となる。
глядеть в небо(空の一点を見つめる)
глядеть на небо(空全体に目を向ける)<このнаは動作の到達点ではなく、方向のみを示す>
Поезд на Ригу подходит.(リガ方面の列車が参ります)<このнаは動作の到達点ではなく、方向のみを示す>
гулять в лесу(森を散歩する) <森の中の小さな区域が対象>
гулять по лесу(森中を散歩する) <森の領域すべてが動作の対象>
стрелять по противнику(敵の隊列に発砲する)<動作の対象が広範囲>
стрелять в противника(一人の敵めがけて発砲する)<動作の対象が一点>
полететь по воздуху вверх(空へ舞い上がる)<поは動作の対象が広範囲のため、二次元(面)および三次元(空間)における動きを示す>
これを時間の用法に援用すれば、対格の方は、時間軸の一点を指し示すわけだから、その瞬間を示すことになる。
в этот момент(この瞬間に)
в последнее время <最近という一定の瞬間>
за последнее время <期間としての最近>
во вторник(火曜日に) <火曜日を期間ではなく、時間軸の一点としてとらえていることになる>
一方前置格の方は「~中で」から「期間内で」という意味になる。
в январе(1月に、1月という期間内に)
наは前置格と結びつくと面上の位置、つまり広がりを持った位置を示し、対格と結びつけば面上の方向を示す。вは「~中で」という限定された場所を示すので、в поле(広野の中で)とна поле(広野で)のように使いわけが可能である。同様にво двореなら「中庭で」であり、на двореなら「家の外で」ということになる。
出題)「飛行機がよければ売れる」をロシア語にせよ。