2020年02月03日
●第143回
用法では、主観的ニュアンスを示す叙想語の一つである。собираться = иметь намерение(意向を持っている)ということであり、意向の動詞は、擬人法を除き、主語は人か、人が関わる機関である。намерен(а, о, и)は遂行的用法の述語であり、他は遂行動詞である。これらの類義語を使う場合は、これらは後に不定形を取るので、具体的1回の行為には完了体を、規則的反復には不完了体を用いると覚えておけばよい。否定文の場合は動作が起こらないという事で不完了体動詞不定形が来る。この中ではсобиратьсяが使える範囲が広いので、これを使う事を勧める。
イ) собираться
собраться/собиратьсяは「どこかへ出かける支度をする」とか「出発するつもりである」というのが原義だが、ここから発展して出発のみならず、動作の意向の意味になったと思われる。собиратьсяの後に来る不定形は、具体的な1回の動作には完了体動詞不定形を、もうそろそろというニュアンスの促しや切迫感、反復、ある程度の期間、を考慮するような動作、動作の否定には不完了体動詞不定形が来る。6-1-1項参照。
(塗料を御注文なさるおつもりですか?)Вы собираетесь заказать краски?
(だって彼らは殺すつもりはない、脅かすだけだ)Ведь не убивать они собираются, а пугать.
(そろそろ帰るつもり。とにかくもう9時だもの)Собираюсь уходить. Уже девять часов вообще-то. <切迫感を示す不完了体動詞不定形>
(もうそろそろ帰ろうとした矢先、二人の女子学生が再び私に近寄って来た)Когда я уже собирался уходить, две студентки снова подошли ко мне. <уходитьは切迫感の不定法>
(何をなさるおつもりですか?)Что вы собираетесь делать? <делатьと不完了体なのは不定法の動作事実の有無の確認という用法であり、不完了体の漠然とした感じがよく出ている。сделатьも可能だが、これだと具体的動作が話し手の頭にあることになる。6-1-6項を参照>
(そこで何が起ころうと、遅れるつもりはない)Что бы там ни было, опаздывать я не собираюсь.
(殺られるつもりはない)А погибать я не собираюсь. <не собиратьсяの後に来る不定形は動作自体を否定するので不完了体が来る。また文末におくне собираюсьは動作の否定の強調である>
完了体のсобратьсяは不完了体のсобиратьсяと違い、「前は~するつもりはなかったが、今は~するつもりである(急にその気になる)」という意味と、「長い事~するつもりだったが、ついにした」という完了体であるが故の主観的ニュアンスがある。次の文が前者の例である。
(それとも気が変わって辞める気にでもなったのか?)Или увольняться собралась? <切迫感の意味で不完了体動詞不定形が来る>
次の文は両方の体が使えるが、完了体の方は、「長い事~するつもりだったが、ついにした」という例であり、ずっと電話しようと思っていたというニュアンスがあるが、不完了体にはそのようなニュアンスはなく、~つもりだったという意向の意味だけである。
(ちょうどお電話を差し上げようと思っておりました)А я как раз собрался (собирался) вам звонить!
(申し訳ありません。ようやく今お電話できました。忙しかったので)Извините, что только сейчас собрался вам позвонить, был очень занят.
(しようと思っていたことを彼女はした)Она сделала, как собиралась.