2020年02月02日

●第132回


(お願いすることで私は彼をわずらわしはしない)Я не буду обременять его своей просьбой. <今後依頼することはない>
Я не обременю (↘)его своей просьбой. <降下型イントネーションの位置が動詞の後ならお願いはするが、それは負担になるようなお願いではない。通常の平叙文のように語末でイントネーションが降下すれば、不完了体未来形と意味的には同じであり、ただ文脈により主観的ニュアンスで、否定の強調か不可能のニュアンスがある>

私見だが不完了体未来形の否定は動作事実の無の確認だから、未来において動作は起こらないということがはっきりしている。ところが完了体未来形の否定では、イントネーションの置き方により意味の解釈が異なる場合がある。動詞のすぐ後でイントネーションを下げた場合↘は、完了体の特徴として主観的ニュアンスから動詞に文の焦点が来る。そのため動詞の直後に降下型イントネーションがあれば、ここでいったん意味が切れ、この後のフレーズには否定詞неは関与せず、「お願いはするが、それで彼をわずらわす事はない」となる。一方文末で下げれば、否定詞неは文の内容全体にかかる、つまりお願いはしないという、不完了体未来形に近い意味になる。ただ完了体未来形の否定は、文脈により否定の強調か不可能のニュアンスがあることを忘れてはならない。次の文例も同様である。

(彼はきみに話をして疲れさせることはない)Он не будет утомлять тебя разговором. <今後話をすることはない>
(疲れさせるような話はしない)Он не утомит (↘)тебя разговором. <降下型イントネーションの位置が動詞の後なら話はするが、それは疲れさせるような話ではない。通常の平叙文のように語末でイントネーションが降下すれば、不完了体未来形と意味的には同じである>

 この用法で他動詞は補語に対格を取り、否定生格を取ることはない。

(〔今後〕タオルは洗わない)Я не буду стирать полотенце.
(彼は〔今後〕課題を解かない)Он не будет решать задачу.
(彼は課題を解けない)Он не решит задачу (задачи). <完了体未来形は否定生格を取る可能性もある>

未来の時制の否定文における体の用法というのも難しい。現在の時制であれば、не + 不完了体現在形を使うのが一般的で、これは現在この瞬間において、ゼロの反復も含めて動作がまったくないことを示す。広い意味の現在である、近接未来(発話時点のすぐ後に続くか、発話時点と融合した未来)ならば、не + 完了体未来形を使って近接未来完了の用法(否定の強調、不可能)となる。ややこしいのはне + 完了体未来形には完遂的用法の否定というのがあり、これは未来のある時点における動作の完了を示す未来完了の用法があり、これは文脈により区別するしかない。
また未来の時制の否定文に使われる動作事実の無の確認の用法(не + 不完了体未来形)と近接未来完了の否定文(4-2-1-4項参照)の違いは、動作事実の無の確認の用法は現在と関わりのない、少なくとも現在からは一拍置いた未来の動作を扱っているのに対し、近接未来完了の否定文は現在との結びつきが感じられるという点と、完了体の持つ具体性が感じられるという点である。会話における和文露訳で未来の時制における否定文を扱う際には、動作が現在と続いているという意識があるか、動作の具体性とその結果を意識していれば完了体未来形を、動作が現在から一拍置いた以降の未来であって、具体性をあまり意識しないのであれば不完了体未来形を使うようにすればよい。

(お前には〔今は、ここでは〕言わない)Я не скажу тебе об этом . <広

Posted by SATOH at 2020年02月02日 19:56
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