2020年02月02日

●第131回


(許して下さい、二度としませんから)Простите (Извините) меня, я никогда больше не буду так делать.

 上の文は交通違反などをして、警察官に注意されてという文脈(回りの雰囲気や状況によって)で、不完了体動詞未来形の否定が使われている場合である。больше(これ以上)という副詞があるのも、すでに言及された事に対してのという含みがあり、動作に焦点が来ていないことになる。以下の文も同様である。

(もうしませんから)Больше не буду.
(二度は繰り返して言わないからな)Дважды повторять не буду.
(奴を背負う〔だっこして運ぶ〕のはごめんこうむる)Я его нести не буду.
(お前を騙しはしない)Я тебя обманывать не буду.
(お手間〔お時間〕は取らせません)Я не буду отнимать ваше время.
(俺にかまうな。俺もお前には手をださないから)Ты меня не трогай, и я тебя не буду трогать.
(その家族と娘について一言も話しませんよ)Я не буду говорить ни слова об этой семье и девушке. <話さないように頼まれての確認の返事>

2-1-9項の意志の欠如не стал(а, о, и)と同様、未来の時制においてне + статьの未来形は完了体ゆえに動作事実の意識的否定を示し、この意味ではне + бытьの未来形とは異なる。

(結婚を急ぐつもりはない)А я торопиться с женитьбой не стану.
(彼にご馳走を勧めないでください。食べませんから)Не угощайте его, он не станет есть.
(彼の人生は終わりだ。だから彼は〔裁判で〕弁護してもらうつもりはない)Жизнь его окончена и защищаться он не станет.
(だって人を密告するつもりなんかないよ)Ведь не стану же я доносить на других.

 「~するつもりはない」という意識的否定は、4-1-3項の意向の動詞と否定詞の組み合わせでも同じ意味が出せるが、一般的には動作がない以上不完了体動詞不定形が後に来る。

(自分の立場を法廷で変えるつもりはない)Свою позицию на суде я менять не собираюсь. <менять не будуなら「~しないことになる」という動作事実の無の確認の用法>
(殺されるつもりはない)А погибать я не собираюсь.
(パプア人は客になにか害をするつもりなどもともとなかった)Папуасы не намеревались причинить гостю какой-либо вред. <遺憾・不本意というニュアンスがあるので完了体動詞不定形が来る。6-2-6-3項参照>

 не браться + 不完了体不定形は「~しようとは思わない、その任にあらず」ということだが、自分の能力、自信、希望に対する懸念を示す。браться = приниматьсяということで、語義に着手のニュアンスがあるためにначинатьなどと同様不完了体不定形が来るのが普通である。

(それについては判断しかねる)Я не берусь судить об этом.
(事故全体の規模を計算しようと思う人は今のところいない)Общий размер аварии пока никто не берётся подсчитать. <6-2-6-3項のように遺憾のニュアンスがあるので完了体不定形が来ている>

未来の時制における完了体と不完了体が否定文で使われると、その使い分けがよく分からない文も多い。

Posted by SATOH at 2020年02月02日 19:51
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