2020年02月02日

●第128回

しかし、2度目の動詞はその動作について新しい情報を提示しない、つまり動作には焦点が来ないので、代動詞として不完了体が出てくる(みなし反復)という事が言える。これは過去の時制においてуже(すでに)やоднажды(あるとき)があれば、動作事実の有無の確認を補強してくれるので、不完了体動詞過去形が来るというのと同じ発想である。
 質問があって、それに答えるとき、質問と同じ動詞で答える場合は、不完了体を使うというのは上記からお分かりだろうが、ロシア語では同じ単語の反復を避ける傾向があるので、動詞を言い換えた場合でも、その動詞は不完了体にするのが普通である。

(貨物はどのように納入されるのですか?)Как будут поставляться грузы?

 Какに文の焦点が来ているから不完了体が用いられているが、その回答である次の文でも、動詞を言い換えてはあるが、文の焦点は「鉄道で」あって、動詞には来ていないので、不完了体が用いられる。

(鉄道で発送します)Мы будем отправлять их по железной дороге.

4-1-1-4 動作事実の有無の確認の意味で概ね使えない不完了体動詞

 下記の不完了体動詞はбудуなどのбытьの未来形の後には未来における規則的反復、継続(ある程度の期間のかかる動作)の用法以外には使えず、概ね完了体動詞未来形を使う事になる。これは完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点(到達点)をイメージするためである。これらの動詞はその語義から、必然的にその時間軸の特定かつ不動の一点に意識が行き、動作自体に文の焦点となる要素が強く、そのため完了体動詞未来形を使うことになる。つまり、その場の雰囲気に合わせて使うというよりは、具体的な場面での場独立的な使用が主であるからである。過去の時制においてはこれらの動詞の不完了体過去形は動作事実の有無の確認の意味で使える。

・状態の変化・発生を示す動作 ×освобождаться → освободиться(解放される)、×преобращаться → преобратиться(変換する)、×становиться → стать(~になる)

(有料教育はますます値段が高くなってゆく)Платное образование будет становиться всё более дорогим. <未来進行形(過程)の用法>

・瞬間的に成立する動作 ×брать → взять(取る)、×давать → дать(与える)、×изобретать → изобрести(発明する)、×находить → найти(見つける)、×получать → получить(受け取る)

・無意識的で否定的結果をもたらす動作 ×лишаться → лишиться(なくなる)、×ломать → сломать(壊す)、×разбивать → разбить(砕く)、×ронять → уронить(なくす)、×терять → потерять(失う)、×убивать → убить(殺す)、×ударять → ударить(なぐる) <否定文の場合も含めて、これらの動詞は具体的な1回の動作を示し、このような危害や人の生命、損得(金銭)に関わる動作は人間の暮らしにとって非常に重要なものゆえ、感情を抜きにした単なる動作事実の有無の確認ということにはならず、主観的ニュアンスがあると考えられ、完了体が多用される>

・反復のきかない単一的、無意識的な動作および目的志向的でない動作 
×видеть → увидеть(見る)、×выздоравливать → выздороветь(元気になる)、×вылечиваться → вылечиться(治る)、×погибать → погибнуть(死ぬ)、×поправляться → поправиться(元気になる)、×простужаться

Posted by SATOH at 2020年02月02日 19:35
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