2020年02月02日
●第127回
(私は彼の意見を知っていた)Я знал его мнение.
(彼の意見を聞いてみます)Я узнаю его мнение. <узнатьは「情報を得る」という意味で、不完了体のузнаватьには状態の意味はない>
過去の時制ではこの用法に使われる動詞の制限は特にないが、未来の時制ではこの用法に使われる動詞は限られてくる。この用法が使えるものは、まず第一に、無接頭辞単純動詞(本源動詞)гулять(散歩する)、делать(する)、жить(生きる)、играть(遊ぶ)、писать(書く)、пить(飲む)、строить(建てる)、читать(読む)などである。これらには対応する完了体がない場合はもとより、対応する完了体がある場合でも、不完了体の方が使われる頻度がはるかに高いということもあって、比較的自由に使える。これらは7-2項にある接頭辞のある完了体(прочитать, написатьなど)では補語が絶対に必要だが、無接頭辞単純動詞は必ずしも補語を必要としないし、意味や使われる範囲もそのような完了体と比べて広い。
第二は一つの動詞にいくつか語義があって、その中に瞬時的移動・変化を示すようなものを含むもの(4-1-1-4項の瞬間動作動詞など)は使えないが、動作の過程、持続性、延長性を示す語義であれば不完了体動詞未来形が使われることになる。例えば、получатьは具体的なものを受け取る(ないしは「叱られるполучить выговор」など)という意味では、動作が一気に終わる(過程ではない)のでこの用法は使えないが、特典を得る、交付を受けるというような、ある程度過程のニュアンスがある語義の時は使える。даватьは過程の意味では用いないのでこの用法には使えない。захватыватьも未来の時制では「つかむ、とらえる」という反復の動作(過程、持続性、延長性を考慮しない動作)を示すのでこの用法では使えず、完了体のзахватитьを使う事になる。これ以外に広く使えるのは未来の反復である。未来の時制における動作事実の有無の確認には、その文脈における動詞の語義が直接かかわって来るのである。×は非文(文法的に正しくない文)である。
(彼が叱責される)×Он будет получать выговор. → Он получит выговор.
(こういう助言をさしあげよう)×Я буду давать вам такой совет. → Я дам вам такой совет.
(パレルモはサイトの読者にスタイルに関する助言を〔これから〕与えます)Читателям сайта Палермо будет давать советы по стилю. <未来の時制での規則的反復>
(太陽は2060年までに世界のエネルギーの50%を供給することになる)Солнце будет давать 50% мировой энергии к 2060 году. <未来の時制での規則的反復>
「どのように」というような様態を示す状況語か、疑問詞が来れば、疑問詞に文の焦点が来ることが多いし、動詞が意味の主体を担わないという事で不完了体が使われることが多い。この用法をよく示すものとしてещёとの組み合わせがある。この副詞があることで、反復を暗示しているわけだから、代動詞として同じ動詞を二度使うのと同じ効果がある。これも2-1-6-1項のみなし反復と同じ考え方である。
(注意して作文を書き写します)Я буду внимательно переписывать сочинение.
(まだまだあなたに反論しますからね)Я ещё буду возражать вам.
(何を変えることができるかさらに調べてみます)Мы ещё будем узнавать, что можно изменить.
(夜もう一度薬を飲みます)Я буду ещё раз принимать лекарство вечером.
仮に、同じ動詞が2度続けて使われたとしたら、最初の方は新しい事態や情報が出てきたということで、完了体の動詞が来るのが普通である。