2020年02月02日
●第123回
でもないが、日本語は形式上は現在と未来が同形(非過去)であり、状況語や文脈で現在と未来を区別している。実生活は別にして、時制について言えば、確実な未来というのはある。日本語でも推測には推測の表現があり、4-2-1-3項にあるようにロシア語も同様である。
不完了体動詞未来形は未来の時制だけで使われ、過去や現在の時制で使われることはない。ただ動詞бытьの未来形は単独で8-1-4項や9-1-2項のように時制の転用(現在の時制)で使われ場合もある。
4-1-1 単一動作 → 不完了体動詞未来形
未来の時制はбытьの未来形で表現され、そのうち不完了体不定形とともに用いられたものが不完了体未来形である。
4-1-1-1 未来における動作事実の有無の確認
完了体動詞未来形は具体的な1回の動作に使われるが、不完了体動詞未来形は、特にそれを意識せず、未来における動作事実の有無の確認に用いられ、文脈によって具体的な動作にも使われる。動作事実の有無の確認の意味がよく分かりやすいのが疑問文である。会話でその動作がこれから起こるのかどうかを虚心坦懐に確認するときにこの用法が用いられ、そのため口語的表現とされる。動作の有無を尋ねるだけであって、完了体のような主観的ニュアンスがない場合に使われる。動作の有無を尋ねるということは、動作が行われるかどうかが分からないということであり、その場合は不完了体動詞未来形が、動作が行われる確信があるのなら完了体動詞未来形を使う事になる。次の文でも聞き手は注文するかどうか、お迎えの人が来るかどうかを単に聞いているだけで、注文してもらわなければ困るとか、来なければ困るという主観的なニュアンスはない。動作が未来において起こるかどうかが分からないわけであり、このような時に不完了体動詞未来形が使われる。露訳する日本語の文の後にили нет?(それともしないのか?)をつけて文が成り立つなら、それは動作事実の有無の確認ということになるので、それで区別ができると思う。この用法が使えない不完了体動詞については4-1-1-4項参照。
(塗料をご注文なさいますか?)Вы будете заказывать краски?
(〔空港や駅などで〕お迎えの方がいらっしゃいますか?)Вас будут встречать?
この用法は4-1-3-1の意志(意思)の用法を兼ねてもいるが、上の文と語義的に似た意志(意思)を示す次の文のхотеть(~したい)やсобираться(~するつもりです)は、話し手の主観的ニュアンスが加わる叙想語модальные словаであるために、具体的な動作を示す完了体動詞不定形が来る。これで分かるように完了体というのは、動詞本来の生の語義に主観的ニュアンスを付加するときに使われる。
(塗料を御注文なさりたいのですか?)Вы хотите заказать краски?
(塗料を御注文なさるおつもりですか?)Вы собираетесь заказать краски?
заказыватьは4-1-2項の不完了体動詞現在形の予定の用法にも使えるが、文脈によっては、形式上、反復や過程と紛らわしいという欠点もある。そのためбытьの未来形を用いた方が、未来における動作事実の有無の確認なら形式上、瞬間的に意味が取れるので、会話での疑問文では多用されると言える。
(贈り物を御注文なさいますか?)Подарки заказываете?
(〔地下鉄などで〕お降りになりますか?)Вы будете выходить? <地下