2020年01月31日
●第92回
相対時制(9-2-1項)のところでも説明したように、что以下は発話の時点での動作だから、что以下に遂行動詞を持ってくることは可能である。
(ばかなことを言っているのがお分かりなのですか?)Вы соображаете, что несёте? <соображать = пониматьで、今相手が言った馬鹿なこと(具体的な1回の行為)に対して遂行動詞が使われている例である。しかもчто以下のнесётеも遂行動詞である>
(変な事ことを言ったことに気づいた)」Я почувствовал, что говорю не то. <говорюは遂行動詞だが、何かを言いかけて気付いたという過程の意味にも解釈できる>
(お話の途中失礼ですが)Простите, что прерываю вас. <直訳すると「お話の腰を折って、申し訳ありません>
3-1-5 評価解釈型動詞 → 不完了体動詞現在形
3-1-5-1 評価解釈型動詞とは何か
評価解釈型動詞интерпретационные глаголыというのは、動詞自体には具体的な動作の意味はないが、発話において具体的な動作の評価を示し、動作の解釈は発話と共に始まり、発話の終了と共にその解釈(判定)は終わるので不完了体動詞現在形が用いられる。遂行動詞の中に判定宣告型というのがあり、これに具体的な評価(マイナス評価が多い)を併せたものに近い。またこの動詞群はこの用法では過程(進行形)の意味では用いないので、所与の状況や文脈に沿った動作ということで、不完了体現在形を用いて現在の時制でのみ用いられる。そのためこの動詞は過去や未来の時制で用いられた場合、評価解釈型動詞ではなく、動作事実の有無の確認か反復の用法である。動作の評価を示すので二人称で使われることが多い。完了体動詞過去形の結果の存続という用法は、文脈によっては点過去との区別がつかないし、たった今動作が行われたのか、それとも今より前に動作が終わったのかが分からないという欠点があるが、この用法はたった今動作が行われたという意味であり、そのような誤解はない。評価解釈型動詞という日本語の用語は確立したものではなく、もっと適切な用語があれば、それに替えることに吝かではない。
(騙されていらっしゃるんですよ)Вы обманываетесь.
(誤解です)Вы заблуждаетесь.
上の文は過程を示しているのではなく、具体的なマイナス評価を示している。3-1-7-4項に示すように初めてを意味するときの状況語と共にも使える。
(勘違いなさっていますよ、お間違えです)Вы ошибаетесь.
(行動は間違っていらっしゃいます)Вы поступаете неправильно
(私の事を中傷していらっしゃいます)Вы клевещете на меня.
(そうなるとまるっきり話は別だ)Это совсем меняет дело!
これらの動詞群は発話終了と同時に、〔すでに考えの間違いは犯された、間違った行動はなされている、すでに中傷という事実はある〕という(ほぼマイナスの)評価が示され、これは完了体動詞過去形のもつ結果の存続と結果の評価を併せた機能に近い。そのような文脈において、この用法の体のペアである完了体動詞過去形と不完了体動詞現在形は互換性があると言える。その点が遂行動詞(3-1-4参照)との違いである。それゆえ、Вы ошибаетесь.もВы ошиблись.も意味的には同じということになり、ошибиться/ошибатьсяが不定形で用いられた場合も同じである。完了体動詞過去形の方は、完了体自体が話し手にとって場独立型ということで、本質的に具体的な1回行為に使われる面を持っているという事から、行為