2020年01月31日
●第86回
(黙って言われたことをしてくれませんこと!)Потрудитесь замолчать и делать, что вам приказывают! <従属文は3人称複数形を使った遂行動詞で、意味上の主語はя>
以下は裁決のときの裁判官の言であり、有罪か無罪かというような判決の内容や量刑は一人称である裁判官の恣意的な決定ではなく、刑法によるものであるため三人称の受け身が用いられている。
(異議の申し立てを認める)Возражение принимается.
(異議の申し立てを却下する)Возражение отклоняется.
上記以外に、遂行動詞でよく使われるものは、複数も含めて一人称で使われる会話やメール・手紙などの決まり文句などで、次に挙げるようなものである。これを三人称にすると、文脈により、遂行型の用法の他に、状態、反復などが出てくる場合もある。
〔ありがとうございます。(感謝申し上げます)〕Благодарю. (Приносим благодарность)
〔ご健康を祈って乾杯〕Предлагаю тост за Ваше здоровье! (= Пью за Ваше здоровье! = Поднимаю бокал за Ваше здоровье!)
(ご幸運をお祈り申し上げます)Желаю вам успехов!
(深く哀悼の意を表します)Выражаем глубокое соболезнование.
〔申し訳ありません、お詫び申し上げます〕Приносим извинения. (= Прошу прощения. = Прошу извинения.)
(劇場にご招待申しあげます)Я приглашаю вас в театр.
(お立ち寄りになるようお願いします)Прошу зайти к нам.
〔お祝い申し上げます〕Шлю вам поздравления. (= Посылаю вам пожелания.)
(彼がみなさんを劇場に招待いたします)Он приглашает вас в театр. <この文の内容を伝えているのは一人称と考えるのが自然>
(この結論は発話やその意味の言語的内容構造の不一致から導かれる)
Этот же вывод следует так же из несовпадения структур языкового содержания высказывания и его смысла, <意味上の主語は一人称>
上の文の動詞がすべて遂行動詞だと言うのは、発話の瞬間から動作が始まり、発話の終了で動作が終わる(動作の内容が伝わる)からであり、状態、過程、予定、反復を示していないことは明白である。
態度表明型の遂行動詞には、意味的に完了体命令形と同じようなものがあるが、下記に示すように、動詞の形式上の意味は完了体の完遂の用法であることが分かる。動作の終了を示すと言えるのは、例えば、(お詫び申し上げます)のПриносим извинения.をИзвините. <直訳は「許して下さい」>と言い換えることができるからである。Извините.と完了体動詞命令形が来ているので、動作(お詫びすること)の遂行を示していることが分かる。同様に、Шлю Ване привет.(ワーニャによろしく)を命令法にすると、Передай Ване привет.<直訳は「ワーニャに挨拶を伝えて」>と完了体動詞命令形が出てくる。(僕から彼によろしく)は、Кланяйтесь ему от меня. でもПоклонитесь ему от меня でも同義である。
(劇場にご招待申しあげます)のЯ приглашаю вас в театр.はЯ хочу пригласить вас в театр.とほぼ同義だが、ここでも同義の文に完了体動詞不定形を使えることで、動作(招待する)という動作が遂行していることが分かる。また上の文に意味の重なる、желать, просить以外の文に、хочу, хотим をつけても意味は変わらないが、遂行する動詞は全て完了体動詞不定形になって、遂行の意味を示すことになる。動作の終了は遂行動詞の特徴でもある。
この他、電話で使う表現にも遂行動詞が出てくる。次の上から二つの文は、見かけは三人称だが、名を名乗っているだけで、実際は一人称で