2020年01月31日
●第76回
過去完了の継続とも言える大過去(過去の過去)から過去への継続をも示す事ができる。
(1982年からライキンの劇場はモスクワに移転し、1987年からはサチリコーンという名になり、1991年からはライキンの名を冠している)С 1982 г. театр Райкина переехал в Москву, с 1987 г. называется «Сатирикон», с 1991 г. носит имя А.И. Райкина. <過去の過去(大過去)から過去および現在への継続を示している>
(30年代半ば以来私はナチに対し幻想を抱いたことはない)Начиная с середины тридцатых годов я не обольщался в отношении к нацистов. <経験との用法との組み合わせ>
現在から未来へ続く反復や継続の動作の否定でも、仮定であれば動詞によっては不完了体現在形で示す事が可能な場合がある。これはбытьの未来形の否定は4-1-1-6項にあるように動作事実の無の確認を示すため、それと誤解されるのを防ぐためかもしれない。
(そうでなければ出ておゆき。お前なんか知らないよ)Иначе ступай от меня: я не знаю тебя! <знать = считать кого-либо родным, близким, знакомым; признавать(身内と認める)であり、この「知らないよ」は状態動詞ではない。その条件に反対なら、面倒を見ない、その条件に同意するなら面倒をみるという具体的な1回の仮定の動作を言っている。>
3-1-3-2 過去から現在に至る動作の未遂行 → 不完了体動詞現在形
過去から現在まで継続して動作をしているのだが、終了できないという動作も、動詞によっては不完了体現在形で示す事ができる。
(丸1時間真剣に治療する必要性をあなたに訴えているが、納得してもらえない)Я целый час убеждаю вас в необходимости серьёзно полечиться и никак не могу убедить. <убеждатьは遂行動詞ではないので、1人称現在形のときに補語に二人称を取れないが、経過のニュアンスがあれば取れる>
後述の遂行動詞は一人称ならすべて動作遂行の意味になるかというとそういうわけでもない。проситьは遂行動詞のはずだが、
(丸々1時間席につけと頼んでいるんだ)Битый час прошу тебя садиться за стол.
という上の文では座れという動作は終了していないことが分かる。このような用法を動作の未遂行дескриптивные употребленияと言い、過去から現在に至る動作の反復を示している。不完了体一人称現在形でこの意味がよく現れる動詞は、бурчать(つぶやく)、лгать(嘘をつく)、велеть(命じる)である。どうしてこのような違いが出るのだろうか?それは結びつく不定形によるものだと思われる。上の文のように不完了体動詞不定形がつくと、不完了体の持つ動作の反復という意味が動作の達成をいわば阻害するのである。
完了体動詞不定形や同じ不完了体でも状態を示す動詞であれば、下記の文のように遂行動詞として機能する。
(紛争解決のために現況〔そうなった状況〕をご検討願います)Я прошу Вас рассмотреть сложившуюся ситуацию с целью разрешения конфликта.
(全てを愛するようお願いします)Я прошу вас любить всё.