2020年01月29日

●第65回

動作および結果の存続を示し、それに続く不完了体動詞過去形は動作事実の有無の確認であり、文の焦点が疑問詞にあることは明確である。2-1-1-1項も参照のこと>
(この長編小説を書いたのは誰ですか?)Кто написал этот роман? <過去の時制の創作者としての資格(2-2-1-3項参照)→ 完了体動詞過去形>

 この創作者としての資格との関連で、発見に関わる動詞изобрести(発明する)、найти(見つける)、открыть(発見する)も同様完了体動詞過去形が来る。

(だれがラジオを発明したの?)Кто изобрёл радио?
(アメリカを発見したのはだれですか?)Кто открыл Америку?
(鍵を見つけたのは誰ですか?)Кто нашёл ключи?

при-という接頭辞を持つ運動の動詞は不完了体でも過程を示すことができず、到達の反復、ないしはприходил = пришё и ушёлという「来て、去った」、つまりその場にはいないという意味になるので、疑問詞との場合でも完了体動詞過去形が用いられる。結果の存続の項3-2-1-1参照。

(3位で来たのは誰ですか?)Кто пришёл третьим?

 刺身のつまのような動詞自体に文の焦点が来ない文、つまり補語、状況語、疑問詞に意味の焦点があるような文には、不完了体が来ると説明したが、それを短絡的に疑問詞があれば不完了体が来ると誤解してはいけない。疑問詞があっても、例えば過去の時制で動詞に意味上の焦点があれば、つまり点過去(2-2-1項参照)や結果の存続(3-2-1項参照)のニュアンスがあれば、完了体が来るというのは上の文例でも分かるだろう。
 疑問詞 + 不定形という組み合わせでは、この組み合わせ自体が叙想語модальные словаなので完了体動詞不定形が来るのが普通である。詳しくは6-1-4項参照のこと。

2-2-7 期間の区切り

 期間の具体的に限定された継続はпо-(必要な、あるいは望む期間より短い、「ちょっと、少しのというニュアンス」)やпро-(十分な期間、必要な、又は望むより長い期間)という接続詞のついた完了体で示す。これは未来の時制においても同様である。

(祖母は私たちのところに半年暮らして、再び帰って行った)Бабушка пожила у нас полгода и снова уехала.
(何時間も日向ぼっこをして。それはとても体に悪いよ)Ты пролежала несколько часов на солнце, это очень вредно.

 厳密に言えば、不完了体の継続(3-1-3-1項)が動作の完遂されていない経過報告のようなものであるのに対し、この種の完了体は期間の区切りを示しており、その区切りまでで継続するという動作が終了しており、この区切りが時間軸の一点момент времениを示す事で、1回の具体的動作を表現していることになる。

Posted by SATOH at 2020年01月29日 17:36
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