2020年01月29日

●第58回

程度の期間をおいてという場合には不完了体が来る。

(異説は次々と消えていった)Версии отпадали одна за другой.
(次から次へと罵詈雑言を彼は浴びせた)Сыпались из него слова одно другого грязнее.
(俺は次から次と授業をさぼった)Я пропускал одну лекцию за другой.
(次々と叫び出した)Закричали один за другим. <動作の一括化>

 完了体動詞過去形が具体的な動作の順次性を表すのに対して、不完了体は具体的な動作の同時性を表す。2-1-12項参照。

(ナージャは試験を受けてから、マーシャのところに行った)Надя уехала к Маше, когда сдала экзамены. <когда = после того как(~の後で)、как только(~するやいなや)、едва(~するとすぐ)、едва лишь(~するとすぐ)ということで、従属節の動作の後主節の動作がすぐ行われたことを示している。このсдалаは合格したという意味ではなく、受験したという意味の点過去>

2-2-1-5 動作の一括化 → 完了体動詞過去形

 数回とか何度か、幾度かという反復には2-1-6項で述べたように、不完了体を使うのだが、動作の個々の場面を一つにまとめる(立て続けに、一度に数回繰り返された)動作や、反復された動作の終了を強調することを動作の一括化と言い、その一括的意味суммарное значениеには完了体を使う。動作の一括化も完了体であるから、時間軸の特定かつ不動の一点(到達点)での動作をイメージする。
これはほぼ連続して行われた動作が、細かい点のように理解され、それが主観的に大きな一つの点に見立てられるわけで、それは点過去そのものであるため、完了体動詞過去形が用いられる。これは点が数学的には面積を持たないということに似ている。また動作を一つにまとめるということが文の焦点なので、完了体が用いられていると考えられる。語義がほぼ連続した動作と見なせるような語義の動詞の数が限られているので、より一般的な完了体の用法とはならなかったのだろう。

(我々は全部でこの実験を25回行った)Всего мы проделали этот опыт двадцать пять раз.

 これはпо-, про-やпере-という接頭辞のついた動詞などや-ну-という接辞のついた一回体の動詞に主に見られる用法であり、不定法にも見られるが、два, три раза(2、3度)、дважды(二度)、каждый раз(毎回)、не раз(一度ならず)、несколько раз(数回)、подряд(立て続けに)триждыなど回数などを示す限られた文脈だけでしか発生しない。

(彼は何度か自分の耳をふさごうと試みた)Он несколько раз попытался заткнуть себе уши.
(彼女は幾度か〔立て続けに〕キスをした)Она несколько раз поцеловала.
(3度〔立て続けに〕フクロウの真似をして叫んだ)Трижды крикнул совой.
(私は二度とも失敗を喫した)И оба раза я потерпел неудачу.

 それ以外の動詞でも文脈によっては、動作の一括化の例がある。

(ちょうどニコラーエフスカヤ通りの互いにあまり離れていない2か所に立ち寄らねばならなかった)Как раз в Николаевской улице надо было зайти в два места, одно от другого недалеко.
(何度か〔立て続けに〕彼に目配せした)Несколько раз подмигнул ему.
(酒をコップ何杯か一気飲みした)Залпом выпил несколько стаканов вина.

Posted by SATOH at 2020年01月29日 04:35
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