2020年01月29日

●第57回


2-2-1-4 順次的用法 → 完了体動詞過去形

 点過去の一つであり、過去の時制において継時的にあまり間をおかずに、次々と動作が起こるときに用いられる。動作が順々に起こるためには、前の動作が終了しないと、次の動作が始まることができないというのは自明の理である。これを動作の順次性секвентность (последовательность действий) と呼ぶ。二つないしはそれ以上の動詞を用いることにより、動作の焦点が次々と移動して行くことになる。前の動作も次の動作も過去の時制では点過去か結果の存続になる。不完了体であれば、動作が遂行したかどうかは不明であり、確実に次の動作へ移れる保証はないことになるので、順次的動作すべてに、完遂の意味をもつ完了体動詞が使われることは理解されよう。そのため過去の時制では点過去から派生した用法ではあるが、現在の時制では被動形動詞過去短語尾を使って、未来の時制では完了体未来形を使っての順次的用法(4-2-2項)がある。動作の順次性は、主節と従属節でも表すことができる。

(すてんと滑って転んでしまったの)Я совсем соскользнула и упала.
(よそ見していて、〔降りる駅を〕乗り過ごしてしまいました)Я засмотрелся и проехал свою остановку.
(自動販売機にコインを入れ、ボタンを押し、券を受け取った)Я опустил в щель автомата монетки, нажал нужную клавишу и получил билетик.
(家に帰ると、すぐに寝た)Когда я пришёл домой, я сразу лёг спать.

 この順次性は感覚的なもので、場合によっては、ほぼ同時と考えてもよいような動作を示すこともできる。次のような文もそうである。

(彼は出かけ、鍵を残さなかった)Он уехал и не оставил ключ.

 被動形動詞過去短語尾も順次的意味も表わせる。

(言われたことは即実行)Сказано – сделано. <諺>
(航海士に網のカバーの違反を指摘した(ところ)、我々のいる前で違反は是正された)Указал штурману на нарушение в сетном покрытии. Нарушение было устранено в нашем присутствии.

 同じく動作が順々に起こっていても、過去の反復ならば、不完了体動詞過去形を使う。不完了体は時間的に共存する過程を示し、時間における過程と過程の前後関係を指示しないとラスードヴァ先生も述べておられるので、不完了体は具体的な1回ずつの動作の順次性を示さないと考えるべきである。

(この頃彼は帰宅して、夕食をとって、仕事に取り掛かるのがいつもの日課だった)В это время он всегда приходил домой, ужинал и принимался за работу. <夕食を取るのと仕事に取り掛かるのが同時という可能性もある>
(炎はすでに室内で激しさを増し、かまちも窓も燃えており、炎の先端は壁の上にのびていた)Пламя уже бушевал внутри комнаты, горели рамы и окна, и языки огня высовывались вверх по стене. <動作の同時性を示す>
(彼は机についていて、何かを考え、黙っていた)Он сидел за столом, о чём-то думал и молчал. <動作の同時性、ないしは時間的につながりのない動作を示している>

 次々といっても、動作がまとまってと感じられる場合は次項の動作の一括化だが、動作自体が二つの動作とは限らない(不定数の動作)、ある

Posted by SATOH at 2020年01月29日 04:29
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