2020年01月28日
●第36回
れは完了体の順次的用法から外れるからである。всталとした方が、文の上では自然なものになるとはいえ、上の文は文法的に正しいと言える。これはвстать/вставатьがоткрыть/открыватьのような動詞群と共に、過去形はニ方向の動作をもっているからである。всталは「起きた(発話の時点でも起きている)」だが、вставалは「起きていた(発話の時点では起きていない可能性が高い)」というニュアンスがあるからである。この文の最後にлёгがあるので、なおさら不完了体動詞過去形が適切であることが分かる。3-1-12項も参照のこと。
(あなたが席を外していらっしゃったときに、〔どこかにいらしゃっていたときに〕我々は両替しました)Когда вы отходили, мы поменяли деньги.
このотходилиはотошли и подошли(その場を離れてから、またやって来た)という意味で、接続詞のついた運動の動詞の往復の用法である。つまり「あなたがトイレかどこかに行って、その後戻ってきた」という意味である。尚このподойтиは口語では<近づく>という意味ではなく、<прийти到着する>という意味である。これがотошлиと完了体動詞過去形なら、行ったきりで、例えば電話でなら上の会話は可能だが、<あなた自身は、声はともかく、まだ不在のまま>ということになる。отошли и подошлиというのは、後述の完了体の順次的用法(2-2-1-4項参照)である。逆の動作が、ポンポンと順を追って行われたことを示している。
ただ対義語のある動詞群の不完了体過去形には、3-1-12項の結果存続無効の意味が出る場合が多いが、全ての文脈においてというわけではない。不完了体には文脈によって反復、過程という意味の場合もあるからである。
2-1-4 過去の過程(進行形) → 不完了体動詞過去形
完了体がその時点でのその一瞬を表現できないために、過去における過程は不完了体動詞過去形が担う事になる。この用法は、「そのとき~していた」という過去進行形の意味を示す。過去を示す状況語とともに、過去の一点を示す事ができるが、これは通過点のようなものであり、そこが不動の特定の一点(前後から孤立した一点)を扱う点過去との違いである。志向の用法(7-1-1項参照)では過程のみか、反復が加わる場合がある。
この用法で共によく使われる状況語は、безвылазно(ひきこもって)、всё больше(ますます多く)、всё быстрее(ますます速く)、всё выше(ますます高く)、всё ещё(さらに)、всё сильнее(ますます強く)、всё тише(ますます静かに)、из года в год(年々)、настойчиво(しつこく)、настоятельно(切に)、неизменно(変わることなく)、нескончаемо(果てしなく)、постоянно(常に)、упорно(たゆまず)である。3-1-1項も参照願う。
(廊下からミハイロフが飛び出してきたときに、我々はもう出口のところまで来ていた)Мы подходили уже к выходу, когда из коридора вылетел Михайлов.
(彼が入って来たときに私は手紙を書いていた)Я писал письмо, когда он вошёл.
(父は息子を後継にと考えていた)Отец прочил сына на своё место.
(嵐が近づいてきた。船は港へと急いだ)Приближался шторм, корабли спешили в порт. <приближатьсяはпри-がついているが、運動の動詞ではないので過程でも用いられる>
(灯油ストーブはゆっくりと過去のものになっていった)Керосинки медленно уходили в прошлое.
点過去と紛らわしい用法があるので下記に挙げておく。