2020年01月28日
●第34回
нас не менялся и не хотел.
(彼は頑固で、変わっていない)Он упрям и не изменился. <否定の強調、結果の存続の否定版>
(アガニョーク誌が変わることはない)«Огонёк» не будет меняться. <動作事実の無の確認。4-1-1-6項参照>
(世界は変わらない)Мир не изменится. <否定の強調、未来における完遂の否定>
運動の動詞においては、不定動詞ходитьの否定は過去の時制では、初めからそういう動作はなかったことを、定動詞ではそれ以上の動作がないことを示し、完了体пойтиの過去形は結果の未達成、つまり途中で気が変わったこと(新規の動作)を示している。
(昨日はどこにも行かなかったわ)Вчера я никуда не ходила.
(タンスはドアのところにはさまれて、それ以上行かなかった)Шкаф застрял в дверях и дальше не шёл.
(〔気持ちが変わって〕どこにも行かなかったの)Вчера я никуда не пошла.
(空港へはその汽車は運行していない)В аэропорт поезд не ходит.
(この列車はここが終点です)Поезд дальше не идёт.
(その列車はターミナル駅まで行かないのか?)Поезд не пойдёт до вокзала? <まさかと思うけどというニュアンス>
2-1-3 動作の往復
不完了体過去形の用法には反復と、過程(при-という接頭辞のついた運動の動詞群以外)の用法があるが、本項で取り上げる動作の往復の用法двунаправленное значениеというのは、完了体過去形に見られる結果の存続(3-2-1項)の用法と対立する結果存続無効(3-1-12項)の一つである。動作やその結果が反対方向に向けられた動作や出来事によって容易に取り消されるような動詞の用法を意味する。この用法には、運動の動詞の不定動詞ходить, ездитьの過去形、および接頭辞のついた運動の動詞の不完了体動詞過去形、および対義語のある動詞群の不完了体過去形を用い、動詞の体のペアがある動詞である。これらの動詞群は完了体過去形において結果の存続のニュアンスが強いもので、不完了体過去形ではその対比として、結果存続無効の用法になりやすいと言える。例を挙げると、приходил = пришёл и ушёлは、<来ていた(来たが立ち去ってしまって、今はそこにいない)>を意味し、対義語である二つの動詞の完了体過去形の順次的用法を意味する。同様に、входил = вошёл и вышел(そこに入って出て、もうそこにはいない)、заходил = зашёл и ушёл(立ち寄って、去った)、отходил = отошёл и подошёл(その場を離れて、又戻ってきた)、уводил = увёл и привёл(連れ去って、又連れ戻った)、уходил = выходил и вернулся(その場を出てから戻ってきた)などである。
この用法では時の状況語と併せて用いられることができる。解釈は二つあり、一つは完了体の順次的用法の代用であるから、とんぼ返りを示す折り返し地点のような時の状況語と併せて用いられても問題ないはずだという考え方であり、もう一つは、このような動作の往復では、とんぼ返りのような動作には実際上ならないので、時間の状況語は無限小の時間軸の不動の一点ではなく、「期間内に」を意味するという考え方である。
この用法では動作が往と復の二つあり、復の動作は往の動作と同じ内容だが方向のみが逆、つまり等価で符号のみ(+)が(-)に変わっただけの反復動作と考えられるので、2-1-6-1項のみなし反復として不完了体が使われると考えてもよい。
ちなみに、この用法は反復、過去進行形(при-のついた運動の動詞群を除く)、動作事実の有無の確認と解釈される場合も文脈によってはありうるので、何でもこの用法だと決めつけてはならない。また歴史的現在の用法は実質的に順次的用法なので、時間軸の不動の一点と不完了体現在形