2020年01月28日

●第33回

了体が必須である。もう一つは、否定的結果をもたらす動作を示す動詞群でзабыть忘れる、потерять失う、разбить割る、сломать壊す、убить殺す、ударить殴る、уронитьなくす、などの瞬間動作動詞(瞬時の移行・変化を示す動詞)であり、これらは状態ではなく、否定の場合でも具体的な1回の動作を示し、生死(生命)や損得(金銭)に関わる強い主観的な動作を示すので、過去の時制の平叙文や否定文では、点過去(その派生の結果の存続)として完了体で使われることが多い。不完了体動詞過去形の例としては2-2-6項参照。しかし、これらの動詞も疑問文では過去の時制の動作事実の有無の確認としてなら不完了体動詞過去形が来る。このほかに、4-1-1-4項の状態の変化を示す動作、瞬間的に成立する動作、反復のきかない単一的、無意識的、非目的志向的動作を示す動詞にもこれに当てはまる。
「ズヴャーギンツェフさん電話くれた?」を和訳するとГ-н (Господин) Звягинцев позвонил? <期待(電話くれるって約束したのに)というニュアンス>があり、Г-н Звягинцев звонил? では電話があったかどうかを単に聞いているにすぎない。
動作の否定において、未来の時制ではまだ起こっていない事柄、つまり確定されていない事柄が対象のために容易に可能性と結びつくが、過去の時制では、不可能という用法はあり得ない。これは完了体動詞過去形が時制はともかくとして、確定(確述)した動作(9-2項の相対時制参照)を示し、可能性の現れる余地がないからである。そのため完了体動詞過去形では点過去(過去の時制)や結果の存続(現在の時制)が否定文に現れるにすぎない。
 日本語の文法で言う非過去(現在と未来)は完了体動詞未来形でも表現できるが、完了体動詞未来形は動作が行われている現在のこの瞬間を表現できない。そのため現在と言っても、一瞬後以降の広い意味での今である。広い意味での今にはロシア語でも日本語でも「今電話がありましたよСейчас вам звонили.」というような過去も含まれる。そういう意味での現在と未来の時制において完了体動詞未来形を否定すれば、不可能と否定の強調、ないしは未来の時制においてその動詞の語義にある動作が遂行されないことを示す。
 「完了体は刻々と動く動作のその瞬間を表現できない」ということから、否定文においても完了体は具体的で現実的、直近の事柄を表現することになる。一方、不完了体は不動の一点にとらわれないわけで、そこから抽象的な、非現実的な、ある意味一般的なニュアンスを帯びることになる。

(私はその手紙を受け取っていない)Я не получил письмо.
(私はいかなる手紙を受け取らなかった)Я никакого письма не получал.

 不完了体動詞過去形の否定は動作が全くなかったということから、思いがけない行為の断固たる否定を示す場合がある。その場合никакойのような否定の強調する状況語か、否定の動詞を強いイントネーションで発話することになる。

(あなたのものを取ってなんかいませんよ)Я не брал ваших вещей.
(私たちは電報を受け取ってなんかいません)Мы никакой телеграммы не получали.

 不完了体動詞未来形の否定は、これから起こる未来のいつの時点の動作をも全て否定するゆえに、回りの雰囲気を読まずとも、「~するつもりはない」という否定の意図が明確に現れる。これは預言者ではない以上、未来について確信を持って言えるのは、予言ではなく、意志(意図)だけだという事も関係している。4-1-1-6項参照。

(ミハイルは変わっていない)Михаил не меняется.
(我々のだれも変わっていなかったし、それを望まなかった)И никто из

Posted by SATOH at 2020年01月28日 14:31
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