2020年01月28日
●第31回
г. на киностудии "Мосфильм".
(お勘定はお済ですか?)Вы рассчитались? <お金や命に関係する語義の動詞は、その重要性から動詞に焦点が行くと考えられ、そのため有無の確認であっても完了体動詞過去形が来る。結果の存続(3-2-1項参照)>
(警告はしましたよ。あとはお好きなように)Я вас предупредил, а там, как вам будет угодно! <たった今、警告したという結果の存続の用法>
(彼が雷を落としたとしても、俺は警告したからな)И если он тебя взгреет - я тебя предупреждал. <以前に警告したということで、動作事実の有無の確認の用法であり、たった今警告したというニュアンスはない>
主語に文の焦点(動作の焦点)が来る場合も、不完了体が来る。самが主語につく場合などが分かりやすい。
(まだ起きてなかったのですか?)Вы ещё не вставали!
(彼自身が僕に言ったんだ)Он мне сам сказывал.
(ほらね、言ったじゃないの!)Вот видишь! Я же говорил.
上の文では、話し手は「言った」という動作が過去にあったことだけをいっているだけで、この動作には何のニュアンスがない(少なくとも話し手はそういうつもりか、そういうふりをしている)。しかも、聞き手がこの発言を聞いてどんなニュアンスを感じ取るかは、話し手の体の選択には関係しない。
2-1-2-2 動作の否定(否定文一般)
具体的な1回の動作の否定には完了体が用いられ、動作が一切ない(任意の1回の動作の否定か反復動作の否定かは文脈による)ことを示すのが不完了体の否定である。否定の用法についてまとめてみると、完了体過去形は点過去(派生としての結果の存続の否定<3-2-1-2項>、否定の強調<2-2-1-6項>)、期待外れ<2-2-2項>)であるが、動作がすでに起こっているため仮定法過去を除けば、可能性(不可能)ということはない。完了体未来形は不可能<3-2-3項>という用法の他に、否定の強調<3-2-2項>も含めて具体的な一つの動作がないことを示す。不完了体過去形は動作事実の無の確認<本項、3-1-7-2項、3-1-8項>で、不完了体現在形は動作が一切ない(任意の1回の動作の否定か反復動作の否定かは文脈による)を示し、不完了体未来形は文脈依存型の動作事実の無の確認<4-1-1-6項>は、動作が未来における動作事実の無の確認であると同時に、いかなる状況においても動作がないという、動作事実の無の確認を意味する。完了体未来形の否定は具体的な一つの動作が未来において行われないという事を示すが、不完了体未来形の否定は具体的かどうかにかかわらず、一切の動作を否定するという違いがある。
禁止は不完了体命令形<5-1-4項>、不完了体不定形<6-1-5項>で、具体的な1回の動作や反復動作の禁止があるが、どちらかは文脈による。不可能は完了体不定形<6-2-5項>で、警告・危惧は不完了体命令形<5-2-4項>で扱う。なお遂行動詞<3-1-4-8項>や挿入句では否定文は用いられない。
「うっかり~する」という動作は無意識的であり、例示的反復だから例示的用法という事で完了体の領域である。ところがその反対の意識的動作というものは、動作の有無という点から見ると不完了体が、動作の全一性という観点から見ると完了体が来る。否定文では意識的という観点から見ると、動作がないので全一性というニュアンスはない。そのため、不完了体の動作事実の有無の確認に意識的な動作の否定のニュアンスが出てくることになる。これは4-1-16項にも関係する。「レンジのスイッチを切らなかったわ」や「鍵を取らなかったわ」という文はつぎのように二通りに露訳できる。