2018年04月01日

●和文露訳要覧第341回

ヴォールвор в законе(極道、任侠)というのはロシアの犯罪界のエリートであり、その発生については1930年代であることは、識者の間で意見が一致しているが、前半なのか後半なのかについては意見が分かれている。発生の理由についても、肥大化する収容所の統制を図るためにヴォールを利用した(教育を受けているはずの政治犯は信用できないため)ということでは見解が一致しているようである。東シベリアの流刑地で19世紀中ごろに金鉱掘りで虐待され、生きのびた一群からイワンиванという犯罪エリートの一群が生まれ、それが、1920年ごろにはウールカуркаとなったと思われる。ウールカからヴォールが生まれた。これはロシアだけではなく、どこの国でも精神的にも肉体的にも強いものが犯罪界を仕切ってゆくということから特に目新しいことではない。ロシアの犯罪界の特殊性は、収容所当局(無論スターリンの了解を得て)が、収容所統制のためヴォールを利用したが、第二次大戦終了後にはその起用が失敗に終わったことが明らかとなったということにある。最近『ラーゲリのフランス人』(ジャック・ロッシ、ミシェル・サルド共著、外川継男訳、恵雅堂出版、2004年)を読んだ。コミンテルンで働いていたロッシが1937年10月スパイとして逮捕され、以降24年間の収容所生活を送ることになった。彼は『ラーゲリ<強制収容所>注解事典』(この本の訳でヴォールを泥棒と訳しているが、これは誤訳であろう。ヴォールが盗みを働くことはない)の作者でもあるが、収容所統制の一番下の組織である獄房の管理者である牢名主староста(収容所の規模によるが、いくつかの獄房を管理するのがсмотрящийであり、その上がположенецと呼ばれる。これらの管理者の任命については収容所当局からヴォールが任されていたと思われる)については1937年までは挙手で囚人自身が選んでおり、それ以降当局からの指示で任命されたと書いていることから、1937年ごろにヴォールの体制が確立したのではないかと推測される。

出題)「芸能は公的な文化のまま子扱いだった」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2018年04月01日 17:16
コメント

Популярные искусства остались пасынками для официально-культурной политики.
宜しく御願い致します。
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芸能はポピュラー芸術とは言いませんし、最後のполитикаはよけいです。私の答えは、Эстрада долго была падчерицей официальной культуры.
主語が女性名詞なので、継娘となっている。男性名詞ならпасынок。

Posted by さきちゃん at 2018年04月01日 17:57

Эстрада считалась пасынком официальной культуры.
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かなりいい線を言っていると思いますが、主語が女性名詞なので、それに合わせたほうが自然です。

Posted by ブーチャン at 2018年04月01日 18:59

Театральное искусство было проигнорировано в офичиальной куритуре.
よろしくお願いします。
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お答えは新劇、歌舞伎のようなものだけを指し、映画、落語や漫才、テレビのバラエティーなどは含まれないような気がします。

Posted by やま at 2018年04月01日 20:11

К артистической забаве по-прежнему обращались как к падчерице официальной культуры.
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картистическийという言葉は存在しないと思います。

Posted by Го at 2018年04月03日 23:23
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