2020年02月02日
●第114回
(いつご注文なさったのですか?)Когда был сделан заказ?
上の文の注文は生きているわけだから、былなしでの結果の存続でもいいはずだが、注文がなされたのは過去のいつの時点(過去の一点)かということなのでбылが必要となる例である。
結果の存続から状態の意味に、つまりいいか、悪いかという結果の評価ではなく、どのようにという様態の意味に移行した例を挙げる。
(チェンバー〔格納室〕の近くで作業している操作員を放射線からどのように保護しているのですか?)Как защищён от радиации оператор, работающий вблизи камеры?
(チェンバー〔格納室〕の遠隔制御の仕組みはどうなっているのですか?)Как устроено дистанционное управление камерой?
3-2-1-5 сейчас、теперь、только чтоの違い
分析哲学では「今」を瞬間の現在としてのみ捉えるのではなく、「今」は(文脈によって)任意の持続の幅を持つという考え方である。「今」が任意の時間幅を持つというのは、文脈によっては、この瞬間という時間軸の一点の意味にも、ある程度時間の幅を過去や未来に持つ場合があるという意味である。日本語でもロシア語でもそのような使い方をする。
イ)сейчас
(彼はたった今来たばかりだ)Он только сейчас пришёл.
(たった今彼と電話で話したばかりだ)Я сейчас говорил с ним по телефону. <сейчасの代わりにтолько чтоを使ってもよい>
(たった今ナースチャが電話してきた)Только что звонила Настя.
上の文の二つ目と三つ目の文「たった今сейчас, только что」にどうして不完了体が出てくるのだろう?「たった今」という日本語には、少なくとも二つの使い方があることが分かる。一つは「イワノフさんがたった今お見えになりました(お見えです)」と、もう一つは、上の文のような「たった今電話したばかりだ」である。前者ではイワノフさんは今ここにいるのであり、結果の存続なので完了体動詞過去形を使う。後者は電話で話は終了していることが分かり、何の話をしたのかその内容が分からず、たんに事実の有無を確認しているにすぎないので不完了体動詞過去形が出てくるわけである。
сейчасには発話の瞬間〔同時性〕、たった今(発話の直前〔近接過去〕、上記の例文)、それと次の文の今すぐ(発話の直後〔近接未来〕、次の例文)という意味があり、19世紀にはтеперьも同じように使われていた。
(「寝なさい」「今すぐ寝ます」)Ложись спать. – Сейчас.) <Ложисьという不完了体動詞命令形は促しの用法であり、4-1-1-8項参照>
(今行きます)Я сейчас буду.
現在ではсейчасは「今」は「今」でも、時間的に比較的短く、一般的にあまり重要でない事柄に用い、теперьは時間的に比較的長く、過去との対比とか、重要な事柄である「今」に用いられることが多い。
сейчасの発話の同時性というのは、一番分かりやすそうだが、過去において何かを物語る時の同時性を示すのにも使える。これにはтеперьも使える。
(今旅人は汚い村の通りをゆっくりと歩いていた)Сейчас (Теперь) путники брели по грязной деревенской улице.