2020年02月06日
●第174回
対して、憤激と反抗のニュアンスを持つ用法である。
(彼は帽子を取り、毛皮の外套に手を伸ばそうとした。ふと気がつくと、門番の娘が、10歳ぐらいの女の子だったが、不意に大きな声を上げた。彼はやにわに走り出した。女の子は彼を追いかける。結局(よってたかって)捕まえられてしまった)Он шапку взял и хотел за шубой идти – глядь, дочка швейцара, девочка лет десяти и – закричи! Он бежать, она за ним. Его и схватили.
この用法は、上の文におけるзакричиという完了体の命令形のことで、глядьは意外性を示し、「ふと見ると」という感じである。бежатьと不定法なのは突然開始された動作を示す。6-1-1項参照。
5-2-8 条件法的・仮定法的用法
単数の命令形は例示的用法から派生した条件法や仮定法としても使え、生き生きとした口語的用法となり、命令形の後に三人称の主格が立つ場合が多い。これは譲歩や無関心を示す用法でもあり、「仮に~したとしてもесли бы」ということで例示的用法と結びつくため、譲歩を示す節には完了体動詞命令形が使われることが多い。4-2-6および4-2-7項参照。
(実際どこか間違えば、彼だって人間だから、同僚がかばってくれなければ彼は八つ裂きにされる)А ошибись он где-то действительно, ведь он человек, - так его растерзает, если коллеги не прикроет.
(我々全員が護送隊にすぐに飛びかかりたくても、ピクリとするまでに我々は撃たれて皆殺しだ)Захоти мы все сразу броситься на конвой – пока зашевелимся, нас перестреляют прежде.
(彼女か赤ん坊の身に何か起こったら、彼は絶対に自分を許せないさ)Случись что-нибудь с ней или ребёнком, он никогда себе не простит!
(彼が手紙を書かなかったりしてみろ、こんな話は読者にはなかったことになったろう)Не напиши письма он, и не было бы читателю вот такого рассказа. <否定文>
(新しい流行が現れさえすれば、すぐに多くの人々が変わってしまうでしょう)Явись лишь новая мода, и тотчас же множество людей изменилось бы.
(私たちが違う名でそれをチェックし始めたとしても、結果は常に同じだったろう)А начни мы проверять его на других именах, результат неизменно оказывался бы тем же самым.
(このような仮定が正しければ、知られている音に一定の順序を与えるだけで十分だったはずだ)Будь такое предположение правильным, достаточно было бы известным звукам придать определённый порядок.
(彼によい農場があればザハールと同じくらい稼げたのに)Будь у него хорошее хозяйство – и он бы заработал не хуже Захара.
(あなたはここを去って、私が残って、全ての責任を取れというのですか)Вы-то уедете, и я оставайся и за всё отвечай.
(いくら祈っても、誰も空からパンのかけらを落とそうなんて気にかける〔神様〕はいない)Сколько ни молись, а с неба никто не догадается сбросить кусок хлеба. <主節は例示的用法で、従属節には反復の意味の不完了体命令形>
上の用例からも分かるように、この用法で使われる多くの動詞というのは、普通は語義的に命令形にならないか、主語が命令法で含意されるニ人称以外の一人称複数や三人称であり、法の転用ではあるが、誤解が起こらないようになっている。возьмиに至っては、「突然」というような助動詞的な働きをしている。
いつもご指導ありがとうございます。長年お世話になってきましたが、以前のような問題形式は、休止ということでしょうか。
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分かりました。復旧を期待しております。