2020年02月06日
●第173回
禁止の意味ゆえに不完了体動詞不定形が来る。ただ危惧の念が伴う時は完了体動詞不定形が来ることもある。不完了体命令形のне смей(те) + 不完了体不定形は禁止を強調した表現である。
(池の水を飲むなんて考えるなよ)Не выдумай пить воду из пруда.
(私を送ってゆくなんて気は起こさないでください)Не вздумайте меня провожать.
(僕が全て知っているとラールカにうっかり警告するのは絶対にやめてくれ)И не вздумай Ларку предупредить, что я всё знаю.
5-2-5 同じような状況で使える完了体・不完了体の用法の違い
同じような状況で使える不完了体・完了体の命令形の例で、次の文は両方ともパーティーなどで誰かを紹介するときに同じような意味で使えるが、厳密に言えば不完了体動詞命令形は促し・勧誘、完了体動詞命令形は願いというニュアンスがある。その次の文も同様なニュアンスを持つ。
(御紹介します)Знакомьтесь! (Познакомьтесь!)
(宿題のノートを出して下さい)Давайте (Дайте) домашние тетради.
次の二つの文は、使い方は同じにせよ、不完了体動詞命令形では、具体的な旅行か何か事件があったことを話し手も聞き手もはすでに知っているという前提がある。だから補語がない。不完了体動詞命令形は、状況から当然分かるはずの動作への移行を促す(話すようにせっつく)ということである。完了体の方は、具体的な旅についての新しい情報を聞かせてくれという事になる。
(さあ、言えよ)Ну, рассказывай!
(旅はどうだったか話してくれ)Расскажи, как прошла поездка.
5-2-6 被動形動詞過去短語尾を使って命令の意味を示す用法
この用法は語義に許可や命令の意味がある動詞の被動形動詞過去短語尾に見られる。先の二つの文は、禁止なので後に不完了体動詞不定形がきており、次の二つの文は命令だが、動作の反復を示しているので、同じく不完了体動詞不定形が来ている。
(ケンギールでは小包で挽き割を受け取るのは許されていたが、それを煮るのは絶対禁止だった)В Кенгире разрешено было получать крупу в посылках, но так же неукоснительно запрещено было её варить.
(これからは棍棒を持たないで見回りをするよう命じられた)Предложено было впредь обходиться без дубинок.
(看守には囚人を番号だけで点呼し、名前は知るべきではないし、覚えるべきではないと命令された)Велено было надзирателям окликать заключённых только по номерам, а фамилий не знать и не помнить.
(女性が収容所で男性の写真〔肖像画〕を所持してはならない)Не положено женщинам в лагере иметь мужские портреты.
無人称動詞не полагается(= не разрешается)にもне положеноと同じような用法がある。
(走行中に飛び乗るのは禁止されている)На ходу садиться не полагается.
5-2-7 憤激と反抗のニュアンス
これは意思に反して課された、ないしは義務として予定された行為に