2020年02月04日
●第170回
Пойдите направо, потом у магазина «Цветы» поверните налево. <順次的用法でもある>
(〔病院の診察室で〕上半身裸になってください)Разденьтесь до пояса (по пояс), пожалуйста!
接頭辞в-, вы-, за-, пере-, при-, про-のついた運動の動詞では、完了体命令形は要請から派生した命令などのような強制的なニュアンスを帯び、それが不完了体命令形の任意のニュアンスと対照を示す場合もある。
(来週来て下さい。ご注文をお受けしますから。でも水曜は来ないでください。水曜は工房では〔注文〕受付はしないので)Придите на следующей неделе, мы примем ваш заказ. Но не приходите в среду: в среду в мастерской приёма нет. <行かざるを得ないわけで、強制的ニュアンスがある。また動作の否定には不完了体命令形を使うことが分かる>
(可能なら明日来て下さい。10時でもいいですし、御希望なら11時でもいいです)Приходите завтра, когда сможете. Можете - в 10, если хотите - в 11 часов. <5-1-2項の勧誘なども考え方は同じである>
(日曜にうちに来て下さい)Приходите к нам в воскресенье. <どちらでもいいという任意のニュアンスであって、強制のニュアンスはなく、また日曜に文の焦点がない>
5-2-2 例示的反復 → 完了体動詞命令形
完了体というのは、いつ動作が起こるかは不明なわけだが、動作が起これば遂行するという事で、それが潜在的な可能性を生むことになる。例示的というのは「もし~したら~する」ということで、主観的ニュアンスである。つまり、動詞が文の焦点であり、それゆえ完了体が用いられる。命令法における例示的用法は、警告・危惧(5-2-4項参照)を除いて、普通は命令法には現れないが、5-2-8項(条件法や仮定法)は命令形という形式を借りた例示的用法であり、例示的反復の用法と言える。
例示的用法は会話では使いにくいと思われる。それは、例示的用法というのは、「何か~したら、~する」ということで、起こるかどうか分からないが、起こったらその動作は遂行されるという事からである。つまり、ある条件下での動作の強制を意味することになる。ところが、マニュアルのように、指示通りにしてもらわないと機械が壊れる、というような他の選択肢がないような場合は、動作は必ず遂行してもらわなければ困るが、会話においては、話し手の聞き手に対する動作の関わりは、指示や命令よりも提示という形式が多い。それはその動作遂行について聞き手の判断に任せるという意味合いが多く、動作に対する期待度や拘束度はゼロ、つまり、どちらでもよいという消極的ニュアンスを取ることが多い。これは動作を聞き手に指示するというのは強制するということで、日常生活では目下の者に対してはともかく、一般的には礼を失すると考えるからであろう。そのような場合には、消極的な、聞き手の判断に任せるという促しの意味の不完了体動詞命令形を使うのが自然だということになる。それと、もともと例示的用法というのは、用いられる時制に関わらず、形式的に完了体動詞未来形を取ることになっており、その形を同じ完了体とはいえ、命令形という形に変えるのも心理的に抵抗があるからかもしれない。
規則、指示、勧告、広告などにおいて、規則的反復動作の意味で用いられる場合は、必要なら何度でもという動作の常態化(規則的反復・習慣)を念頭に置いているからであり、表現的には平板なものとなる。もっと言うと、ある条件下でも何度も起こるという確信があるときに、不完了体命令法が使われると考えてよい。
(必要なら輸血しなさい)В случае необходимости делайте переливание крови.