2020年01月26日
●第13回
なら状態である。時制は全て現在なので、この場合は第3章の現在の時制の項を見てもらえばよい。ちなみに、過程と状態は不完了体動詞現在形にすればよいが、「来ている」は完了体動詞過去形となり、「~でできている」なら被動形動詞過去短語尾である。タ形の「来た」も、文脈によっては、過去かもしれないが、現在完了(「来ている」という意味)かもしれない。過去で使うなら第2章の過去の時制を、現在完了なら第3章の現在の時制を参照願う。
日本語の動詞の辞書形(終止形)は非過去(現在か未来)を示す。「学校に行く」は、毎日なら習慣・反復であり、明日なら未来の時制となり、それぞれ第3章の現在の時制、第4章の未来の時制を参照すればよい。細かい用法については、目次を見れば、どの用法に当たるかが大体分かると思うが、一通りお読みいただいて、自分なりに本書活用の目安を把握していただければ幸いである。本書の時制は過去からとなっているが、筆者の経験上、動詞の体の用法は過去の時制が一番分かりやすく、未来の時制が理解しにくい。それゆえ分かりやすいものからという、ある程度難易度と重要度を組み合わせた順番になっている。
例文において和文を先にしてあるのは、露文解釈ではなく、常住座臥、和文露訳をイメージしてほしいという事であり、和文を主体に据えることによって、和文から露文へという意識的な流れが身につくと考えるからである。初級者も語彙は無理でも、和文から判断して完了体が使われるのか、不完了体なのか、あるいは名詞が単数なのか複数なのかを推測し、その根拠を本書の説明で知ることにより、また例文を暗記すれば、飛躍的に実力がつくと考える。使われている例文も、日常会話からスピーチやビジネスの交渉で使われるやや硬い文体まで、会話体を中心に幅広く取り入れてあるので、実際の会話や通訳にも大いに役立つと信じている。過去・現在・未来の時制の章番号が最初の番号で、次の番号は時制と法については1が不完了体で、2が完了体である。2-1で始まれば過去の時制の不完了体に関係した事柄であり、4-2なら未来の時制の完了体に関係するという具合である。各項目については、できるだけ完了体と不完了体を対比して、その用法の違いを具体的に説明するように努めた。本書は動詞の体の用法について細かく書いてあるが、会話での和文露訳の際に体の使い分けが難しいからであって、本書の狙いはあくまでも和文露訳の上達であることは言うまでもない。
和文露訳をする際に和露辞典は特に必要ない。それはプロが使えるような和露辞典が存在しないからであるが、その代わり、和文露訳をするときに、候補の語彙(単語や語結合)をヤンデックスなどで引用符である"…"で検索してみることを勧める。"…"とすることで、"…"の中が確定し、格変化や活用が排除される。語彙数が万以上ならよく使われ、千単位ならグレーゾーン、百の単位ならあまり使われないと個人的に判断している。これはロシア人でもサイトで変なロシア語を使うのは日本人と同じだし、新語も同様だからである。それと"…"なしで検索してみることである。そうすれば頻繁に使われる語結合が出てくるはずだ。こういうテクニックを使うことで、頼りにならない和露辞典がなくとも、ある程度根気があれば、より正しい語彙にたどりつける可能性が出てくる。
動詞の体の奥義を究めるための私の勧める本書の使い方は、1日10ページでもいいから、本書を読んで、とにかく通読する。初回は例文には注意を払わない。通読後、体の本質という事に対して著者が何を言いたいのかを頭の隅に置くようにする。一冊丸々理解するとか、ましてや例文を暗記するなどという事は考えない。本書は約600ページあるので、2カ月あればどこに何を書いてあったかがおぼろげながら分かるようになる。体の本質に関する内容がどうであるというのではなくて、ただ時制には3つあって、過去・現在・未来で、他に命令法と不定法があったなぐらいでよい。通読してみれば、各項目に書いてある体の用法で分かりやすいところ、分かりにくいところが見えてくる。用法がよく理解できなかった項目の番号を抜き書きしておく。第1章の体の本質と規範を読み返してから、自分が理解しにくいと思う項目を、気が向いたらアトランダムに読ん