あけましておめでとうございます!
ニュース等でご存知かと思いますが、去年はルーシ号でロシアに帰ったあと、
いそいでバイコヌールへ飛びサユーズに搭乗、
半年間ISS(国際宇宙ステーション)に滞在していたので
日記をまったく更新することができませんでした。
無事地球に帰還して携帯の電源が入ったと思ったら、
いきなりオカーサンから電話があり、
ガチョウを冷凍庫から出しておいたから、
詰め物を買ってすぐ帰ってくるよう言われました。
それで、宇宙基地近くの市場でリンゴを買い、スホーイを音速で飛ばしてもらってソッコー帰宅、
クレムリンに報告する暇もなくガチョウ丸焼きの準備です。
火加減に細心の注意を払って焼き上げ、両親の家に持って行き、
さて今から新年を迎えるお祝いです。
やれやれなんとか間に合いました。
ふぅ〜。
さあさあ、もうすぐ新年、おいしいガチョウを食べま・・・
ん?1人だけ手が写ってますね。
食ってるみたいです。
・・・ちゅうか食うな、オイ!
食って飲んで、零時が近づいたらシャンペンを開ける準備をします。
ロシアの「行く年くる年」、大統領の挨拶をきいて赤の広場のスパスカヤ塔の鐘が
鳴るのと同時にポーンとシャンペンを抜いて新年おめでとう!!
急いで飲まないとね〜
鐘の音が鳴り終るまでに願いことを念じながらシャンペンを飲み干すと、
その願いが叶うといわれてるんですよ。
その後は花火。
町中あちこちから上がるものすごい花火をバルコニから見物です♪
両親の家はちょうどウラジオの町半分を見渡せる山の上にあるので、パノラマ絶景。
花火を見ながらシャンペンを飲んで飲んで飲んで、
いつの間にかコニャックになり飲んで飲んで飲んで、
後のことは覚えていません。
とにかく今日は元旦です。
あけましておめでとうございます。
ロシアにもお正月映画というものがあります。
年末近くになるとテレビCMをバンバンやるんですが、どうも今年のロシア製は、
親子が入れ違っちゃったコメディと、
ロケンロールなイカス若者のチョト助平なコメディと、
巨匠ストルガツキー原作のSFモノが、メインの3本らしいです。
で、もちろん助平なコメディを観ようと映画館に行ったんですが
時間を間違えて巨匠SFに当たってしまいました。
「ドウスル?ソ連の有名なSFですケド・・・笑えないと思いマス。」
「ま、いっか。バンダルチューク監督だし、どんなもんか観たれ。」
ストルガツキーについて私が知っている事といえば、
ソ連時代からの有名なSF作家で兄弟である、
兄さんは日本文学の研究者だった、
タルコフスキーの「ストーカー」の原作者、
その程度で作品も読んだことがありません。
オッサンも「学生のときに読んだケドほとんどワスレチャッタ」そうで、
そんな2人が前知識も期待もなんもなしに見始めたわけですが
どうしてどうして、なかなか面白い映画でした。
Обитаемый остров(アビタエムィ オーストロフ) 直訳だと「有人島」です。
←こっちは映画館に貼ってあった別のポスター
日本では原作が出版されていて、邦題は「収容所惑星」になっているのですが、
なんで収容所惑星????
収容所・・ときたら、ソルジェニーツィンの「収容所列島」が浮かぶんですが、
(これも今は「収容所群島」らしい)それを意識したんでしょうか?
ともかく邦題はすごくヘンなので、もし万が一日本公開がある場合は、
どうか別のタイトルでお願いします。
はい、見た限り覚えている限りのテキトーなストーリー↓ (長いよ)
時は2157年、22歳のマクシムは自由調査員というお気楽ポンチな身分の青年。
ロシアのスルメイカ宇宙船で気楽な宇宙調査の一人旅に出て、
オカーサンに「上海で知り合った彼女はどうするの!」と宇宙電話で怒られている。
そんな暢気な宇宙の旅だったが突然隕石が当たりスルメイカは破損、
見知らぬ惑星に不時着するのだった。
外に出てみると一見地球のような山河の景色だが、この惑星「サラクシ」は大規模な核戦争後荒廃し、至る所が放射能に汚染され、異形の動物・人物が徘徊する荒れた星だった。
スルメイカが爆発し(実は爆破された)帰路を失うマクシム。
あたりを散策してこの星の住人に出会うが、相手は敵意をむき出しにしており、いきなり銃のようなもので自分の装備を打ち落とされ丸腰になる。
かろうじて耳に入れた通訳装置のおかげでこの星の言語だけは理解できるのだった。
その人物?にラーゲリのようなところへ連行されたマクシム、そこはこの惑星「サラクシ」の支配者の軍隊だった。
自分は他の惑星から来たと言っても誰も理解できない様子に、惑星間の条約があるはずだからとにかく科学研究所のようなところへ連れて行ってくれと頼むが、同時に研究所でも宇宙から何者かが突入してきたことがわかっており、すでに捜索が始まっていた。サラクシではいつか異星人が世界を変えるという伝説があるらしい?
ガイという若い兵士がマクシムをシティに連れて行くことになり、列車(のようなもの)で出発する。ところが途中、通信塔のような塔が何者かによって爆破され列車に倒れこんで大事故となる。
マクシムは車両に挟まったガイを助け出し、2人の間に信頼が生まれる。
シティについたマクシムは、水槽に入れられ訳のわからない実験をされてしまう。
潜在意識を画像にされるマクシム。(実はそこはテレビ局)
そして解ったことは、マクシムはどんな種類の放射線にも影響を受けず、頭痛も起こらないという驚異の事実だった。
何が驚異だったのか?
この国では1日2回、放射線を放射して国民の脳をコントロールしているのだった。
支配者の流す情報をそのまま受け入れる「善良な市民」は、完全にコントロールされている替わりに放射線による激しい頭痛が起こらない、支配階級にある者と一部のミュータントはコントロールされない替わりに耐え難い頭痛が起こるのだ。
支配階級は「パパ」(マクシム・スハノフ)と呼ばれる者を頂点に5人の主だった官僚と検事長(バンダルチューク)、遍歴者と呼ばれる研究所長(アレクセイ・セレブリャーコフ:シュトラフバットの隊長)そしてその下部組織らしい。頭痛にはどんな薬も利かず、支配階級の者達はこの頭痛を止める方法を日々研究していたが有効な結果を出せずにいた。
マクシムは研究所長の部下に(ファンク:アンドレイ・メルズリーキン)車で送迎される途中、放射線照射の時間がきて突然苦しみだし、運転不可能となった部下の車から民衆によって引きずり出され町に放り出されてしまう。
ダウンタウンをさまようマクシム。
不思議な人物、雑踏、混沌・・・←アジアの港町の様相
(ストリート芸人の役でアレクセイ・パーニンが出演)
ふと目に留まった美しい女(ラダ)の店に入ると、そこは場末の食堂のようなところだった。
地球から来たといっても理解できないラダ。
不思議に惹かれあう2人。
下品な客がラダの体を触ったのを見て頭にきたマクシムは、その客とケンカになり追い出すが、店が引けた後、ラダと一緒に通りで仲間を連れたその男に待ち伏せされ襲われる。(忍者の様相、2刀流)
超人的な強さをみせて相手を撃退するマクシム。(実は男は政府のスパイ)
兄(弟?)と住んでいるというラダのアパートへ行ったマクシムが
そこで出合ったのはガイだった。
ガイたちが面白そうに見ているテレビに映っているのは、
自分が水槽で実験された時の潜在意識映像。
何が起こっているのかサッパリわからないマクシム。
ラダ、ガイの話やアパートにある本から、
この惑星の人達は自分たちが惑星の内側(球体の内側)に住んでいて、
時々見える空の光は惑星の中心核の光だと思っていることがわかる。
空はいつも厚い雲に覆われていて星も見えないので、
自分たちの星が広い宇宙の中にある惑星の一つという事もわからないのだった。
公園を散歩するラダとマクシム。
川のほとりでマクシムが魚を捕まえるが、水は放射能に汚染されていて魚を食べることはできないと言うラダ。
ガイ達にとって正体不明のマクシムだったが、この国は近隣国との紛争が続いていたため難民や住所不定の異民族が常に流入しており、異星人のマクシムもそれらと同等に思え、違和感を抱きながらも友情と信頼が生まれる。ガイは、マクシムの超人的な力と正義感の強い性格を見込み、この国は国内の反逆分子や近隣国との紛争が常に絶えないので、軍隊に入らないかと持ちかけ、マクシムも同意する。
しかし住民登録もないマクシムを入隊させるには推薦状が必要で、
上官が、この人物(マクシム)を調査してから判断する、
ガイが保証人になるので即入隊させる、
という2つの書類を持ってきてガイに判断迫ると、ガイは自分が保証人になるので
調査の必要はないといって調査の書類を破り捨てるのだった。
入隊したマクシムは全ての訓練において特別な優秀さを見せ上官(チャチュー:ミハイル・エヴラノフ)を喜ばせる。
ある日、反逆分子の逮捕に出動したマクシムは、そこで起こったことに違和感を覚え
何の疑問も持たず上官に意見する。
そんな彼に歯がゆい思いで説教するガイ。
マクシムはまだこの国の仕組み、自分の立場がわかっていないのだ。
逮捕された反逆分子の、いい加減ででたらめな裁判、拷問、
犯罪者といわれている人々の言い分こそ正しいのではないかと思ったマクシムだったが
上官から入隊最後の試験だといって反逆分子の処刑を命じられる。
早朝、上官に森の中に連れてこられた2人の犯人とガイとマクシム。
彼は犯人を逃がしたことを上官に報告し、自分が上官に撃たれてしまう。
取り乱すガイを装甲車にブチ込み、去っていく上官。
ところがマクシムは死んでいなかった。
森の中で目を覚ましたマクシム。
周りには逃がした反逆分子の者達やその仲間がいた。
ドクターが、彼はいま撃たれたはずなのにその傷痕は数ヶ月前の様子だという。
進化した人類は地球を理想郷にした。
クリーンな環境とすばらしい自然、人類は高度な知能と超人的な運動神経と、
自己免疫力を高め自分で自分を治療する肉体を得た。
頭にダメージを受けない限り死ぬことはないのだという。
そこへまた放射線照射の時間がやってきて皆は悶え苦しむのだが、
なんともないマクシム。
彼らは、政府は国民に敵の攻撃から国を守るために放射線を照射していると信じ込ませているが、実際は国民の脳をコントロールして権力を保っている、その放射線を放つ塔を破壊するのが自分たちの目的だと告げる。
塔を破壊すれば国民は正気になって、政府の言っていることが全て嘘だとわかると言うのだが、マクシムは塔そのものを破壊してもまたすぐに建設されて元の木阿弥だ、塔を破壊するのではなく塔のシステムを叩かなければ解決にはならないと言う。
彼らに肩入れしたマクシムは、彼をスパイではないかと疑うメンバーもいる中で、
とりあえず一つの放射線塔を爆破する計画に参加しする。
しかし政府側にはすでに情報が漏れており、(本当にスパイがいた)
攻撃途中でほとんどのメンバーを失いながらも辛うじて爆破に成功する。
ラダの元に帰って愛を確かめあう二人。
マクシムが死んだと思っていたガイが、困惑してマクシムを責める中、
政府軍が突然侵入してきてラダを人質にとられ、マクシムとガイは捕らえられる。
マクシムは犯罪者となりラーゲリへ送られるが、そこで自分が裁判に立ち会ったヴェプリ(ゴーシャ・クツェンコ)とゼフ(セルゲイ・ガルマシュ)と出会う。
ラーゲリでの使役はかつて戦争の時に設置された地雷や無人兵器の撤去だった。
その頃シティでは、マクシムが南方のラーゲリに収容されていることを突き止めた研究所長が、検事長の元にやってきてマクシムの引渡しを要求していた。
マクシムを引き渡す交換条件として彼が申し出たのは、もうすぐ完成しそうな頭痛を止めるヘルメットを一番先に検事長にやるというものだった。
マクシムに興味をもった検事長は彼のデータを見て、自分がマクシムを手に入れたくなる。そこで彼は2通の電報を打つのだった。
一つはラーゲリに、マクシムを極秘で連れてくるように。
もう一つは研究所に、マクシムは作業事故で死んだ。
ヴェプリとゼフと3人で竹林で撤去作業を行うマクシム。
無人兵器を破壊して次に向う途中、1人が穴に落ちるがそこには地下壕があった。
中を探索していると突然、狼人間のような謎の生物に襲われるがマクシムが撃退して縛り上げる。
地上に運び出したが、通訳装置を装着しているマクシムには、
その獣のような生物の言語がわかり放してやる。
相変わらず危険な撤去作業の中、マクシムは2人から、砂漠の向こうに別の国があるが砂漠には無数の地雷が埋まっておりとても行く事はできないと聞かされる。
マクシムはその国へ行けば何かが開けると考え、2人に別れを告げ、無人兵器の戦車を操縦して砂漠を突っ切って行く。
地雷が次々爆発、2人はマクシムが爆死したと思い込んだ。
極秘でマクシムを手に入れようとしていた検事長は、
本当に彼が死んでしまった報告を聞き激怒する。
国境までたどりついたマクシムは国境警備隊に止められるが
尋問に近づいてきた兵士を戦車内に引きずり込み、強行突破する。
暴れる兵士を押さえると、それはなんとガイだった。
彼は罰として辺境に飛ばされていたのだ。
オンボロ戦車で砂漠を走って行く2人・・・
第一部終了。ーーーーーーーーー
この映画は3650万ドルというロシア映画史上最高の制作費が話題になっていて、
バンダルチュークがいい気になってやりたい放題かと
それほど興味が沸かなかったんですけど、観たあとは私もオッサンも大満足でした。
見知らぬ惑星、遅れた文明との接触、圧政、レジスタンス、まあそのへんはおいといて、
何がいいって、マクシムのお気楽ポンチでちゃっかりした2157年風若者が、
なにかとシリアスな惑星サラクシで、
青臭い正義感や良心を素直に出して突っ走るというのが爽快です。
もう、彼以外、全て暗いんですよ、どんよりなんです。
そのギャップが面白くて。
主人公にブラックや東洋人を使ったらありふれた感じになりそうなところを
輝くような金髪巻き毛に真っ青な瞳、192cmの長身でマッチョな体躯という
白人美男の典型のようなスタイルを使ったのもマル。
新人らしですが、このヴァシリー・ステパノフという子、いいですね〜
ハマリです。
かなり原作に忠実に作ったそうですが、ストーリーもとても解り易く、
もし原作を読んだ人がロシア語オロオロの私が観たストーリーを、だいたいその通りと思ったら、
バンダルチュークは映像に成功したといっていいでしょうか?
原作はまだ続きがあり、映画の1作目は原作の3分の2ほどまでらしく、
続きは今年の10月に公開予定だそうです。
楽しみですね♪
映画・収容所惑星
オフィシャルサイト 英語ページ有
晴れ
ロシア人に日本の着物の常識やしきたりを学んでもらい、
最後は自分で着れるようにしてしまおうという、「ロシヤンカ着物化計画」が密かに進行中です。
←なかなか似合っています。
ロシア人じゃなくてリース・ウイザースプーンですが。
ここには自分で着物を着れるどころか他人着付けもできて、
今は日本で友禅染めの修行をしているツワモノのロシア人もいるのですが、
短くとも数ヶ月のスパンになるのでちょっと教えに来てというわけにもいきません。
それで暇そうな私にお声がかかりました。
着付けのお免状を持っているわけでもないし、人に教えた事もないのですが、
日本人は皆着物が着れると思われているらしいです。
うーむ。確かに昔みんな着ていた服がどうして今着れないのか、と思うほうが自然かもしれません。
中世ロシアの服を今着てみろと出されても、
せいぜいコルセットを人に縛り上げてもらうくらいで誰でも自分で着れるでしょうから。
さて、首謀者は、日本人のほとんどは自分で着物が着れないことを知っているロシア人です。
日本語は言うに及ばず、生け花も縮緬細工もする日本エキスパート。
そこに自分で着物を着れるようになりたい日本人が賛同して計画が盛り上がりました。
賛同人は、ロシア語は言うに及ばず、一挙一動がロシア人化している日本人です。
で、のんきに打ち合わせに行ってみたらえらいことに。
まず着物の歴史的経緯から説明する、
外国人が混同しがちな中国・韓国の装束との違い、それぞれの年代の装束と特徴、現代の着物、
素材のいろいろ、織と染め、簡単な作り方の説明、着物の種類とTPOとしきたり、
着物第二の人生(洗張りして繰り回し最後は布団表になるなど)、
日本人から見ても恥ずかしくない着物姿に自分で着れるようになる、
せっかく着れるようになったのだから最後は着物をきてイベントを、
途中劇団が日露戦争を題材にした出し物をやるので着物のレクチャーを、
日本料理店の奇妙な着物姿に教育的指導を、という大プロジェクトでした。
ひえええええーー私は市田ひろみじゃないちゅうねん!
(まーる書いて茶ぁー書いて京番茶♪)
若いヒトはわからんやろなー
どうするよ、コレ。
ということで年まえからバタバタしていたのですが正月は勝負時でした。
皆が帰省しているので日本からあんなものやこんなものを持って来てもらわなければなりません。
手配でいっぱいいっぱい、休みどころではありませんでした。
「ロシヤンカ着物化計画」、大汗かきかき進行中。