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投稿:ぴえるばやさん


ヨーロッパ・ロシアで高級品が売れることについて、前回大まかに触れましたが、今回は具体的な話を書きたいと思います。
私共の仕事で以前ヨーロッパから「自動車部品」を日本へ輸出していた時期がありました。自動車部品といっても一言で片付けますと補修部品というイメージが皆さんにあろうかと思いますが、実は日本車でもシート生地の一部分や部品にヨーロッパメーカーの部品が使われています。

かつて自家用車を持つと言うことはロシアでは「夢」とされていた事がすでに現実のものとなり、多くの人々が自動車を持つというステイタスシンボル化しつつあることは皆さんも、ご存じのことと思います。

かつてバブル期のベンツがカローラに見える時代の日本と同じ?
ロシア人は物語で物を買う?

インフィニティー日産フェアレディーZ)57,000ドル

実はこの車は日本車であっても北米から輸入している車で、実質ロシアでは登録上アメリカ車なのです。
最初はロシア国内では無名で全く人気のなかった車でしたが、カーアンドドライバーというアメリカ本国版の雑誌(日本でも日本版が出ています)が、ロシア国内でも販売されていまして、この車を自動車販売店が主催するロシアの自動車モーターショーに出品されたのを機会にヨーロッパ向けの新車よりも安いアメリカ・カナダからの新車が北米日産の正規ルートではなく輸入業者によって販売されています。
この車にまつわるヒストリーがビデオで展示会にて紹介された事で一種の日本車スポーツカーブームが始まりつつあります。というのも、かつて日産がはじめて北米へダットサンというブランドで初代フェアレディーZを輸出した時のまつわる技術者の苦労談や販売談話、そしてアメリカでもっとも人気があり通称”Z”のマニアクラブが沢山出来た事。
実際にこのフェアレディーZのマニアがロシアに来てマニアによるプレゼンテーションを行い展示会で早速商談がはじまった事などによりロシア人の心をつかむ販売セールスが成功したとも言えます。価格は5万7000ドルという金額は日本ですと莫大な金額に見えますが、ロシアの新車販売価格ではトヨタカローラが登録費用などの諸費用を含めて2万ドルから2万2000ドルですから価格帯から見る価格差は日本とさほど変わらないと思います。

アメリカでも日本でもスタート価格(一番安いモデル)で300万円ですから決して安いスポーツカーではありませんが、「ブランドの確立」という背景・背後関係をロシアでもやはり重んじて購入される購買層はいる事は確かです。ロシアに限らず独立国家共同体および周辺諸国においても同様で、新生ロシア企業にはまだ歴史的なブランドという物が無く、手を組む提携先についても「礼を重んじる」様な商習慣が根付いてきたとも実感できるケースがいくつかあります。これは日本の場合とは明らかに異なるのは商品に物をいわせて「高性能・高品質・高級感」だけを売りにするのではなく長年培われてきた西側諸国においての不変ともいえる「企業イメージの作り方・育て方」を引き込んで新生ロシア企業にとっても「ブランドとお付き合いをする」事で一種の信用を得ようとしている事は確かです。残念な事に多くの日本企業人・財界が指す「ロシア」は極東ロシア地方に限定されており投資という側面ではなく実際にビジネスパートナーとして相互に迎えられる状況下にあってもまだ「これから時間がかかる」としている日本の方が多いのが実情でしょうか。

 実際に昨年ようやく現地法人/ロシア企業として登記し現地企業として「ロシア側の視点」で見ると確かに銀行システムについても「商習慣の未熟さ」はありますが、多くの中小企業はロシア国外の外国資本銀行に口座を有しており、商談についてもグローバルな目を持って進めており地の利という観点ではポーランドがすでにEU加盟が決定されており市場もロシア企業にとってはEUを含めた視点で展開していますのですでに地図の上では経済圏の境目は実質企業側には無く、EUも旧ソ連諸国も「ヨーロッパ」という位置づけで見ているといえるでしょう。

 ロシアは輸入消費大国というイメージをもたれている方も多いと思いますが、3年前あたりからEU諸国への輸出も順調に伸びはじめています。アルミ缶やペットボトルといった製品から、ポリカーボネイドといった原材料加工もはじまりました。確かに比率としてユーロ高ドル高ベースで見ると輸入が上回っている事は確かですが、産業構造改革は大手だけの物ではなく小さな田舎街にある工場までが意識しはじめている。取り組んでいる事は確かです。

就職活動の裏話

 以前にも触れた事のある話題ではありますが、ロシア関係の日本企業にせよロシア企業で日本関連の企業にせよまず第一に「社会経験」についてどの程度係わり合いを持っていたか、次に視点がロシア以外に有るのか無いのか。この2点は十分に気をつけた方が良いと思います。

 そろそろ年末になり大学ないし専門学校でロシア語学科を卒業されたり、ロシアへの語学留学・本科への進学ののちに就職を控えている方にとっては就職先を探す事で手いっぱいの時期かと思います。社会経験というのはイコールどこかの会社に勤めていたか?という事ではなく学生の内にどんなアルバイトをしていたのか、どのような人間と接していたのか、個人の価値観、またその経験から得た物はなにか、これは就職の問い合わせの時点で明らかにわかることですが言葉使いだけではなく、ちょっとしたクセのような挙動だけで「この人はこういう人であろう」という一面を垣間見ることできます。

 かつて私自身の事を振り返ると学生結婚でどこかで雇ってくれないか、という気持ちでイッパイイッパイでした。状況は他の方と異なりますが、少し一歩置いてロシア意外において視野を広く見つめなおす事で自分にとってプラスになる事、そして無駄ともいるような事でも関心をよせてロシア以外の事へもチャレンジされてみてはいかがでしょうか。そして日本だけではなくロシア企業の門を叩いてみてください。確かに初任給与は安いですし原則として雇用契約が2年だったり1年だったりと日本に比べて雇用待遇は悪いかもしれませんが日本よりもロシア国内の方が業種や時期にもよりますが新卒者とロシア関連に従事していた中途採用では採用される確立は高いと思います。多くの企業では「求人」を出していませんが、ほとんど飛び込みに近い状態で皆さん就職活動されていると思いますのでネットでもロシアの貿易会社は沢山出ていますし「日本人を雇用する」という事はロシア企業にとってもひとつの看板になると考えている会社も沢山あります。


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