2002.8.22HK
はっさく1号スズダリに行く〜前編〜
はっさく1号さん投稿記事
ここモスクワにも爽やかな風が吹き、綿毛の舞い踊る新緑の季節となった五月始めのゴールデンウィーク、私はっさく1号は、モスクワ郊外にある中世古都群『黄金の環』のうち、ウラジーミル・スズダリへと行ってきました。まだ私が日本から来て間もない頃のことです。メンバーは日本人3人と韓国人3人。もともと韓国人の友人に誘われて行くことにしたのですが、ただ「行く」というだけで細かい計画はなく、前日打ち合わせのために彼女らの部屋に集まったもののほとんど具体的な話はせず、「じゃあ明朝6時15分にね〜」ということでその日は解散したのでした。
さてさてそれでもなんとかなるもので、タクシー、メトロ、郊外電車と乗り継ぎちょっと怖い位順調に最初の目的地ウラジーミルへと到着。
郊外電車っていいかんじです。乗り出してそう長く経たない内に、もう景色がどんどん田舎になって行くのです。ガタン、ガタンと揺られながら段々変わっていく窓の外の風景を眺めていると、なんだかタイムスリップしている様な感覚になるのは私だけでしょうか。時々売り子さんが新聞やお菓子なんかを売りに車内を回ってくるのも郊外電車ならでは。車内はかなり込んでいましたが、ウラジーミルに着く頃には乗客もかなりまばらに。始めはきゃいきゃい騒いでいた私たちも、慣れない早起きの為一人また一人とうとうとし始め、目を覚ますと列車は調度ウラジーミルに着く頃でした。
駅を出ると私達はまず、怪しげなおじさんお兄さんが溜まっているタクシー乗り場へと向かいました。タクシーで街を巡って欲しいと相談したのですが、面倒なのかなかなか「よし乗れ!」というドライバーがいません。「この人たちなんで仕事したくないの?」と困惑気味の所へ、一人のプーチン似のおじさんが乗せてくれることになりました。タクシーといえばまずは勿論値段交渉です。常にビンボー旅行がテーマの(苦笑)私達は今回もかなり安めの値段を要求し、運転手さんに「それは一人当たりの値段なのか?」とまで言われ(汗)かなりあきれられてしまいましたが、とりあえず交渉は成立。ウラジーミル観光が始まりました。
このおじさんの運転がまたかなり豪快だったのです。(普通の道路を走ってるうちはまだ良かったのですが・・)しばらく走るとおじさんが急にキキッと止まったので何かな?と見てみると、前方に大きな水溜りが。しかもかなり深そうです。どうするのかな?と思うが先に、おじさんはなんとまあおかまいなくジャブジャブと水の中を渡っていくではありませんか・・!(結構いい車だったのに。)さすが田舎のドライバー。さすがプーチン顔。たくましい。と感心していると、いつの間にか道はなくなり辺りは一面野原に。しかも超でこぼこなのです。勿論車道はありません。でもやっぱりたくましいおじさんはその中をもの凄いスピードで走り抜け、あまりに車体がぐわんぐわんと傾くのでひっくり返っちゃうんじゃないかと心配になり「だ、大丈夫なんですか?」と私が聞くと、「ああ〜!?なんでもないさこんなの!がははは!」と一言。笑顔もなかなか素敵です。そんなおじさんに、段々私たちも愛着が湧いていったのでした。
一通り街の見所を回るともとの駅へと戻り、おじさんと記念に写真を撮って別れ、今度はバスでいよいよスズダリへ。30〜40分の道のりですがこの時点でメンバーは既に結構疲れており、(やはりさっきのおじさんの運転がきつかったのか)あちこちで立ったまま眠って時々ガクッと倒れる始末。それを見て笑いつつ、自分も何度もカクカク倒れかけながらも懲りずにまたうつらうつらしつつ、いつのまにかスズダリの駅へとたどり着いたのでした。
さてそこから町の中心部へは、バスもあるとのことでしたが一向に来る気配がないので結局歩くことに。野原や土手をずんずん歩いて歩いて、途中会う人に道を聞きつつ「冒険だー!」などとのん気なことを叫びながら進んで行ったのですが、開放感からはしゃぎまくった私たちは、ある者は気がつくと何百メートルも離れた川岸でパシャパシャ水と戯れ始めまたある者は写真をパチパチとりまくり、それぞれ好き勝手でほんとに着くんかいな・・って感じです。それでも一応方角的には合っていたらしく、だんだん景色もそれらしくなってきて一安心。途中小さな男の子に一度嘘の道を教えられ迷いかけたものの(怒)声をかける人々は皆驚くほど親切で、「さすが田舎・・」と感動しながら歩き進んで行ったのでした。
中心部へ近づくにつれ、まるでおもちゃのおうちの様なかわいらしくカラフルな家ばかりが眼に飛び込んで来ます。まるで絵本の中に入り込んでしまったかの様な光景に感激しつつも、その時はまだ予想もしていなかったのです。まさかその晩、自分たちがその中のひとつに泊まることになろうとは。
さてやっとこさ中心部へと着き、まずはなんといってもホテルを探さねば!という事になりまたも人に聞きつつあるホテルへと足を運んだところ、満員で無理とのこと。他のホテルにも連絡を取って貰ったのですがそれでも部屋は余っておらず、一同は途方に暮れつつホテルを求めてスズダリの街をさ迷うはめに。(連休のピーク時に予約なしで行くこと自体がそもそも無謀だったのですが^^;)
そうこうするうちに韓国人の女の子らは疲れ果ててベンチに座り込んでしまい、「まじかいな・・」と思いつつも比較的元気な私たちは一人のタクシーの運転手さんを捕まえて、ついに泣き落としにかかったのでした。
おじさんは本当にいい人で、初めは「無理だよホテルなんて」と言っていたものの一緒に何件か回って交渉してくれたあげく、それでも無理と分かったら最後に一言、「じゃあママに聞いてみる。」と言ってくれたのでした。
〜続く〜