はぐれミーシャ純情派

タシケント激闘編8日目中編
7月29日
 約束の時間からだいぶ遅れてアレーシアが帰ってきた。もう3時ちかい。なんとしても今日中にチケットを手に入れたいのに、アレーシアはビデオ屋に寄りたいという。何とかというアニメがとても面白いのだとか。こうもあからさまにねだられると、いやーなものだ。ちょっと不機嫌。向こうもそれを感じ取ったのか、ビデオ屋にはあまり長居せずに飛行場に行くことにする。
 タシケントにはチケットオフィスのようなものは存在しない。旅行会社にお願いしようと思ったら、「それは自分でやってくれ」とやんわりと断られた。航空会社に電話したら、飛行場の窓口で買ってくれとのこと。当然、激安チケットが存在するはずもなく、正規運賃での移動となる。ドモジェードヴォというロシアの航空会社が一番安かった。モスクワまで186ドル。この飛行機にはエコノミーしか存在しない。
 飛行場までタクシーで行く。チケットを売っていそうなところは2階にあった。ダフ屋っぽいおっさんをふりきって中に入る。窓口のおばさんに言ったら外国人は別のところで買うのだそうだ。それにしても最悪の対応である。
 おばさんに言われたほうに行くとそこは出発ロビー。入り口のところには兵隊が立っている。おいおい、剥き出しで拳銃(ライフル?)持つなよ。なかの方に航空会社のカウンターが見えるのだが、入り口には兵隊がいるし、飛行機のチケットを持っている人しかなかに入れてもらえない様子。どうやってチケット買うんだよ!先のほうに歩いて行くと、そこはVIP用のロビー。VIPとはいってもビジネスクラス、ファーストクラスの乗客を通すためのものである。そこに立っていた係員にアレーシアがどうすればいいのか聞いた。当然、飛行場またはウズベキスタン航空の職員である。ここでは飛行場とウズベキスタン航空という航空会社の間に境はないらしい。この係員、ネクタイを締めて名札をつけていて、一見普通の職員。でも、ちょっと嫌な予感・・・。
 係員は「俺がチケットを買ってきてやる」と言い出した。だったら、俺たちを通してくれたほうが話が早いのにどうして?値段を聞いてきてやるといって中に入っていった。彼はもどってきて「210ドル」だって。あきらかにおかしい。「俺は186ドルって聞いたぞ」というと、「チケットが欲しいんだろ?これは別に俺の仕事じゃないから、無為にとは言わないけどな」もうわかったぞ。カね稼ごうとしてんな、このやろー。ちょっと考えた振りをして、アレーシアに「じゃあ、行こうか」と言って俺は歩き出した。するとその男が呼びとめてくる「191ドルだ!」なんですぐに値段が下がるんだよ!まあ、その値段だったら5ドル多いくらいだし、早くチケットが欲しかったのでOKした。彼にパスポートを渡す。金をきっちり191ドル渡した。すると、係員は「マラジェッツ(すばらしい)!ぴったり191ドル払いやがった」といって苦笑い。近くに立っていたおねえちゃんも笑っている。俺は何のことだかわからなかったので、アレーシアに尋ねると、彼は俺が200ドル払うのを期待していたのだそうな。200ドル受け取っておつりは返さないつもりだったららしい。そうか。もし、190ドルだったら、ぴったり払う可能性があるから、払いづらいようにおつりが出るように191ドルって言ったのか。

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